
2025年2月7日(金)、日本時間22:30に米国で1月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「利下げ期待の後退余地は限定的か」
ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 森本 淳太郎
前回2024年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回ったうえ、失業率も前月の4.2%から4.1%に改善するなど、米国の雇用の底堅さが改めて意識される結果となりました。ただ、発表当日のドル円相場の反応を見ると、一旦は大きくドル高に振れたものの、その後は下値を切り下げる展開となっています。
要因として考えられるのは、日米の金融政策への思惑です。日銀の次の一手は利上げである一方、米連邦準備理事会(FRB)の次の一手は利下げと、金融政策の方向性が真逆を向いており、さらに160円に近接する場面では日本の当局による為替介入への警戒感も強まる中で、一方的にドル高にポジションを傾けにくい状況となっています。
FRBの利下げ期待は、すでに執筆日(1月23日)時点で年内1.5回程度まで後退しており、雇用統計の結果が相当弱いものとならない限りは、これ以上の後退余地は限定的です。今回の雇用統計の結果のみを受けて、継続的なドル高が進行する可能性は低いと考えられます。
ただ、トランプ米大統領の政策を巡る思惑には注意が必要です。雇用統計当日近辺で、関税に関するネガティブな報道が出れば、インフレ再燃が意識され、雇用統計も強い結果に敏感に反応しやすくなることが予想されます。発表日を迎えるにあたり、市場のムードがどちらに傾いているか、見極めながらの相場となりそうです。
プロフィール
森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)
プロフィール
森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)
みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月より現職。外国為替市場の調査・分析業務、特にユーロやポンド、スイスフランなどの欧州通貨を専門に担当。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、TOKYO MX 「Stock Voice 東京マーケットワイド」、日経CNBC「朝エクスプレス」「GINZA CROSSING Talkマーケットニュース」などにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。2013年東京大学経済学部卒。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年2月 | +15.5万人 | ||
2025年1月 | +16.4万人 | +25.6万人 | |
2024年12月 | +20.0万人 | +22.7万人 | +21.2万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年2月 | 4.1% | ||
2025年1月 | 4.2% | 4.1% | |
2024年12月 | 4.2% | 4.2% | 4.2% |
出所:時事通信社(2025年1月31日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年1月10日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年12月6日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年11月1日発表分)