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米雇用統計・今月の注目ポイント(2021年12月3日発表分)

2021年12月3日(金)、日本時間22時30分に米国で11月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化 (万人)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2021年12月 +49.0
2021年11月 +42.5 +53.1
2021年10月 +52.5 +19.4 +31.2
2021年9月 +75.0 +23.5 +36.6

失業率(%)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2021年12月 4.5
2021年11月 4.7 4.6
2021年10月 5.0 4.8 4.8
2021年9月 5.2 5.2 5.2

出所:時事通信社(2021年11月24日時点)

今月の注目ポイント

ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河眞樹

10月の米消費者物価指数(CPI)は、前年比6.2%上昇と、31年ぶりの伸びとなりました。これを受けて、バイデン大統領は同日、「インフレ傾向の改善が私の最優先課題だ」と発言。調査会社YouGov Americaが11月6日~9日に1,500名を対象に行った世論調査によれば、「現在米国が直面する最大の問題は何か。雇用かインフレか」との問いに対し、「雇用11%、インフレ36%、いずれも重要:43%」との結果となり、雇用問題よりもインフレ懸念が上回っていることがわかります。

バイデン大統領の支持率(Real Clear Politics 11/19時点)は、依然として支持率41.3%、不支持が53.4%と不支持率が上回っており、物価の急上昇に対する国民の不満が反映されているとすれば、バイデン大統領は「インフレ退治」に舵を切らざるを得ないでしょう。それもあってか、このところ、米連邦準備理事会(FRB)の主要メンバーが、インフレへの警戒を一段と強めています。FRBのクラリダ副議長は11月19日、「12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までの間に、テーパリングのペースを上げることを議論することが適切かもしれない」との認識を示しました。また、ウォーラー理事やウィリアムズNY連銀総裁も同様の発言をしています。緩和からの出口の前倒しが織り込まれつつある米国と、当面出口は見えてこない日本といった、金融政策スタンスの格差は、本来であればドル円相場の上昇要因となり得ます。

ただ、FRBのインフレ対応が遅れる、いわゆる「ビハインド・ザ・カーブ(behind the curve)」が意識され、早期かつ急激な利上げの可能性を市場が織り込むようになれば、米株価の一時的な下落や円高に繋がるリスクもあるでしょう。そうした観点からも、11月の雇用統計はインフレに繋がる指標に注目が集まります。例えば、労働参加率が低迷すれば、人員確保のための賃金の上昇に繋がりやすいうえ、平均時給が10月の前年比4.9%を上回るようであれば、これもインフレ期待の加速を促すでしょう。この場合、一時的に市場がリスクオフに傾く可能性もあるため注意が必要です。

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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