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米雇用統計・今月の注目ポイント(2021年10月8日発表分)

2021年10月8日(金)、日本時間21時30分に米国で9月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化 (万人)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2021年10月 +52.5
2021年9月 +75.0 +23.5 +23.5
2021年8月 +92.6 +94.3 +105.3
2021年7月 +60.0 +85.0 +93.8

失業率(%)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2021年10月 5.0
2021年9月 5.2 5.2 5.2
2021年8月 5.7 5.4 5.4
2021年7月 5.7 5.9 5.9

出所:時事通信社(2021年9月27日時点)

今月の注目ポイント

ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河眞樹

9月22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策は据え置かれた一方、パウエル議長の記者会見で、量的緩和の縮小(テーパリング)について「不測の事態にならない限り、今年11月に開始し、22 年夏に終了する」と、これまでよりも具体的な道筋が示されました。

会見の質疑応答では、もし9月の雇用統計が弱かった場合にテーパリングのタイムフレームに変更はあるのかといった趣旨の質問がありましたが、同議長は、求人が高水準にあるため、回復自体は継続すると自信をみせたうえ、テーパリングの開始条件は累積的な雇用回復なので、9月の雇用統計の結果はさほどテーパリング開始のハードルにはならないとの見方を示しました。9月は非農業部門雇用者数が前月比52万人前後の増加が見込まれており、前回23.5万人から大幅に改善する見通しです。失業率も8月の5.2%から改善するとみられます。前述したパウエル議長の見解を踏まえれば、9月の雇用統計がよほどサプライズの悪化とならない限り、年内にテーパリングが開始されるとみるべきでしょう。

テーパリングが年内で「ほぼ」決まりとなれば、今後、より重要になってくるのは利上げのタイミングです。パウエル議長は利上げについてはまだ当面先との見方でしたが、ドットチャートでは、FOMCメンバーの半数が、22年中の利上げを予想していました。FOMCメンバーのタカ派化を受けて、長期金利が上昇し、ドル高となったことを踏まえれば、市場の注目はすでにテーパリングから利上げのタイミングへとシフトしていると思われます。

9月の雇用統計が、仮に弱い結果となれば、利上げが遠のくとの見方から、長期金利の低下と小幅なドル安となりそうですが、予想から大きく外れない限り、徐々に利上げへの道筋がみえてきた今、ドル円は底堅い展開となりそうです。

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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