2025年1月10日(金)、日本時間22:30に米国で12月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「ドットチャート公表後の12月雇用統計」
ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹
12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の利下げが決定されました。これ自体は市場の予想通りだったものの、FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドットチャート)は、全体的に引き上げられました。
特に、2025年の利下げ予想が9月時点のドットチャートから大きく引き上げられ、通年で4回の利下げ予想が、2回に減少していたことは、米連邦準備理事会(FRB)が予想外にタカ派に傾いていることを印象付け、市場参加者にとってはサプライズとなり、ドル高に繋がりました。
加えて、パウエル議長は記者会見で、「今日の利下げはきわどい判断だった」と述べたうえで、「労働市場は極めて緩やかに減速しつつある」「さらなる利下げを決定するためには、インフレの抑制や雇用の減速がさらに進んでいることを期待したい」などと発言。
また、「雇用とインフレが堅調である限り、我々は利下げに『慎重』になることができる」と、場合によっては早期に利下げを見送る可能性もあることを示唆しました。
これにより、1月10日に公表される12月の米雇用統計への注目は、益々高まっています。非農業部門雇用者数は11月の、前月比19.4万人増から同13万人程度の増加へ、伸びが減速していることが予想されていますが、こうした予想に反し、雇用の伸びが拡大していた場合には、1月29日、30日に開催されるFOMCでの利上げ見送りが意識され、ドルが急上昇する可能性もありますので注意したいところです。
プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)
プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)
ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より当社執行役員。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『為替ってこんなに面白い!(2024年幻冬舎新書)』、『〈最新版〉本当にわかる為替相場(2023年日本実業出版社)』などがある。ソニー銀行株式会社取締役、ウェルスナビ株式会社取締役。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年1月 | +15.0万人 | ||
2024年12月 | +20.0万人 | +22.7万人 | |
2024年11月 | +10.0万人 | +1.2万人 | +3.6万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年1月 | 4.2% | ||
2024年12月 | 4.2% | 4.2% | |
2024年11月 | 4.1% | 4.1% | 4.1% |
出所:時事通信社(2025年1月6日(月)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年12月6日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年11月1日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年10月4日発表分)