2021年9月3日(金)、日本時間21時30分に米国で8月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2021年9月 | +75.0 | ||
2021年8月 | +92.6 | +94.3 | +94.3 |
2021年7月 | +60.0 | +85.0 | +93.8 |
2021年6月 | +62.1 | +55.9 | +58.3 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2021年9月 | 5.2 | ||
2021年8月 | 5.7 | 5.4 | 5.4 |
2021年7月 | 5.7 | 5.9 | 5.9 |
2021年6月 | 5.9 | 5.8 | 5.8 |
出所:時事通信社(2021年8月23日時点)
今月の注目ポイント(ソニーフィナンシャルホールディングス チーフアナリスト 尾河眞樹)
米国の金融政策に注目が集まるなか、今回の雇用統計も、市場参加者の注目度は高いでしょう。前回7月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比94万3,000人増と、ほぼ1年ぶりの大幅増となりました。8月以降、デルタ株の感染が急速に拡大したことで、さすがに今回は雇用の伸びが減速すると思われますが、それでも市場予想は前月比75万人増と強気です。また、失業率の市場予想は5.2%と、7月の5.4%から改善が見込まれています。
米連邦準備理事会(FRB)は、21年末の失業率を4.5%と予想していますが、このまま月次で50万人以上のペースで雇用増が続けば、恐らくこの見通しは達成されるでしょう。したがって、今回の統計では、デルタ株の影響が雇用にどの程度影を落とすか、具体的には前月比で50万人以上の雇用が確保できるか、また、失業率の低下傾向が維持されるか、などが焦点となりそうです。
一方、足下の金融市場は、①米国のデルタ株感染拡大、②これに伴う米国景気減速への懸念、③アフガニスタン情勢など地政学リスクの高まり、などの不安からやや「リスクオフ」に傾きがちです。これらの懸念があるにも関わらず、金融緩和からの出口が早まるとの印象は、市場心理の悪化に繋がります 。
したがって、今回はむしろ予想を上回る雇用増や、失業率の一段の低下など、強い数字が出たほうが、かえって米株価の下落から円高に繋がると予想しています。また、極端に弱い結果もリスクオフから円高に繋がりそうです。「ほどほど」に良い数字か若干の悪化程度にとどまれば、むしろ金融緩和が維持されるとの見方からリスクオンからやや円安地合いとなるのではないでしょうか。
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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