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「デジタル時代に書道がもたらすものとは?」GINZA CROSSING Talk 書道家・武田双雲さん

ゲストは書道家・武田双雲さん。書の枠を飛び越え、スーパーコンピュータ「京」のロゴや大河ドラマ「天地人」の題字なども手がけ近年はアート作品にも取り組んでいます。また自らを「感謝の達人」と称し、ポジティブで楽しさ溢れる生き方を提案した本は50冊以上にも及びます。NTTの営業マンから書道家を志し路上で活動を始めた双雲さん。人生のターニングポイントとなった感動エピソードや楽しく生きるコツをクロッシングトークします。


尾河眞樹さん:
双雲さんは、3歳から書道家の母に指導を受け、大学卒業後、サラリーマンとなるもある出来事をきっかけに書の道へ進むこととなりました。その出来事とは?

武田双雲さん:
現在、コロナ禍では「明るい引きこもり」として、オンラインでのライブ配信を熱心に行っています。皆さんに光を当て自分も輝くように、あえて明るさを振りまく活動をしています。もちろん、書も私を救ってくれています。墨の香り、筆や半紙の繊細な感触と気持ちよさを感じながら字を書いているときは、コロナを忘れ、精神統一もできます。あらためて書道をしていてよかったと思える瞬間です。
 
両親は人を喜ばせることが好きで、私の人格形成に大きな影響を与えました。NTT東日本でのサラリーマン時代も人を楽しませたいと考え、電話の引き継ぎメモを筆で和紙に書いて上司に渡したことがありました。すると他部署にもうわさが広がり、私に名前を書いてほしいと人が集まりました。ある女性の名前を書いたところ、突然泣き出したんです。理由を聞くと「親が付けた自分の名前を初めて好きになれた。親と不仲でしたが話し合ってみます」と語ってくれました。人を感動させる喜びを強烈に感じ、その場で書いたのは会社へ提出する「辞表」の2文字でした。「どうしても僕は人の名前を書いていきたいんです。1億2000万人分書かなきゃいけないから、早く辞めさせてください」と伝えました。

尾河眞樹さん:
当初はストリートで書を書かれていたと聞きました。

武田双雲さん:
書道で人の名前を書こうと決め、ストリートで活動を始めましたが、誰も集まりません。私はあることに気付きます。自分自身がネガティブな気持ちやお金が欲しいといった欲望を持っていると人は来てくれない。ならばいつもどおりの自分でいこうと考え、お金にも、書にもこだわらず、ただ人と雑談をしようと決めました。

ある日、お客さんの悩みを2時間ほど聞いていると、1万円札を出され、「書いてよ」と泣きながら言ってくれました。私は「目の前の人をとにかく楽しませよう、一緒に喜んで話そう」としただけですが、このときに、明らかな好転、幸運が舞い込む場面を経験したのです。前から好きだった量子力学や宇宙論、エネルギー論などの科学的な現象とこの経験が完全に一致していると理解し、雷が落ちたような衝撃を受けた瞬間でした。自分の気もエネルギーであり、波動です。

自らの考え方、心の置き方の転換で、量子的に波動が変化し、現実での物質の揺らぎが変わったと直感的に確信しました。原子をはじめ、世の中のすべては波でできており、その波のチューニングによって調和や共鳴が生まれます。自らが気持ちよくチューニングできている状態で他者に向き合い一緒にセッションできれば、喜びや感謝などの現象がかたちとして現れるのです。私の人生を振り返ってみると、実は自分自身を書道家だと思ったことはありません。そこからの20年間は、書道家という枠にとらわれず、その法則の面白さを伝えるために世界中を回って講演し、60冊ほどの本も書きました。

2016年に、自分も発達障害のひとつであるADHDではないかと(ブログで)公表しました。書道家になった後でも生活に大きな変化はないと感じられているのは、今しか生きられない体質ゆえに、未来にあまり意識がいかずに今を楽しめているからでしょう。私の活動は、先ほどの法則を伝えるためだけのもので、書道を変えようなどと考えているわけではありません。書道界からは大きな批判も受けましたが、同時に、数多くの感動の声も届きました。その人たちに向けて書を書こうと思い、今も続けています。

尾河眞樹さん:
デジタル化が進み、文字を書く機会が減っている今。双雲さんは、書道の価値をどう捉えているのでしょう。

武田双雲さん:
デジタル社会では文字を書く機会が激減していますが、逆にそのギャップで、今の若い世代の間では筆文字の価値が再認識されているように感じます。私も東京理科大学の情報科学出身のIT大好き男です。次世代の経営者やリーダーを育てる日本生産性本部の研修にも、私のところへ来て書道を体験するプログラムが組まれています。コロナを機に、合理性や効率、成長だけを追い求める社会構造や、物質的な豊かさだけを求める生き方に大きな疑問符がつきました。

あらゆるものがコモディティ化され、皆の心が死んでいき、AIや量子コンピュータが出てくる中では、今までどおりの経営をしていても絶対にうまくいくはずがありません。書道をはじめ、日本文化には、目に見えない所作や、心と体を整える体感的なものがすべて詰まっています。今後の経営や人々の幸福を考えるうえでは、いかに心の豊かさを持てるか、マインドリッチになれるかという視点が重要だと認識されてきたのではないでしょうか。

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