ソニー銀行が協賛した、約5年ぶりに活動再開を発表したCHEMISTRY再始動ライブ『CHEMISTRY LIVE 2017 -TWO-』が、2月28日、3月1日の2日間、東京国際フォーラム ホールAで開催されました。ここでは、ソニー銀行のお客さまもご招待した公演の模様をお伝えします。
CHEMISTRY、5年ぶりに活動を再開。二人が寄り添いあった歌声は、未来へ続きの物語を描き始めた。
ここは、懐かしい人たちとの再会の場!?
二人揃って逢えるのは、この日が約5年ぶり。いや、人によっては、もっと長い歳月CHEMISTRYの二人と直接出会う機会を逸していた人たちも多かったと思う。
取材を通して足を運んだのは、約5年ぶりに動きだしたCHEMISTRYの復活ライブ【CHEMISTRY LIVE 2017 ‐TWO‐】の2日目に当たる3月1日(水)東京国際フォーラム ホールAを舞台にしたライブ。
会場に足を運んだとき、その場に生まれていたのはファンたちの再会の挨拶。「CHEMISTRYが好き」という共通項を持つ全国各地の人たちが、この2日間の記念日を目撃しようとそれぞれの住む街からこの地へ足を運んでいた。
久しぶりに見慣れた顔を発見した嬉しさがあったのだろう、場内のあちこちで顔を合わせたことを喜ぶ会話が聞こえ、同じ共通の趣味や目的を持った仲間どうし、CHEMISTRY話に花を咲かせていた人たちをたくさん見かけることが出来た。
何より嬉しい意外性だったのが、若い人たちの姿も相応に目にしたこと。CHEMISTRY自体活動歴が長いので、最初に出会った年齢が幾つであれ、二人と一緒に青春や歳月を過ごしてきた人たちが圧倒的に多かった。あの頃の青春の続きを時空を超えて繋ぎ合わせようとしていた人たちが中心になっていて、それが当たり前の風景だと思っていた。が、CHEMISTRYの歩みに触れている期間がそれほど長くはないだろう人たちも少なからずいたことに素直に喜びも覚えていた。何故なら、CHEMISTRYの音楽が時代や世代を超え連綿と受け継がれているという証拠だから。良い音楽は時代を超えるように、CHEMISTRYの楽曲もそうなっていることを、この日改めて実感することが出来たのも嬉しかった。
16年ぶり、懐かしい痛みがフッと甦ってきた...。
闇が支配した場内。まばゆい光に包まれた中、シルエットのまま舞台上から美しいハーモニーを響かせる二人の姿が瞼に飛び込んできた。それは、過去に何度も何度も瞼や記憶にしっかりと焼き付けてきたCHEMISTRYの姿。
もう何に興奮したって、CHEMISTRYの始まりを告げた歌...つまり、デビュー曲の『PIECES OF A DREAM』から幕を開けたこと。あの瞬間、きっと大勢の人たちが瞬時に心の時間を巻き戻し、あの頃の...青春を眩しい輝きではなく、リアルな息吹として感じていた当時の"私"や"僕"へ戻っていた。数えきれないほど耳にしたお馴染みのフレーズが胸へ届くたびに、心の躍動を抑えられなかった。気がつけば16年前の自分になってうっとり歌に酔っては心を桜色に優しく染め上げていた。
何より懐かしい痛みがフッと甦って来たような気分だった。
それまでのセピアな色の風景に、次々と鮮やかな色が塗り重なるように、気持ちもどんどん華やかさを求めだしていた。
熱い手拍子を舞台上に返しながら、スタイリッシュな『FLOATIN'』に心躍り、心を潤す『Point of No Return』へ想いを寄り添えずにいれなかった。この不思議な感覚は、どう伝えれば良いだろう!?それまでのセピアな色の風景に次々と鮮やかな色が塗り重なるよう、気持ちもどんどん華やかさを求めだしていた。
その気持ちへ熱を抱いた灯(あかり)を灯したのが、情熱メロウな『It Takes Two』だった。歌が進むごとに秘めた熱情が次第に燃え盛ってゆく。そんな気持ちへ心が襲われていく。続けざま、しっとりメロウな『愛しすぎて』を届けた頃には、沸き上がった情熱という冷めない種火がしっかり心に点けられていた。
「この日は再始動ライブです。ここから勢いをつけて盛り上がっていきましょう」。川畑要の言葉に続いて流れたのが、昨年、復活へ向けたHPが立ち上がったときに告げたメッセージとも重なる『BACK TOGETHER AGAIN』。川畑要のメインヴォーカルへ、ファルセットな歌声を重ねてゆく堂珍嘉邦。二人の歌声の絡み合いへ、なんと美しくも耳を惹くスリリングな興奮を覚えたことか。
楽曲はメロウなのに、二人の歌声へ力強い躍動を覚えた『deep inside of you』。『キスからはじめよう』では互いに向かい合い、言葉を噛みしめるよう、火照りだした気持ちを抱きながらハートフルに歌いかけてきた。
二人の歌声とメロディーに乗せる言葉は、目の前で想いを告白するようにも響いていた。
中盤にはアコースティックな演奏に乗せて歌を届けてゆくコーナーが登場。蕩けてしまいそうなほどメロウな香りを持って歌を届けた、『YOUR NAME NEVER GONE』。ただ酔いしれるだけではない、二人の歌声とメロディーに乗せる言葉は目の前で想いを告白するようにも響いていた。
郷愁感を呼び起こすかのような、物悲しい響きがある『合鍵』。ここではヴァイオリニストとの妖艶な掛け合いが曲の持つ世界観へ一気に引き込まれた。
同じくアコースティックな編成ながら、前2曲が心の内側に寄り添う歌なら、『Naturally Ours』では光の瞬きを感じさせながら、触れた人たちの気持ちをふたたび躍動へ導きだしていった。その心地好い一体感に包まれていると、自然と明日へ向かって笑顔で歩ける気分にもなっていた。
今日のライブは始まりです。ここからまた一緒にCHEMISTRYの歴史を刻んでいきましょう。
ここからは、ストリングスも加えながらのスタイルへシフト。優しく、その中に力強さを持って想いを伝えていった『アシタへカエル』。『almost in love』では、じんわりと染みだした歌や演奏が後半へ進むにしたがいドラマチックな展開を描き出し、何時しか胸打つドラマを一人一人の心の中に映し出していた。
「今日はCHEMISTRYの選び抜いたヒットソングを次々お届けします」(川畑要)。その言葉を示すように流れたのが『Wings of Words』だった。誰もが歌を通し手にした羽を広げながら、力強く気持ちを前へと押す二人の歌声へ優しく酔っていた。二人はこう歌いかけてきた、「空は飛べないけど 翼ならあるのさ」と。そう、CHEMISTRYが装着してくれた歌の羽を広げるだけで、心は空へ向かいしっかりと羽ばたいていた。とても開放的な景色の見える想いへ、気持ちは心地好く浮かれていた。
『伝説の草原』が始まるとバンド演奏は躍動感を増した。身体中へ一気に光が降り注ぐ気分。光のシャワーを浴びていると表現するのは言い過ぎか。でも、それくらい気持ちを弾ませる強い衝動を覚えずにいれなかった。
晴れた爽やかな空気を運んできた『キミがいる』。メンバーから優しく歌の手を差し伸べられた気持ちさえ覚えた『independence』。とても温かい、でも心踊るドラマを感じずにいれなかった『SOLID DREAM』。この頃にはもう、火照った気持ちをどう発散させれば良いかわからず、身体も心も浮足だっていた。
「今日のライブは始まりです。ここからまた一緒にCHEMISTRYの歴史を刻んでいきましょう」(川畑要)の言葉を受け、本編最後を飾ったのが、気持ちへジワジワと熱を与えてゆく『You Go Your Way』。「想いは想いのままで」と響くこの歌は悲しさを秘めている。でも、そんな気持ちさえ忘れさせるよう互いの気持ちを抱きしめあう喜びを、この歌へ感じずにいられなかった。
新生CHEMISTRY、みんなで夢の続きを一緒に観ていきましょう。
アンコールは、活動休止前ラストライブの最後の曲として歌った『TWO』からスタート。今回のライブタイトルへも記したように、この歌はとても深い意味や想いを携えていた。むしろ、あのときの終わりをまたここから始めよう。『TWO』をアンコールの冒頭へ据えたのは、彼らなりに深い想いや愛情があってのこと。
光が降り注ぐように始まった『君をさがしてた~The Wedding Song~』。力強く想いが胸に響いた『My Gift to You』では、場内を埋めつくしたファンたちによる合唱も生まれていた。
「この日のための新曲です。新生CHEMISTRY、みんなで夢の続きを一緒に見ていきましょう」(堂珍嘉邦)と告げた後、最後の最後に届けたのが、復活後最初に作り上げた新曲の『ユメノツヅキ』。この歌詞には、過去に彼らが歌ってきた楽曲のタイトルがいろいろ詰め込まれている。まさに『ユメノツヅキ』は、あの頃からの夢の続きをこれからみんなと一緒にふたたび始めようという、彼らからの呼びかけの歌。ついステップを踏みたくなる楽曲のように、とても心地好いノリを持っている。ふたたび一緒に光へ向かってゆくうえで、こんな頼もしい相棒はなかなか見つからない。そんな素敵なパートナーのような曲と、この場で出会えたことが嬉しかった。
CHEMISTRYが今後どんな新しい歩みの歴史を刻んでゆくのか!?その目撃者として、ぜひ一緒にこの道を歩んでいきたいと思わせるライブだった。