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「新型コロナで日本経済はどうなる!?」GINZA CROSSING Talk

ゲストは東洋大学教授で経済学者の竹中平蔵さん。長期化の様相を見せるウィズコロナの社会。国や企業はパンデミックの前後で環境が劇的に変化することを見越し、思い切ってシステムを変えるチャンスと捉えるべきだといいます。行政のデジタル化や企業のDX対応など経済回復を加速させるためのカギについてクロッシングトークします。


尾河眞樹さん:
7月に出版された『ポストコロナの「日本改造計画」』では、コロナ後の世界で日本が直面する課題を挙げ、議論すべき重要な政策を提言しています。

竹中平蔵さん:
コロナ禍によって、各国では財政赤字が昨年比で3倍程度に膨らむことが見込まれるなど、経済面では非常に厳しい状況に陥っています。それにあわせて中央銀行がお金を大量に供給していますが、この状況は戦争時に似ており、戦争同様に新型コロナという敵との戦いに勝たなければというマインドセットで世界経済が動いているということでしょう。

ただ、現在は戦後の大量供給の後に見られるようなインフレは起きておらず、低水準の成長が続く低温経済の中で、各国の物価上昇率は極めて低く、一方で、今年はGDPが大きく下がると見られる中で株価は高いレベルを維持しています。この状況から、過剰な流動性が資産に回るかたちで資産インフレが起きており、その結果として大きな変化が起こるのではないかといった見方はしておくべきでしょう。

また、補正予算を含めた2020年の一般会計は約160兆円の規模となりました。GDPがそれほど伸びない中で、一般会計は20年前の2倍の規模まで膨れ上がっており、新型コロナの動向次第でもありますが、日本の経済を考えるうえでは、一時的に膨れ上がった財政を高原状態にせず徐々に抑えていくというマクロの視点を政府がしっかりと持てるかが重要でしょう。また、給付金などの効果が切れてくると、秋口辺りから厳しい状況となる可能性があります。その際にさらなる財政出動を実施するのかどうか、政府にとって難しい選択になるでしょう。

竹中平蔵さん、尾河眞樹さん

尾河眞樹さん:
財政に加え、不安視されているのが雇用や就業への影響です。

竹中平蔵さん:
日本でしっかりと議論されていないのは失業率です。日本は失業率がほとんど上昇しておらず、2020年6月期では2.8パーセントですが、一方で休業者が500~600万人いるため、そのかたたちを仮に失業者とみなすと失業率は約11パーセントと驚くべき数字となります。雇用を維持できているのは政府の雇用調整助成金の存在が大きいでしょう。ただ、この助成金は短期間の不況で、その不況前後で経済構造が変化しない状況では大きな効果を発揮しますが、長期間の不況と同時に産業構造も大きく変化するという中での効果には疑問があります。いずれにしても、経済構造の大きな変化と不況の長期化が見込まれる中で、日本ではそのような議論がされた形跡がないことがひとつの大きな問題だと捉えています。

コロナ禍では、世界経済は回復するとしても極めて緩やかなペースとなる覚悟が必要でしょう。ただ、IMFが主要国の中で唯一プラス成長すると見ているのが中国です。総じて言えることは、パンデミックは民主主義と非常に相性が悪いということです。強権政治を行える国のほうがパンデミック対策としては優れている点も見られ、現に大統領選挙を控えて経済を悪化させられないアメリカでは、経済活動と感染拡大の間で苦悩している姿が色濃く見られます。パンデミック下では民主主義国の形勢の悪さが浮き彫りになり、地政学的に非常に大きな変化が起こり得る状況にあることは意識しておくべきでしょう。

尾河眞樹さん:
長引くと見られるウィズコロナの社会。政府が行うべき政策とは何なのでしょうか。

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竹中平蔵さん:
ウィズコロナの社会の中で急速なデジタル革命が進む中、政府が行うべき最も重要な政策は、個人認証のインフラづくりであり、日本ではそれがマイナンバー制度となります。例えばインドではIT企業のインフォシスのナンダン・ニレカニが政府に働きかけて個人認証に関する省庁を新設させ、今では指紋や瞳孔の生体認証を含めた登録人数が12億人に達しています。他国と比較してマイナンバーの普及が非常に遅れている日本では、このコロナ禍を機会と捉え、個人認証のインフラづくりを一気に加速する必要があるでしょう。

パンデミックの前後は、環境が劇的に変化することを見越して、企業が思い切ってシステムを変えるチャンスです。今まで日本の企業は無形資産に対する投資を非常に軽視してきました。経済的競争力の観点からいうと、人材育成と組織変更に対する投資が、主要国と比較して非常に見劣りしている状況です。ブロックチェーンや人工知能などのデジタル革命が起き、その中では今まで日本企業が採用してきたOJTは通用しないため、経営者のかたはこの技術の断絶がある時代の人材育成への投資を意識すべきです。また、FinTech分野でも後れを取る日本の銀行では、非常によく完成された伝統的な銀行制度自体を抜本的に変えるという大変な課題もありますが、2020年の骨太方針には中央銀行デジタル通貨という言葉も出てきて関心が高まる中で、この機会をチャンスと捉え、取り組んでいかれることを期待しています。

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日経CNBCにて放送されたものを、ソニー銀行公式YouTubeに掲載しています。
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