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「トップクラスのメーカーを率いたカリスマ経営者」GINZA CROSSING Talk 東哲郎さん

かつて世界一の半導体生産額を誇った日本も、米国の逆襲やアジアの台頭で地位を低下させたままです。その中で半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンは、世界4強の一角を保っています。この会社の躍進を支えたのが元社長の東さんです。東さんの経歴を振り返りながら、東京エレクトロンをどうやってグローバル企業に成長させたのかお聞きします。


尾河眞樹さん:
同社はパソコンやスマホ、デジタル家電製品などの半導体やフラットパネルディスプレイの製造装置を開発、製造するメーカーです。東さんは東京エレクトロンをグローバル企業に押し上げたカリスマ経営者として知られていますが、企業概要について教えてください。

東哲郎さん:
東京エレクトロンの設立は、1963年です。半導体や液晶を作る製造装置を開発、製造、販売する企業です。現在2020年の3月期で売り上げが約1兆1,200億、営業利益で約2,300億、営業利益率20パーセントと、かなり高い利益率になっています。従業員数は、現在約1万4,000人で、半導体が使われるにつれて、会社も大きく成長してきました。

技術革新が急激に進む中で、それを生み出す半導体という装置をつくっているわけですから、我々も先行して開発に力を入れてきました。また、市場の変化に合わせて、会社の中身を変えていきました。
世界のトップクラスの顧客と直接取り引きできるようになったことも、東京エレクトロンの評価が大きくなっていった理由のひとつです。1994年には東京エレクトロングローバリゼーションといって、世界のお客さんを相手にビジネスを始めました。ハイテク産業の中心地、アメリカ、シリコンバレーに赴任したときは、半導体とその関連産業が急激に成長していく時期でした。私は当社と、まだ新しい会社だったラムリサーチとのジョイントベンチャーをつくる過程をつぶさに見ていたため、半導体事業のエネルギーの原点を経験することができました。

尾河眞樹さん:
当初は社長就任を断ったというお話ですが、その理由とは?

東哲郎さん:
1996年に、46歳で社長に就任しました。46歳で一部上場会社の社長というのは、当時はないことでした。自分より優れた先輩がたくさんいるし、取引先も自分より年上の顧客ばかりで自信がなく、一度は辞退しました。しかし、数ヶ月後、再度話があり社長などから「我が社は、経験や年齢などいわゆる年功序列ではなく、能力主義でやってきたのに、あなたはできないのか」と言われました。さらに最後の一押しとして、「変化に対して敏感で、かつチャレンジしていくためには若いエネルギーが必要だ」という話があり社長就任を決断しました。

私が大切にしてきたことは、まず顧客第一主義。2つ目は、常に技術で世界トップを走るということです。3つ目に、それを担う独創性やチャレンジ力、情熱や柔軟性、責任感などを持ち合わせた企業家精神を企業文化として大事にしていくことです。それに加えて、社員、顧客、株主から、本当に信頼できて、大好きだと思われる会社をつくろうという信条を持ちました。


尾河眞樹さん:
社長退任も経験されたということですが?

東哲郎さん:
ITバブルが崩壊した頃、社長を一度、退任しました。顧客の投資が止まったこと、グローバル化に伴うインフラづくりや、増員コストがかかったことなどが重なり、赤字になりました。回復させるためには1,000人規模の早期退職募集を行わなければならなくなったのです。環境が変わったとしても、非常に伸びる会社もあるわけで、これを環境のせいにしてはいけないと考え、責任は経営者が取らなければならないと退任しました。

再度社長に就任した際には、社員が会社に対して失った信頼を、もう一度回復させることに尽力しました。東京エレクトロンがこれだけ成長した源流は何なのか、1年かけて、東京エレクトロンのファウンダーを含めて多くの人にインタビューを行い、それをTELバリューという形でまとめました。若手中心で動いたので、その社員たちも非常にやる気になり、それがいろいろな部署に広がっていきました。

また、「愛社員」精神も重要だと気付きました。あるとき、私が経営会議で愛社精神の強化について話をしているとき、社内にいた友人が「愛社精神ではなくて、愛社員精神をきちんと示してくれれば社員は付いていきます」と発言したのです。そういったことが重なり、社員や会社が元気になっていきました。その後、リーマン・ショックも経験しましたが、もうリストラはしないと決め、逆に教育費や開発費を多くしました。社員は会社が本当に変わったと感じたようです。

尾河眞樹さん:
日本の企業が世界で戦うために必要なこととは?

東哲郎さん:
日本の企業が世界で戦うためには、かつてのように、世界のプレーヤーになるという気概、情熱を持つことが必要だと考えます。そのためには、自分の言いなりになる企業と一緒になるより、強者連合を組めるような大きな志を持たないとならないと思います。ゆでガエルという言葉があるように、ぬるま湯につかっていると思ったら、気が付くと熱くなっていて対処のしようがないということがあります。常に危機感を持って、勇気を持って取り組むことが必要です。

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