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「"健康をつくる"タニタの三代目」GINZA CROSSING Talk 谷田千里さん

世界初の体脂肪計を開発した計測器メーカーのタニタは、最近では「タニタ食堂」など外食産業でも広く認知されています。こうした新規事業を推進したのが創業家三代目社長の谷田千里さんです。父への反発から最初は調理師を目指したという谷田さんの経歴を振り返りながら、タニタの「健康をつくる」取り組みについてうかがいました。

尾河眞樹さん:
健康といえばタニタさんというイメージがあります。最初に注目されるようになったのは、「体脂肪計タニタの社員食堂」というレシピ本。543万部のベストセラーですが、出版のきっかけは?

谷田千里さん:
某テレビ番組に低カロリー、塩分控えめ、そしておいしいという内容で、タニタの社員食堂が取り上げられたのが始まりです。
レシピ本の予想外の売れ行きは仕事にも大きな変化をもたらしました。100~200万部売れる頃には、社員食堂のメニューを食べさせてくれと、毎日数十件の電話が鳴りました。要望に応えられずに謝る社員の姿を見て、2012年1月に丸の内タニタ食堂をオープンします。
社長就任後間もない頃でもあり、異業種のサービス業にチャレンジして「違うことをするぞ」という変革の旗印にもなると判断しました。お客さまのニーズの充足と社内的なアピールの両方が実現できたのが丸の内タニタ食堂の開業です。

タニタは父が社長の時代から体重の研究に力を入れており、1990年には専門家の下、食事や運動の指導を行うベストウェイトセンターを開設しました。そこで腎臓病のかたや体重が重いかた向けの食事を提供していたのですが赤字で閉鎖となり、管理栄養士をはじめ、社員の雇用を守るために、社内向けにシフトしたのが社員食堂の始まりです。もともと減量指導を目的とした食事で社員には物足りなく、十何年の試行錯誤を重ねてメニューの改良をしました。そのノウハウがレシピ本に込められており、支持を受けた要因だったのではないでしょうか。

尾河眞樹さん:
キャリアについて振り返りたいのですが、高校卒業後、調理師の資格を取られたいきさつとは?

谷田千里さん:
今では三代目社長ですが、若い頃は父がレールを敷いた人生に反発し、高校卒業後は自立のために調理師資格、栄養士資格を取得しました。ただ、紆余曲折あり、経営コンサルタントとして働き始めることになります。タニタで働く気はなかったのですが、転機となったのは2001年。父からタニタで働いてくれないかと請われ、当時の先輩からの後押しと、コンサルタント業を通じて経営者としての父を理解できるようになったこともあり、転職を決意しました。
 
入社後は、コンサルタントの経験を生かして社改革に取り組もうとしますが、経験則で語る社員と、理論的な視点から遠慮なくものを言う私との間で、あつれきが生まれました。その結果、アメリカ法人への出向を命じられますが、ここでのアメリカ人社長との出会いが大きな気付きをもたらしてくれます。当時、私は仕事とプライベートを明確に分けていたのですが、それは間違いだと指摘されました。仕事は人間関係がよくなければ回らず、アフターファイブのビール1杯を通した交流も仕事のうちで、会社に経費を請求するのは当たり前だと彼は言うのです。これは大きな衝撃で、理論的なことだけでなく、彼から学んだウェットな付き合いを通した人間関係構築の重要さに気付けたことは自分の財産となっています。

尾河眞樹さん:
2008年に社長へ就任してから、既存の事業をいかに立て直したのでしょうか?

谷田千里さん:
社長就任後は、行き詰まりの見えていた既存事業の立て直しと新機軸の発見を通して生存戦略を図ります。赤字を止めるために、レシピ本の出版や自ら動画配信サイトに出演して自社製品のアピールを行うなど、積極的な広報活動に力を入れました。その中で、当時は赤字続きで廃盤になりかけていたひとつの製品を見つけます。それは、今で言うIoT製品で、計測機器で測ったデータを、サーバーへ飛ばしてウェブで確認するサービスでした。
今後はこのビジネスしか生き残りの道はないのではないかと考え、その結果として生まれたのが『タニタ健康プログラム』です。医療費が下がり、経営のコスト低減になるという付加価値を生むサービスとして、今も企業や自治体に利用してもらっています。
 
生活習慣病の予防に関するサービスは、多くの企業もビジネスチャンスとして見ていたと思いますが、その中でタニタが成功できたポイントは、レシピ本の出版や食堂のオープンなどを通して、「タニタ=健康」という消費者イメージが確立された点にあると考えています。お客さまからの高い期待値がそのまま目標となり、私も含めタニタの社員がサービスの向上に取り組めた結果が今日につながっているのではないでしょうか。

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