今、日本の金利は史上最低水準。銀行の普通預金にお金を預けても利息はほとんどつきません。そんな状況になると「投資に挑戦してみたい」という人も多くなるのではないでしょうか。今回は投資初心者にも始めやすい外貨預金のお話です。
外貨預金をすれば、お金を増やせる可能性があるのはもちろん、為替の動きの勉強になり、国際感覚も身に付きますよ。今回の記事を読んで、外貨預金の基本的なことを勉強して投資生活始めてみませんか?
まずはある程度余裕のあるお金(給料3カ月分)を貯めてから投資を始めよう
投資デビューを飾るにはどんな商品がいいでしょうか。え?株ですか? そうですね。うまく投資をするには知識や経験が必要なので、最初から難しいものに手を出さないほうがいいと思います。そこで比較的はじめやすいのが外貨預金です。そもそも外貨預金は預金なので、その国で使うとすれば目減りすることはありません。例えば、米ドルで外貨預金をして、アメリカ国内で使ったとしたら貨幣価値は変動することはありません。それにほとんどの場合、外貨預金の金利は円建てよりも高いのです。
ただし、外貨預金の特徴として、日々動く為替レートの影響を受けるということがあります。為替レートによってお金が増えることも、反対に損をすることもあります。ですから、投資をするには「ある程度お金に余裕をもってから始める」ことが大切です。具体的には給料の3カ月分程度を確保して少額からの投資に挑戦を。3カ月分あれば何か突然の出来事があったとしてもしばらくは安心です。
「円高」「円安」を理解しよう!
外貨預金をするには、「円高」「円安」を理解することが大切です。
世界にはさまざまな国があり、国ごとに違う通貨が使われています。日本は「円」、アメリカは「ドル」、イギリスは「ポンド」、ヨーロッパではドイツやフランス、イタリアなど19カ国が「ユーロ」、オーストラリアは「豪ドル」を使用しています。
旅行に行くときはその国の通貨に両替をしなくてはならないように、貿易の世界も為替レートによって取引が行われています。その交換比率は国の経済力、金利、政治問題、貿易収支などの影響で、常に動いています。
例えば、アメリカ旅行で10ドルのチョコを買うとき、1ドル=100円なら日本円で1,000円ですが、1ドル=120円なら同じチョコを買うのに1,200円が必要です。つまり1ドル=120円のほうが1ドル=100円に比べて円の価値が安くなるので「円安」、逆に1ドル=100円なら10ドルのチョコが1,000円で買え、円の価値が高くなるので「円高」です。
さらに「円高」「円安」を貿易に例えてみましょう。
例えば日本のコンパクトカーやハイブリッドカーはアメリカでも人気が高いのでどんどん輸出しています。アメリカで2万ドルする車は1ドル=120円のとき240万円が日本の自動車メーカーの売り上げになります。これが円高になって1ドル=100円になると200万円になり、同じ車を売るのに40万円も目減りしてしまいます。
一方、日本は小麦や牛肉をアメリカから輸入しています。アメリカで2万ドル分の小麦は1ドル=120円のときは240万円払わなくてはいけませんが、1ドル=100円なら200万円を払えばいいのです。
つまり円とドルの交換で、アメリカに物を売るときには「円安」のほうがよく、アメリカから物を買うときには「円高」のほうがよいのです。
外貨預金は「円高」で預金をし、「円安」で引き出すと利益が出る
このような「円高」「円安」を利用して、外国のお金を日本でいつも利用している銀行に預金し、お金を増やすことを狙うのが「外貨預金」です。ドルにしてもユーロにしても普通預金と定期預金があり、利息もつきます。
ただ、円を外貨に交換する際に、為替手数料が必要となります。為替手数料が高いと、為替変動による利益が得られにくくなりますし、逆に為替レートの変動がないと、手数料分損してしまいます。 円を外貨に両替をする為替手数料は大手銀行の窓口だと1ドル=1円(片道)、1ユーロ=1円50銭(片道)程度ですが、ソニー銀行は1ドル=15銭、1ユーロ=15銭と業界最低水準です。同じお金を預けるのだから、為替手数料は安いほうがよいに決まっています。
「外貨預金」のお金の増やし方も、考え方はとてもシンプル。「円高」のときに外貨に交換をして預金をし、「円安」で円に交換して引き出すとよいでしょう。
とはいえ、口では、「外貨預金は円高で預金をし、円安で引き出すとお金が増える」と簡単にいえますが、売買タイミングを上手にとることは難しいです。そこで「外貨積立」もあります。積み立てなら毎月同日、同額を預金していくので、「円高」のときは多く、「円安」のときは少なく預金することになり、全体で見て平均購入単価を平準化することができる「ドル・コスト平均法」が効いてきます。
外貨預金デビューにおすすめなのは、やっぱりアメリカのドル。なぜならアメリカ経済に関する情報はとても多く、手に入りやすいため、米ドルの売り買いの判断をしやすいからです。