仕事にやりがいを感じていて、それなりに収入もあるおひとりさま40代。でも、そろそろ老後のことが気になり出しているかたが多い年代ではないでしょうか。そんなおひとりさま40代の貯金額を確認し、安心できる老後を迎えるための準備方法を確認しましょう。
目次
- 約4割は貯金額1,000万円以上?!
- おひとりさまは貯蓄ゼロの人も多い?
- 真剣に考えたい!おひとりさまの将来
- ライフイベント表を作ってみよう!
- 40代のおひとりさまにあえて投資をすすめる理由
- まずは投資信託をはじめてみよう
1. 約4割は貯金額1,000万円以上?!
キャリアも人生経験も豊富な40代。実際40代のおひとりさまはどれくらい貯めているのでしょう?
日本銀行に事務局を置く金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(平成29年)」によると、金融資産を保有する40歳代単身世帯では、保有額の平均は1,747万円と発表されています。みなさんはこの数値をご覧になっていかがでしょうか?
「意外にみんな持っている!」と思ったかたも多いかもしれませんね。
平均値は一部の高額保有者によって全体の額が大きく引き上げられていることもありますが、同調査で1,000万円以上の金融資産を保有している人の比率をみると全体の約4割(39.5%)にものぼります。
ちなみに、40代の二人以上世帯の平均貯蓄額は1,014万円で、1,000万円以上の貯蓄がある世帯は全体の約3割(31.3%)です。同じ40代でも、おひとりさまの貯蓄は、二人世帯よりも平均で700万円ほど上回っていて、かつ1,000万円を超えているかたも多いということがわかりますよね。
2. おひとりさまは貯蓄ゼロの人も多い?
ただし、おひとりさまは貯蓄がない人の割合も多いようです。
同調査では、単身世帯の「金融資産の有無に関する調査」を実施しています。それによると、おひとりさま40代の約半数以上(54.1%)が「金融資産を保有している」と回答しているのですが、「金融資産を保有していない」割合も約半分(45.9%)ということがわかりました。
これに対して、40代の二人以上世帯では、66.3%の人が「金融資産を保有している」と回答しているのに対し、「金融資産を保有していない」世帯は33.7%となっています。
つまり、40代おひとりさまの貯金額は、40代の二人以上世帯に比べると「多い傾向にある」のですが、貯蓄の有無に関してはいえば、おひとりさま世帯は二人以上世帯より「貯金のない人も多い」ということもわかりました。
3. 真剣に考えたい!おひとりさまの将来
40代といえば、若い頃よりもワンランク上のものを手に入れたい年代。例えば旅行ひとつとってみても、20代や30代の時よりもワンランク上のホテルに泊まる。飛行機もエコノミーではなくビジネスクラスを利用する。洋服や小物選びも若い頃に比べると、より上質なものや素材のよいものを好むようになる年代ではないでしょうか。つまり、自分のためにお金をかけるようになるのが40代おひとりさまなのです。
こうしてみると、40代おひとりさまは、収入がそれなりにあるけれど、支出もまた多いため、しっかり貯めてきた人はそれなりの貯金がある一方で、貯まっていない人も多いというのが特徴として挙げられるようですね。
ただし、近い将来は何が起きるかわからないというのも40代の特徴です。例えば、40代以降は、がんなどの病気になる確率が年々高まり、突然働けなくなることもあるかもしれません。また、先行き不透明な世の中において、現在の勤務先から突然解雇されるということがないとも限りません。特におひとりさまの場合は、自分自身が働けなくなることによる経済的なダメージは、とても大きいものとなりますよね。
ほかにも、ずっとおひとりさまでいた場合、老後の住まいをどうするか、万一自分に介護が必要になった時に何を頼るかなど、備えることや考えることがたくさんあります。
少し暗い話になってしまいましたが、40代は将来について真剣に考える年代でもあるのです。一刻も早く老後に向けた将来の資金計画を立てることが、安心できる老後を迎えるために必要なのです。
4. ライフイベント表を作ってみよう!
そんな心配を払拭するために、まずはライフイベント表を作ってみることをおすすめしたいと思います(下図参照)。ライフイベント表とは、将来自分に起こり得るライフイベントと、その時に必要な金額を時系列で書き込む表のことです。ライフイベント表には、結婚や住宅購入、定年退職する日などの今後起こり得るライフイベントを書き込んでいきますが、そのような形式的なものだけではなく、自分の夢や目標など、ワクワクすることもどんどん書き込んでいくとよいでしょう。
40代のみなさんは、まずライフイベント表に今後20年間くらいの予定を書き出してみるのがよいでしょう。向こう20年間の予定を実際に書き出してみると、今までもやもやしていた頭の中がすっきりと整理され、今やるべきことや必要なお金が明確になるメリットがありますので、すぐに作ってみてください。
<ライフイベント表 イメージ>
5. 40代のおひとりさまにあえて投資をすすめる理由
みなさんは、今までどのような方法で、お金を貯めてきたでしょうか?
おそらく多くのかたは、職場の社内預金制度や財形貯蓄制度、または銀行の定期預金など、元本保証型の商品で資産形成されてきたのではないでしょうか。でも筆者は、あえて40代おひとりさまには、投資をはじめてみることをおすすめします。なぜ投資なのでしょうか?
普段私たちは、働くことでお給料を得るといういわゆる「労働収入」がメインとなっています。しかし今後、もし何かしらの理由で働けなくなったとしたら、労働だけの収入だとその時点で途絶えてしまうこともあり得ますよね。でも投資なら、自分がどのような場所にいたとしても、お金がお金を生み出す仕組みにより、運用成果(収益)を受け取ることができるのです。
収入を得る手段は多いに越したことはなく、年金が主な収入となる老後に、投資で年金以外の収入が得られれば、大きな助けになるはずです。特におひとりさまの場合は、老後に万一のことがあった場合に、お金で解決できるケースも多々あるかもしれません。老後の安心を手に入れるためのひとつの手段として、投資があることを覚えておいてくださいね。
6. まずは投資信託をはじめてみよう
投資には興味があるけれど、いったいどんな投資を選んだらよいかわからないというかたは、まず投資信託をはじめてみてはいかがでしょうか。投資信託は、運用のプロであるファンドマネジャーが私たちに代わって運用してくれて、少額からはじめられる、初心者にも向いている運用商品なのです。ほかには、リスクを分散しながら世界中に投資ができることや、商品の種類がたくさんあること、積み立てプランを選べば、無理なく手間なく積み立てられるなどの点なども、おすすめの理由として挙げられます。
とはいえ、「投資はこわいもの」と思うかたがいらっしゃいますが、本来の投資は、中長期的な視点で、リスクを抑えながら資産形成を目指すことを意味し、決してギャンブルのように短期的な売買で運用成果を狙うものではありません。そのことは理解しておきましょう。
また、当然ながら投資には元本割れのリスクがつきもの。けれども、投資先や時間を分散させることで、リスクをある程度コントロールすることが可能となります。 40代のおひとりさまは、来るべき老後に向けて、少しでも早く投資をはじめて経験を積んでいくことが理想ですね。
【小澤美奈子 おざわみなこ】
ファイナンシャルプランナー(FP)
大学卒業後、損害保険会社(現あいおいニッセイ同和損保株式会社)に就職し、人材教育部門で社員教育・研修講師などの経験を積む。約12年間勤務の後、外資系損害保険会社に転職し、火災保険の営業を担当。
2012年にファイナンシャルプランナーとなり、FP事務所、大手住宅メーカーを経て独立。現在はウェブや書籍などでの執筆、セミナー講師、個人向けコンサルティングなどを行う。
日本FP協会、神奈川県FP協同組合、WAFP関東に所属。
趣味はカメラとクラシックバレエ。
ホームページ http://kandbplanning.org/