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「子ども応援プログラム」スタート!放課後NPOアフタースクール 平岩国泰さんにインタビュー

サスティナビリティへの取り組みに関心が高まる中、ソニー銀行はお客さまと取り組む社会貢献活動の一環として、次代を担う子どもたちへの支援活動に力を入れています。

2021年10月からの「子ども支援ファンド寄付付き円定期」の募集開始に続き、2022年2月1日(火)より「子ども応援プログラム」を開始しました。

子ども応援プログラム」は15歳未満の口座開設1口座につき100円をソニー銀行が特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクールへ寄付する取り組みです(寄付にあたりお客さまの負担はありません)。15歳未満のかたの口座を開設していただくと、子どもたちの育成支援に繋がります。

安全で豊かな放課後を日本全国で実現することを目指して活動する放課後NPOアフタースクールについて、代表理事の平岩国泰さんにソニー銀行の中路がお話をうかがいました。

プロフィール
平岩 国泰

1974年東京都生まれ。1996年慶應義塾大学経済学部卒業。株式会社丸井入社、経営企画・人事などを担当。2004年長女の誕生をきっかけに放課後NPOアフタースクールの活動開始。2017年より渋谷区教育委員。2019年より新渡戸文化学園理事長。

子どもたちに安全で豊かな放課後を!

ソニー銀行 中路(以下、中路):
放課後NPOアフタースクールさまは学校施設などを活用し、放課後の子どもたちの居場所「アフタースクール」を運営・展開なさっているとうかがいました。こうした活動を始めようと考えたのは、どのようなことがきっかけでしたか?

平岩さん:
2004年、30歳のときに子どもが生まれ、ライフワークのように人生ずっと長い時間をかけて子どものために貢献できる活動ができたらなぁと思い始めたのがきっかけです。その流れの中で「放課後」というキーワードにたどり着き、現在に至ります。

当時は連れ去り事件など子どもが被害に遭う凶悪事件がとても多く、調べてみると下校中など午後3時から6時の時間帯に6~7割の犯行が集中しているというデータがあるんです。ああ、これは放課後におかしなことが起きているんだな、ということで活動の方針が定まりました。

中路:
放課後といえば共働き家庭の増加などで、お子さまが長い時間ひとりで過ごさなくてはいけないケースも増えていると聞きます。

平岩さん:
自分が子どもの頃は放課後に子どもたちだけで外で遊べる時代だったのですが、最近は放課後に公園などで遊んでいる子どもの姿はとても少ないですね。親御さんにお話を聞いても「小学1年生だけで外で遊ぶなんて、危なくてとんでもない!」という時代に変わりつつあり、あーこれは大変だな、と思って。

子どもが小学校に上がると、それまでの保育園時代よりもご両親の仕事・育児の両立が難しくなってしまう「小1の壁」という言葉があります。子どもの進学に伴いどちらかの親が仕事を辞めなくてはいけなかったり、逆に子どもを断念せざるを得ないご家庭もあったり、これは放課後の問題だな、なんとかしなくちゃ、と思いました。こうした背景から活動にどんどん力が入り、私自身も会社を卒業し、本気で取り組むようになりました。

中路:
現在までに首都圏を中心に21校のアフタースクールを開校・運営なさっていますね。

平岩さん:
まずモデルとなるアフタースクールをつくっていて、それを参考に、豊かな放課後が今後どんどん日本中に広がっていく、というのが私たちのゴールです。

経営効率を考えると特定の自治体にいくつも集中して開校したほうがよいのかもしれませんが、いずれ全国からご相談が来た場合のため、たくさんの自治体でいろいろなケースを経験しておきたく、現在は1つの自治体に1~2校ずつ分散させている形です。

子どもたちに必要なのは自己肯定感

中路:
アフタースクールでは子どもたちのため、どのような点を重視しているのでしょう?

平岩さん:
子どもたちに一番成長して欲しいのは、やはり自己肯定感ですね。自己肯定感とチャレンジ意欲にはデータでも高い相関関係があります。何にでも積極的にチャレンジする子というのは愛されていて、たとえ失敗しても「大丈夫だよ」と言ってくれる人がいて、心の中に安全基地があるんです。

子どもが成長する場としては家庭・学校・地域がありますが、地域にあたる「放課後」はこの自己肯定感を伸ばすには最適だと思っています。自己肯定感は自分の好きなこと、得意なことを誰かに「いいね」「成長したね」と褒められることで醸成される部分が多く、放課後はスポーツや読書、工作など好きなジャンルで力を発揮でき、大人を含めた同じ趣味を持つ他者と世代を超えて繋がりを持てる時間です。

中路:
アフタースクールのプログラムを拝見させていただきましたが、何百ものテーマがあってとても充実していて驚きました。これらはやはりお子さまからのリクエストを反映させているのでしょうか?

平岩さん:
現在は子どもたちからのリクエストを受けてのプログラムが増えてきましたが、当初は面白い特技を持った地元のかたを講師にお招きするなど、手探りの状態でプログラムをつくっていました。

最初は、ご年配の料理人のかたに和食づくりを教わるプログラムで、数回にわたる回の最後に子どもたちがつくった和食をご両親に召しあがっていただくものだったのですが、これは私にとっても非常に印象深く、その後の活動にも大きな影響を与えるものにもなりました。

参加者の中に学校での居場所を見つけられない、内向的な子がいたのですが、彼は料理人のかたが持ち込んだ素材の産地をクイズ形式でよく当てました。日頃スーパーなどで野菜や魚をよく見ていて素材に詳しいという特技があったのですが、今まで学校などでは披露する機会がなかったんですね。この特技からアフタースクールで彼は「素材王」と呼ばれ、料理人のかたにも「一番弟子」と呼ばれ、やがてプログラムでは「君がいてくれないと困るんだ」とまで言われるようになりました。

これで彼にとって居場所ができたんですね。自分を認めてくれる人がいる。それまで自己肯定感の低かった子にとって、こんなにうれしいことはないですよね。プログラム終了後、お母さまからお手紙をいただいたのですが、ご自宅で料理に励む様子、学校でも友達と打ち解けて積極的になった様子、さらには偏食も治ったなど喜びの声をいただきました。お母さま自身もこれまで子どものできない点ばかり見てしまったり、同級生と比べてばかりいたのを改め、彼のよい所や得意な点を人と比べずに見るように180度視点を変えるきっかけになったとのお言葉もありました。

この成功体験で私の活動にもさらに力が入り、お菓子づくりの上手なかた、編み物の上手なかた、とさまざまなジャンルから講師のかたをお招きし、プログラムは現在もどんどん拡充中です。

子どもたちの力で家を完成!

中路:
数あるプログラムの中で他に特に印象に残っているものは?

平岩さん:
一番スケールの大きなものは家を建てたプログラムですね。私は基本的にこうした本物のことをやるのが好きなんですね。せっかく放課後なので試験の成績とかも関係ないですし、失敗したっていいんです。それはそれで学びになりますので。

あるとき、子どもたちから警備員さんが入るためのプレハブ小屋をつくりたいという要望があったんです。おそらく子どもたちは気軽に言ったのだと思うのですが、やってみるかと。もちろん実際に使う小屋ですからプロの建築家さんと大工さんの協力も仰ぎましたが実際に子どもたちがデザインし、約1年半から2年かけて完成しました。

ずーっと釘を打っているだけといった地味な作業も長く続き、途中で脱落してしまう子も大勢いましたが、やはり下級生をリードしてくれるような子が出てくるんですね。家が完成した際、そのリーダー格の子は「将来は絶対建築家になる!」と宣言、今は高校生ぐらいになっていると思いますが実際に今でも建築家を目指していると思います。こうした本気の活動をやると、将来の夢を見つける子も出てくるんですよね。

中路:
そうして放課後の時間が充実すると、自分の居場所ができて、自己肯定感が高まると学校生活もよりうまく回るのかな、と思います。

平岩さん:
そうですね。生活全般、間違いなく良くなりますし、笑顔の時間も増えますし。学校がお休みの日も校舎で開催されるアフタースクールを楽しみにしてくれている子たちが多いようで励みになります。

そうそう、先日はピアノの得意な小学3年生の子が自発的にアフタースクールの曲をつくってきてくれたんですよ。これがとてもよい曲で感動して、スタッフの会議でもテーマソングとしてながしています。他にも雑誌をつくっている子たちもいるほか、アフタースクールの動画をつくってくれる子も多いですね。動画もナレーションなど編集が物凄く凝っていて、こうした子たちが大人になったときの表現力が今からとても楽しみですね!アフタースクール間の子どもたちによるミニSNSなども盛んです。こうした自由さと、子どもたちがどんどん発案していろいろなことにチャレンジしていくのがとても楽しいです。

子どものためのお金教育

中路:
人生においてとても大切なことながら、学校では教えてくれないお金のこと。
ソニー銀行では銀行業ならではの、子どもへのお金の教育なども社会貢献の一環として今後考えていきたいと思っています。

平岩さん:
今の小学生の中でも、YouTubeなどをよく見ている子たちは「楽に早く稼ぎたい」と思う傾向があるのが個人的にはちょっと気になっています。たとえば1,000円や1万円の価値についてみんなで考える。1万円を得るためにはどうすればいいか?1万円あると日本では何ができるか?その1万円を海外に旅をさせると何ができるか?お金は自分のために使うこともできるし、誰かのために使うこともできる。そうしたことを子どもがしっかり認識できるような機会を小学生のうちにつくってあげられるとよいと思っています。

実は先日開催したプロジェクトで、廃材を使って人形のようなオブジェをアートっぽくつくった子どもたちがおり、それを渋谷スクランブルスクエアで売ってみたんですね。値段は買う人に決めていただく形で。30個あるうち20個ほど、平均単価1,000円から1,500円ぐらいで売れて、2万から3万ぐらいの収入になりました。

次にそのお金をどう使うか子どもたちが話し合いをして、半分は寄付をすることに決めたんですね。彼らが体験したことは、最初はただのゴミに自分たちで価値をつけて、それを誰かが評価してくれてお金に変わって、そのお金を寄付して誰かを救うことができた、と。これは大人の世界の仕事にも通ずる部分があり、お金の本質を知るとても価値ある体験をしたなと思います。

社会全体で子どもを応援する社会づくりを

中路:
放課後NPOアフタースクールさまではこれまでお聞きしたアフタースクール事業のほか、企業×NPOのソーシャルデザインのプロジェクト事業が車の両輪と聞きます。

平岩さん:
これは企業さまと組んで教育プログラムをつくり、全国に届けるチームの事業ですね。ソーシャルデザインという名称には「社会全体で子どもを応援する社会をつくりたい」という願いを込めているのですが、残念ながら現在の日本はこの部分がまだかなり弱く、子育てが難しい社会です。

昔は子育ての場である学校・家庭・地域がバランスよく機能していたのですが、 現在は核家族化や共働き家庭の増加でこの役割が学校に偏ってしまい、先生の負担が過大になってしまっています。そこで社会・地域という資源をうまく使って学校と親を支援していかないと、今後学校では先生の成り手もいなくなってしまいますし、少子化にも拍車がかかってしまいます。

地域を巻き込んでのソーシャルデザインには、やはり企業さまとの協力が不可欠。企業の持つヒト・資源・技術を注ぎ込んで日本全国の子どもたちにより質の高い経験を届けながら、社会全体で子どもや子育てを応援する世界をつくっていきたいですね。まだまだ夢の途中ですが、今回のソニー銀行さまのような協働パートナー企業さまのお力を借りながら今後も頑張っていきたいと思います。

中路:
本日はどうもありがとうございました。

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