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知識ゼロでもわかる 住宅ローン控除を受けるための確定申告のやり方

「家を買ったら確定申告は忘れずに!」と聞くけれど、「確定申告ってよくわからない」というかたも多いでしょう。

住宅ローン控除や還付金など、あまり聞きなれない言葉もあって、なんだかとっても大変そうに思っていませんか?

そこで今回は確定申告について、はじめての人にもわかりやすく解説します。ちょっと面倒そうに思っても、納めた税金がまとまって戻ってくる大事な手続きですから、しっかりと流れを理解しましょう。

なお、以下の内容は2018年10月末現在の税制に基づいて記載しています。実際の確定申告に当たっては、最寄りの税務署や税理士にご相談ください。

目次

  1. まず確定申告について知ろう
  2. 住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは
  3. 確定申告のやり方
  4. 住宅ローンの確定申告で損をしないために注意すること
  5. 住宅ローンの確定申告で困ったときの問い合わせ先

1. まず確定申告について知ろう

所得を得た人は、所得税の申告をして税金を支払う義務があります。確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に「いくらの所得があったのか」「所得に対する所得税はいくらになるのか」を計算して、所得税額を税務署に申告する手続きのことです。通常2月16日から3月15日までの期間に申告をします。

もしも所得税の計算をして税金を納めすぎているなら「還付申告」となり、納めすぎた税金が戻ってきます。

なお給与所得者であるサラリーマンは、会社が所得税を概算で計算して、給与から毎月天引きし、本人に代わって税務署に納税しています。概算で納めた税金は、最終的に年末に再計算をし、税金が足りなければ徴収され、多ければ還付されます。これが「年末調整」です。

よく、会社から12月ころに、生命保険などの書類提出を求められることがありますが、それは年末調整の計算のために必要な書類だからです。

給与所得者は会社が年末調整をしてくれるので、自分自身で確定申告をしないかたが多いようです。ただし、年末調整で手続きできないものは、確定申告が必要になります。

会社の年末調整ではできない手続きのひとつに、「住宅ローン控除」があります。住宅ローン控除は、多く納めすぎた税金を戻してもらうための手続きで、必ず確定申告が必要です。

「住宅ローンを組んだら確定申告が必要」といわれるのは、自分で確定申告をしなければ、税金が戻ってこないためなのです。ただし、確定申告をするのは1年目だけで、2年目以降は、会社の年末調整で手続きすることができます。

2. 住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した人や、省エネやバリアフリーなど一定の要件を満たす改修工事をした人が、10年間にわたり、年末の住宅ローン残高の1%が所得税から控除され、納めすぎた所得税が戻ってくる制度です。住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、俗に「住宅ローン減税」と呼ばれる場合もあります。

住宅ローン控除を受けるには、住宅ローンの返済残高が10年以上あることや、控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であることなど一定の要件に該当することが必要です。

いくら戻ってくる

住宅ローン控除は納めすぎた税金が戻ってくる制度ですが、どのくらいの額が戻ってくるのか気になりますよね。条件を整理して、実際に計算してみましょう。

10年間、ローン残高の1%が控除されるわけですが、ローン残高や控除額に一定の上限が設けられています。

  • 対象となるローン残高は年末時点で4,000万円以下の部分(一般住宅)
  • 所得税で控除できる最大額は年間40万円、10年間で400万円

原則は所得税からの控除となりますが、控除可能額が控除前の所得税額を上回り、所得税から控除しきれない場合は個人住民税から最大13万6,500円まで控除することができます。

たとえば、年末の住宅ローン残高が3,000万円、年末調整の所得税が15万円のとき、計算式は次の通りです。

住宅ローン残高3,000万円×控除率1%=控除額30万円
控除額30万円-所得税15万円=15万円(引ききれなかった控除残)
控除残15万円-住民税13万6,500円=13,500円(使いきれなかった控除額)

上記の計算例では、所得税で15万円、住民税で13万6,500円が戻ってくる税金です。合計28万6,500円ですから、かなりの額になりますね。

この例では所得税から引ききれず、住民税から引いても使いきれなかった控除額13,500円がでましたが、たとえ使いきれなかったとしても、来年度以降への繰り越しはできません。

控除の要件

住宅ローン控除を受けるためには、新築住宅の場合、中古住宅の場合それぞれに一定の要件があります。

詳しい内容については、国税庁ホームページか、税務署で確認しましょう。

いつどうやって戻ってくる

確定申告で住宅ローン控除をした後、納めすぎた税金は、いつ、どのように戻ってくるのか、確認しましょう。

手続きから振込までの流れは以下の通りです。

  1. 確定申告で住宅ローン控除を申告する
  2. 還付金が確定する
  3. 約1カ月~1カ月半後に「国税還付金振込通知書」が届く
  4. 通知書が届いた数日後に指定口座に振り込まれる

上の例は申告がスムーズに進行した場合の目安です。いつごろ納めすぎた税金が戻ってきそうか、申告の際に税務署で確認するのがよいでしょう。

確定申告のやり方

確定申告は、いつ、どこで行うのか、必要な書類や作成の仕方など、具体的な確定申告のやり方を確認しましょう。

いつ

確定申告は通常、所得を得た年の翌年2月16日~3月15日までの期間内に提出します。

ただし、給与から天引きされた所得税以外に納税するものがなく、住宅ローン控除のように納めすぎた税金を戻してもらうための「還付申告」なら、上記の確定申告期間は関係ありません。たとえば2018年分の還付申告なら、2019年1月から申告が可能です。

どこで

手続きは、住民票がある地域を管轄する「税務署」の窓口で行うほか、郵送やインターネットで申告する方法もあります。

  • 税務署の窓口で手続き
  • 税務署に必要書類を郵送
  • 国税庁サイトから確定申告書を作成しインターネット(e-tax)で申請

必要書類

確定申告には、次の書類を準備します。書き方も合わせて確認しましょう。

1. 確定申告書(AまたはB)
国税庁のサイトからダウンロードするか、税務署から入手します。
通常、会社員の場合は確定申告書A、個人事業主の場合は確定申告書Bの用紙を使用します。
2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
こちらも国税庁のサイト、または税務署から入手します。
3. マイナンバーカードのコピー(表面・裏面とも)
マイナンバーカードをお持ちでないかたは、マイナンバー確認書類(マイナンバー通知カード、マイナンバーが記載されている住民票の写しなど)と、本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)が必要です。
4. 土地・建物の登記事項証明書
土地・建物の住所地を管轄する法務局で入手します。インターネットから請求し、窓口受け取りや郵送を選ぶこともできます。
5. 土地・建物の不動産売買契約書(工事請負契約書)の写し
不動産会社との売買契約書、住宅会社との工事請負契約書です。
6. 源泉徴収票
給与所得者は勤務先から「住宅を取得した年」の源泉徴収票を入手します。
7. 住宅ローンの年末残高証明書
住宅ローンを組んだ金融機関から自動的に送付されます。
8. その他の書類(特定の住宅に該当する場合)
・認定長期優良住宅・・・認定通知書の写し
・認定低炭素住宅・・・認定通知書の写し
・一定の耐震基準を満たす中古住宅・・・耐震基準適合証明書または住宅性能評価書写し
不動産会社などから入手します。

住宅ローンの確定申告スケジュール

確定申告をする1年目から2年目までのスケジュールは、次のような流れになります。イベントフローにまとめたものを確認しましょう。

■1年目

確定申告の準備期間(10月~1月ごろ)
・金融機関から住宅ローンの残高証明書が届く
・建物・土地の登記事項証明書を入手する
・源泉徴収票を入手する
・税務署や国税庁のサイトで確定申告書を入手する
・不動産売買契約書の写しを入手する
確定申告実施期間(通常は2月16日~3月15日)
・確定申告を行う(還付申告なら上記の期間以外でもできる)

■2年目

年末調整の準備期間(10月~11月ごろ)
・税務署から控除証明書が届く
・金融機関から住宅ローンの残高証明書が届く
年末調整の準備期間(11月)
年末調整の手続きを行う

確定申告書作成コーナー

国税庁サイトから申告書を入手して作成する方法のほかに、国税庁サイト内の「確定申告書作成コーナー」のページでオンライン上から書類作成できるサービスがあります。

サイトが案内する手順通りにすれば、書類を作成することができます。一時保存をしておけば、時間をおいても中断したところから作成を再開することができるため、まとまった時間がとれない人でも空いた時間を使いながら書類を作成できる点が便利です。

国税庁 確定申告作成コーナー

2年目以降

給与所得者であるサラリーマンなら、2年目以降からは住宅ローン控除の手続きを年末調整で行うことができます。

会社の年末調整で行う場合は、次の書類が必要です。

  1. 金融機関から送付される住宅ローン年末残高証明書
  2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
2の申告書は、1年目に確定申告をした翌年に残りの年度分が一括で送付されてきます。

4. 住宅ローンの確定申告で損をしないために注意すること

まとまった額が戻ってくるため必ず申告しておきたい住宅ローン控除ですが、確実に還付を受けて損をしないためには、どのようなことに注意すればよいでしょうか。

申告を忘れた場合

うっかり申告を忘れてしまっても、還付申告は「5年間」までさかのぼって申告することができます。

手続きの便宜のために、毎年確定申告の期間は決められていますが、還付申告だけは後からでも手続きができることを知っておきましょう。

夫と妻が連帯債務者になっている場合

住宅ローンを夫婦が連帯で借りている場合、2人とも住宅ローン控除を受けることができます。控除を受けられる住宅ローン形態は2つです。

  • ペアローン型
  • 連帯債務者型

ただし夫婦どちらかが「連帯保証人」である場合は、「債務者」だけが住宅ローン控除を受けられ、連帯保証人は受けられないことに注意したいですね。

5. 住宅ローンの確定申告で困ったときの問い合わせ先

確定申告をすることがはじめてで、よくわからない人や、書類の作成で困ったときには、国税庁のホームページや税務署などで確認しましょう。

国税庁ホームページ
最寄りの税務署もこちらから調べることができます。

いかがでしたか?今回は、「確定申告とは何か」ということから、住宅ローン控除についてと実際の確定申告のやり方、申告で損しないための注意点について紹介しました。確定申告なんて今まで縁がなくて不安という人も、まとまった税金が戻ってくる機会ですから、しっかりと理解して、還付金を受け取りましょう。

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