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「サブスクリプションがビジネスの常識を変える!」GINZA CROSSING Talk

近年話題の「サブスクリプション」、通称サブスク。定額使い放題のサービスが人気で、去年の流行語大賞にもノミネートされました。
所有から利用へと消費意識が変化する今、経営学者の川上さんは、サブスクの拡大がビジネスの常識を覆すといいます。映画や音楽から、ファッション、自動車まであらゆる分野に広がるサブスクの本質に迫ります。

尾河眞樹さん:
近年話題のサブスクリプションですが、一般的に、サブスクといわれているものは本当にいろいろありますよね。どうしてこれだけ、急速に発展したのでしょうか。

川上昌直さん:
そういう意味では全カテゴリーにかかります。サブスクリプション(サブスク)とは、ユーザーと企業が一定の期間契約を結び、その間、利用料金を支払うビジネスモデルであり、現在あらゆる分野でサブスクのサービス提供が行われています。サブスクにおいて、最近、盛んに目にする定額制はあくまで一課金形態であって、利用した分だけ課金される従量制の形態もあります。

サブスクがこれだけ急速に発展したのには三つの理由があります。一つ目は、「所有から利用へ」という言葉に表れるように、リーマンショックから10年たち、消費者が賢い消費のしかたを覚えてきた結果、ものを購入せずにお得に利用できる方法を追求してきたことが挙げられます。二つ目は、現在の消費の主役がミレニアル世代になったことです。この世代は景気低迷期に育ち、標準品を好み、サブスクで他人と同じものを提供されても抵抗がなく、コストを重視する人が多い傾向があります。そして、三つ目がデジタルデバイスの普及です。サブスクがデジタルとうまくマッチングして、普通に使うことが当たり前になったというのが、サブスク発展の最も大きな理由だと考えています。

川上昌直さん対談風景

尾河眞樹さん:
サブスクと似たようなイメージで、リカーリングビジネスというものがありますが、どこが異なるのでしょうか。

川上昌直さん:
リカーリングとは例えばプリンターとトナーのように、繰り返して収益が生まれる状態を指していて、実はサブスクもリカーリングの一手段です。しかし、サブスクという言葉が2019年の流行語大賞にノミネートされ、これだけ普及するほど世の中が騒いだということは、それがユーザーにとってお得に映っていることを表しています。つまり、あくまで主語はユーザーであるということが鍵なのです。私の著書でも「サブスクの本質はユーザー有利である」と述べていますが、この新しいビジネスモデルにおいて企業が成功するポイントはここにあり、サブスクを収益化だけの目線で見てしまうと見誤ります。

企業が継続的にユーザーを縛るのではなく、ユーザーが自発的に続けたいと思えるサービスを作れるかどうかというところが重要です。サブスクは本当に平たく考えると会費と表現できます。都度購入の人より優越感を感じられるような特典やサービスがなければ、続かないのです。例えばNetflixはいいタイミングでオリジナル作品を大量に投入し、会員にメリットを感じさせ続けるので、やめられないのです。

尾河眞樹さん:
商品を売った時点で利益を確定するのが従来の売り切り型のビジネスモデルですが、このようなビジネスはどうなるのでしょうか。

川上昌直さん:
従来のモノ作り企業が行ってきた売り切りモデルは終焉するといわれていますが、売り切りモデルでも成功パターンが変わってきたと思っています。サブスクで成功するビジネスは、NetflixやAmazonのようにユーザーに寄り添うモデルです。買った後に始まるのがサブスクの関係性であり、継続して課金をしてもらうには、ユーザーの利用状況、必要な要素を満たせているか、しっかりアップグレードできているのかなどのフォローが必須となります。サブスク全盛になるとそのようなユーザーフォローをしなければ生き残れないため、それが当たり前となりました。実は今まで売り切りモデルだった企業も、しっかりとユーザーのケアができていれば成立します。反対にサブスクと名乗っていても、アフターフォローをしない所は生き残れません。そのようなアフターフォローに注目すれば、いいサブスクと悪いサブスクがジャッジできます。

コロナ禍の影響についてお話を移しますが、コロナ禍では、SaaS系のサブスク企業は一瞬の動揺はありましたが、すぐに業績は戻るといわれています。これは、すでにデジタルを通してユーザーとつながっている点が大きな理由と考えられます。すなわち、デジタルの要素があるかどうかが鍵なのです。ところが、モノ系のサブスクは変動費や材料費など物流や実物のコストがかかるので、コロナ禍ではどこかでデジタルの要素がないとあいかわらず厳しい状況となると見ています。

私がサブスクで新たに注目している業種はエンターテインメント分野です。コロナ禍で従来のように芸術文化活動を行うことが厳しい中、例えばお笑い芸人のかたが配信を行ううえでも、IoTなどのセンシング技術を利用すれば、ユーザーが笑っているかどうか客観的に計測しながら課金できます。そのようなサービスにサブスクを使っていくと、コロナ禍でも芸術関係のかたがたがやりがいも感じ、非常に面白い取り組みができると思っています。

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