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2024年の為替はどう動く?米国経済、株価についても解説!チーフアナリスト 尾河眞樹 特別インタビュー

2024年に入っても為替市場は値動きが激しく、今後の予想が難しい状況が続いています。
そんな中、新NISAの開始などで、投資への注目度が高まっています。今年ははじめて投資にチャレンジしたいと考えるかたも増えるのではないでしょうか。
今後の為替や米国経済、最近話題の株価について、おなじみのソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河眞樹にインタビューしました。

気になるドル円の動向

Q1: 2023年12月末に140円台まで下落したドル円ですが、2024年3月27日には151円97銭と、34年ぶりの円安・ドル高水準を付けました。2ヶ月で約10円以上ほど円安が進行するなど、値動きが激しい状況が続いていますが、この背景を教えてください。

A1: ひとつには、政策金利が5%台という、高金利状態が続いているにもかかわらず、米国経済が予想外に堅調であることが挙げられます。3月19、20日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)時点では、市場では6月から利下げが開始されることが8割程度織り込まれていましたが、4月4日現在の本稿執筆時点では、63%台まで織り込み度は低下しています。これは、FOMC以降これまで公表されてきた米国経済指標が強かったためで、米長期金利の上昇と、ドル高に繋がっています。
もうひとつには、日銀の政策スタンスが挙げられます。日銀は3月の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除し、金融政策の正常化への第一歩を踏み出しましたが、次の利上げは急がず、当面緩和的な政策を維持するだろうとのスタンスを維持していることも円安圧力に繋がっているとみています。

ドル円終値の推移

日付 終値
2023年9月29日 149.35円
2023年12月29日 141.06円
2024年36 149.37円

Q2: 昨年11月、尾河さんにインタビューをした際には2024年のドル円は下落トレンドになる見通しとお聞きしました。それから3ヶ月ほど経過しましたが、2024年ここまでの流れを踏まえて、見通しに変化はありますでしょうか。

A2: はい。米国経済は減速傾向にはあるものの、年初の段階で想定していた以上に堅調です。ひとつには、実質所得の増加が挙げられます。米国のインフレは、コアPCEデフレーターで見ると、前年比の伸びが一時は5%を超えていましたが、足下では2.8%と、3%を割れてきています。これによって、家計の実質所得が増加しており、個人消費の堅調さに繋がっています。
また、米国の場合は、家計の金融資産の4割が株式になっていますから、これまでの米株価の上昇に伴う「資産効果」によって、人々の財布の紐が緩んでいることも背景に挙げられると思います。
なお、「スーパーコア」と呼ばれる、家賃を除くサービス価格も2月は前年比の伸びが低下していたことを踏まえれば、緩やかながら今後もインフレは抑制されていくと予想されますので、6月には利下げが開始されると見ています。
日米実質金利差が縮小すれば、ドル安・円高が進行するとの予想は変わっていません。ただし、米金融政策に対する市場予想の変化や、日米の短期金利差を狙った円キャリー取引の活発化などにより、想定以上に円安・ドル高が長引いているのも事実です。したがって年初の段階からは、大幅に上方修正し、現状では24年度末のドル円の予想値を141円としています。

米国経済は今後どうなる?

Q3:2024年に入ってからの米雇用統計は、市場予想を上回る強い結果が続いており、サプライズになっています。為替を予想するうえで米国経済は鍵になると思いますが、今後の見通しを教えてください。

A3:先ほどお伝えした通り、米国経済は足下堅調です。ただ、労働需給に緩みがみられているのも事実です。パウエル議長も注目している求人倍率(1人の失業者につき、何件の求人があるか)は、2022年7月の2.0倍から今年2月には1.5倍まで低下しており、これと共に米国の賃金上昇率も当時の7.7%から、5.0%まで低下しました。
また、米国の自発的離職率(より良い職場環境を求めるなど、自己都合で離職する人の割合)は低下しつつあります。米国経済は緩やかに減速するものの、あくまでソフトランディングに留まりそうです。
今年6月からは、高すぎる実質政策金利を緩和するための、調整利下げに踏み切ると予想しています。ただし、個人消費の堅調さや株高などからすれば、再びインフレが加速するリスクもゼロとは言えず、仮にそうなった場合には利下げどころか追加利上げを強いられることになり、その後の米株価や経済には相当程度ダメージを及ぼす可能性がある点には注意が必要でしょう。

日系企業の株高を解説

Q4: 日本経済についてもお聞きします。日経平均株価は3月はじめにこれまでの最高値を更新しました。日本のGDP成長率が不調にもかかわらず、ここまでの株高を記録しているのはなぜでしょうか。

A4: そうですね。この株高の立役者は海外の投資家で、実は日本人の個人投資家はこの上昇局面の波にはあまり乗れていないようです。海外勢の日本株買いの主な要因としては、昨年3月に東京証券取引所が発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」が挙げられます。上場企業に資本効率や収益性を意識した改革を求める内容で、これに応えて企業が株主還元を強化したことが海外投資家の好感を得ています。
また、「賃金と物価の好循環」が日本で達成されるとの期待が高まっていることも挙げられるでしょう。さらには、「チャイナリスク」を嫌って、これまで中国に向かっていた海外の投資マネーが日本に向かっていることも挙げられるでしょう。そのほか、米国株の上昇に伴い、分散投資の資金配分を一定に保つ目的で、海外勢が日本株を買っている面もあります。

日経平均株価の推移(月末終値)

年月 終値
2022年331 27,821.43円
2022年1230 26,094.50円
2023年1229 33,464.17円
2024年36 40,090.78円

これからはじめて外貨を購入するかたへ

Q5: ソニー銀行ではキャンペーンの影響もあり、外貨購入を目的に口座開設をするかたが増加しています。NISAをはじめとする資産運用にも注目が集まる中、運用先として外貨にもさらに関心が高まることが予想できます。そこで、これから外貨運用を始めたいかたに向けてメッセージをいただけますでしょうか。

A5: はい。日本の潜在成長率が0.7%程度に留まっていることを踏まえれば、積極的に海外の資産に投資をし、海外の経済の成長を取り込むという考え方は、非常に重要になってきます。外貨預金などは、外貨そのものを購入するので分かりやすい商品ですが、円建ての投資信託でも、グローバルな株式や債券に投資していて、実は為替相場の影響を大きく受けるものも多いです。
このため、資産運用されるにあたり、外国為替市場への関心を高め、理解を深めていただくことはとても大事だと思います。このところドル円相場も大きく変動しますし、すでに150円を超える円安が進行している中で、これから外貨投資することに対し、不安を感じるかたもいるかもしれませんが、毎月同じ円価でコツコツと外貨を積み立てる、所謂「ドルコスト平均法」であれば、円高の際には多くの外貨を買い、円安の際には少なく買う形で購入を継続することにより、結果的に効率的に外貨資産を増やしていくことができます。
ですから、長く投資を続けるかたにとっては、いつ始めても良いと思いますし、安心して続けられる投資手法と言えるでしょう。

2023年1月を100とした場合の外貨口座開設数

年月 口座開設数推移
2023年2 96
2023年5 129
2023年8 133
2023年11 271
2024年2 144

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