2021年11月5日(金)、日本時間21時30分に米国で10月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2021年11月 | +42.5 | ||
2021年10月 | +52.5 | +19.4 | |
2021年9月 | +75.0 | +23.5 | +36.6 |
2021年8月 | +92.6 | +94.3 | +105.3 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2021年11月 | 4.7 | ||
2021年10月 | 5.0 | 4.8 | |
2021年9月 | 5.2 | 5.2 | 5.2 |
2021年8月 | 5.7 | 5.4 | 5.4 |
出所:時事通信社(2021年10月29日時点)
今月の注目ポイント
ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河眞樹
市場のテーマが雇用からインフレにシフトしていることに加え、前日3日(米国時間)のFOMCでテーパリングが発表される可能性が高いため、11月4日発表の10月の米雇用統計は、市場参加者の関心が通常よりも低下する可能性はあるでしょう。
とはいえ、市場参加者の関心はもはやテーパリングから、「利上げの開始はいつか」に移っているため、米連邦準備理事会(FRB)のデュアル・マンデート(2つ使命)のうちのひとつである雇用の最大化は、インフレと同様に引き続き重要であることは確かです。米国の雇用者数がコロナ前の水準に戻るには、約300万人の雇用増が必要で、まだまだ道のりは長いといえますが、こうした中、前回9月の非農業部門雇用者数は前月比19万4000人増に留まりました。今回は40万人前後の雇用増が期待されていますが、仮に前回と同等か、さらに下回る弱い結果となれば、早期の利上げ期待が後退する中で、ドル安を促すでしょう。
また、前述の通り、このところインフレ懸念が台頭しています。これは、サプライチェーンの変化による供給不足や、労働力不足によるもので、足下の賃金上昇や原油価格上昇などによる物価上昇、いわゆるコストプッシュインフレは、FOMCメンバーも懸念しているポイントです。こうした「供給懸念」は、新型コロナさえ収束し、経済活動が回復すれば緩和するとみられていますが、9月の雇用統計では、平均時給が前年比4.6%と、8月の同4.0%から急上昇しました。今回も、市場では同4.9%と、さらなる上昇が予想されています。平均時給が市場予想を上回る、あるいは労働参加率が低下するようであれば、今度はインフレの加速により利上げが速まるとの懸念から、株安→円高に繋がる可能性もあるため注意が必要です。
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
雇用統計タイムセール
ソニー銀行では、雇用統計発表日にあわせて外貨預金の購入コスト(対円)を一律0円、FXの米ドル/円スプレッドを原則1銭固定とする特別イベントを毎月開催しています。ぜひこの機会を活用ください。