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米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年2月4日発表分)

2022年2月4日(金)、日本時間22時30分に米国で1月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化 (万人)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年2月 +17.8
2022年1月 +45.0 +19.9
2021年12月 +49.0 +21.0 +24.9
2021年11月 +42.5 +53.1 +54.6

失業率(%)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年2月 3.9
2022年1月 4.1 3.9
2021年12月 4.5 4.2 4.2
2021年11月 4.7 4.6 4.6

出所:時事通信社(2022年1月28日(金)時点)

今月の注目ポイント

ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河眞樹

1月5日に公表された、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月開催分)では、FOMCメンバーが急速にタカ派にシフトしていたことがわかりました。市場参加者にとってサプライズだったのは、これまで米国のインフレは、サプライチェーンの混乱による「供給制約」が主な要因と見られていましたが、FOMCメンバーは、むしろ米国経済の強い回復と、労働市場の大幅改善、これによる需要増によるインフレの高進に注目していたことがわかったことです。

また、同FOMCでは多くの参加者が、利上げ開始の条件となる『最大雇用』の達成が近いと認識していたため、3月にも利上げが開始されるとの見方が広がりました。すでに市場参加者の焦点は、3月の利上げ幅が通常の0.25%なのかあるいはそれ以上か、また、バランスシートの縮小(QT)はいつから開始されるかに移っています。もし3月のFOMCで0.5%の利上げが決定されたり、ドットチャートで年内4回の利上げが示唆されるなどすれば、早期の引き締め懸念により、市場心理が悪化する可能性がありそうです。

そうした観点からも、今回の雇用統計は重要で、失業率が再び4.0%を下回るか、また、前回前月比19万9,000人に雇用増が改善するか、賃金の上昇は続いているか、といった点に注目が集まりそうです。前回のリーマンショック後の景気後退期には、10%まで上昇した失業率が4%を割り込むのに8年7ヶ月の歳月がかかった一方で、今回コロナ後に14%台まで上昇した失業率が、3.9%まで改善するのに、たった1年8ヶ月しかかかりませんでした。今回、もし市場予想を上回る良好な結果となった場合には、米国の早期引き締め懸念によって、むしろ株安→円高の反応となる可能性もあるため、注意が必要です。

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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