
2025年3月7日(金)、日本時間22:30に米国で2月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「次の利下げ時期の思惑に繋がる」
ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 石川 久美子
ドル円相場は今年に入り、値動きの荒い展開が続いています。ドル円相場を動かしているのは、大きく分けて(1)米国の金融政策、(2)日銀の金融政策、(3)貿易戦争や地政学要因についての市場の思惑です。今回の米雇用統計については、(1)の部分で重要となっています。
1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)においては、足下の米国経済が堅調であることから、利下げについて「急ぐ必要はない」との判断から利下げは見送られました。実際、2月7日に発表された前回1月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を下回った一方、過去2ヶ月分は上方修正されたほか、労働参加率が上昇する中で失業率が改善し、平均時給も市場予想を上回るという、総じて米国経済の底堅さを示す内容でした。
ただ、その後は弱い1月小売売上高を受けてドル売りが強まる場面がある一方、物価関連指標に関しては上振れが見られ、インフレ再加速懸念からの追加利下げ時期後退の思惑からドルが買われる場面もあり、ドル円は揺れ動いています。上述の(2)や(3)の要素もあいまって、その値幅は比較的大きくなりやすいのがここ最近の相場になります。
前回の雇用統計発表直後のドル円相場は、「総じて底堅い」結果とはいえ、弱いデータも混ざったことで乱高下しました。今回の2月の雇用統計も、その内容が好悪入り混じるものとなれば、同様に比較的大きな値幅でドルが乱高下する可能性があります。
プロフィール
石川 久美子(いしかわ くみこ)
プロフィール
石川 久美子(いしかわ くみこ)
商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。外国為替市場に関するレポート執筆の他、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」など多数のテレビやラジオ番組に出演し、金融市場の解説を行う。また、Xでの情報発信なども行っている。資源国・新興国通貨に強い。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年3月 | +15.7万人 | ||
2025年2月 | +17.2万人 | +14.3万人 | |
2025年1月 | +16.4万人 | +25.6万人 | +30.7万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年3月 | 4.0% | ||
2025年2月 | 4.1% | 4.0% | |
2025年1月 | 4.2% | 4.1% | 4.1% |
出所:時事通信社(2025年2月28日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年2月7日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年1月10日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年12月6日発表分)