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【旅で子どもを育む】旅育は出発前から。旅行計画や旅支度は親子一緒で、やる気もUP!

こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。前回は旅育の前段として「変化の激しい時代にこそ家族旅行が重要」をテーマに、現代社会や子育て環境から家族旅の重要性をひもときご紹介しました。
今回は旅育の実践編です。提唱する「旅育メソッド」をもとに、出発前にできる旅育についてご紹介します。出発前のひと手間が、子どもの旅先での学びを深めることに繋がります。コツを知り、できる時に、できることから初めませんか?

「自分の旅」と感じることで、子どもは旅で積極的に学ぶ

仕事や準備で忙しく、つい大人だけで旅の計画や支度を進めていませんか? 子どもだって「連れていかれる旅」よりも、「自分が関わり、計画した旅」の方が、愛着がわき、旅の最中も楽しいもの。旅で主体的に、積極的に学ぶには、計画や旅支度など、出発前から子どもを巻き込むことが重要です。年齢にあわせた方法で取り組んでみましょう。

実践1:旅の計画は脳を鍛える!旅の作戦会議をしてみよう

旅先を想像しながら、様々なことを検討・選択・決断を積み重ねる「旅の計画」は、考える力を鍛えるのに最適です。しかも正解がないのも旅のいいところです。計画を追体験することで、「これはうまくいった」「もう一つの案の方が良かったかも」などの気づきが得られ、知恵や工夫が生まれます。変わりゆく世界を生きる子ども達の生きた学びの機会となるのです。

旅の計画に子どもを巻き込む方法としておすすめなのが、「旅の作戦会議」。お茶を飲みながら、「どこへ行こうか?」あるいは「旅のテーマ(何をするか?)」を家族で話し合ってみましょう。小さなうちは、親御さんがA案、B案と複数用意し、どちらがいいか子ども達に選んでもらうといいでしょう。その際、選んだ理由をお子さんから引き出せば、自分の考えをまとめて表現する練習になります。家族で意見が違ったら、それぞれ考え方が違うことを認め調整をすることで、共感力やコミュニケーション力も育まれます。小学生高学年なら、家族それぞれで行きたい場所を持ち寄り、プレゼンをするのもいいでしょう。相手にどうしたら伝わるか?プレゼンのための情報収集や準備も学びになります。気を付けたいのは、お子さんの意見や決まったことは尊重すること。子どもの発想は自由ですから、大人の事情で「難しい」とならないように、あらかじめ予算や日程などの条件は伝えておくことが大切です。また地図の見方や路線検索の方法なども、適宜サポートをしてあげましょう。

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実践2:旅支度を一緒にして、ワクワク感を体感

旅支度は、未就学の小さなお子さんでもできる旅育です。「雪遊びをするけれど何が必要かな?」「寒いよね?何を持っていこう?」など、旅先の話をしながら荷造りを手伝ってもらうのです。ガイドブックやパンフレットを見せて何をしたいか聞き、必要なものを子ども自身がピックアップしてみるのもいいでしょう。抽象的な旅を想像しながら具現化する旅支度は、脳を鍛え旅行前のワクワクとした気持ちを、親子で分かちあえます。

また、旅支度そのものに興味を示すこともあります。息子は、海外への旅支度をする際に、パスポートの色が自分だけ違うことに疑問を持ちました。そこで違いに気が付いたことを褒めて、10年用(赤)と5年用(紺)の2種類があることを説明。さらに「なぜ子どもは5年用しかないと思う?」と問いかけ、一緒にパスポートの役割について調べました。子どもが「なぜ?」というのは学びのチャンス。一緒に調べて「知ることや学ぶことの楽しさ」を体感する機会にできるといいですね。

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実践3:旅のスケジュールを伝えることを習慣に

計画や支度を一緒にすることが難しい時もあります。そんな時も「どこへ行くのか?」「移動手段は何を使い、どれくらいかかるのか」というおおまかなスケジュールをお子さんに伝えることは習慣にするといいでしょう。 子どもだって、非日常の旅ではワクワクと同時に緊張もします。移動中だってこの窮屈な状況がどれくらい続くのかわからないと、不安から機嫌が悪くなり、ぐずりの原因となることもあります。 移動時間が長いようなら、公共の場ではなぜ静かにしなくてはいけないかを伝え、「移動中に何をして過ごすか」を子どもと一緒に考え約束しましょう。ゲームやスマフォの利用も、利用が想定されるのなら、騒いでから与えるのではなく、あらかじめ時間を決めておくといいでしょう。スケジュールがわかっていると比較的落ち着いて過ごすことができ、約束通り過ごせたら褒めることで「できた」「褒められてうれしい」「次も頑張ろう」という気持ちになり、社会ルールも自然と身につきます。
また、スケジュールを意識することで、時計の読み方を覚えたり、時間の感覚(例:1時間だと何ができる?30分なら?)などを身につけることもできます。

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いかがでしたか? 旅育を実践するコツを一言でいうと「子ども扱いをしないこと」。友人と旅行をするのに希望を聞かずに予定を決めてしまうことはありませんよね? でも、不思議と家族旅行では、親だけですべてを決めてしまいがちなのです。
子どもの希望を反映したり、子どもが自ら選択をすることで、「自分の旅」となり、子どもなりに責任も感じるものです。結果、旅で積極的になり、困難があっても頑張れることが多くなります。 自ら考えて動くことが必要とされる時代に、親も子どもへの関わり方をちょっと顧みる......旅はそんな機会にもなるかもしれません。
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次回は「旅育」の実践方法の旅先編をご紹介予定です。

村田和子 プロフィール
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて、人・地域・社会を元気にする」をモットーに、新聞・雑誌・ラジオなどで旅の魅力を発信し、講演も行う。NHKラジオ「Nらじ」に月一レギュラーで出演。2001年に長男を出産し9歳までに親子で47都道府県を踏破。2013年旅を通じて子どもの生きる力を育む「親子の旅育メソッド」を提唱。著書に「旅育BOOK~子どもの心と脳がぐんぐん育つ」(日本実業出版社・2018)。総合旅行業務取扱管理者、クルーズコンサルタント、1級販売士
■公式サイト http://www.travel-k.com/

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