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「リカレント教育」の種類と費用の準備方法や支援制度(FP相談室)

人生100年時代、長く働き続けるためにも、スキルアップやキャリアチェンジは重要です。カギを握るのが、「学び直し」とも言われる「リカレント教育」です。
今回は、そのための資金の準備方法や支援する制度などについて取り上げます。

リカレント教育とは?

リカレント教育とは、「社会人の学び直し」とも言われますが、人生の中で「教育」と「就労」のサイクルを繰り返すことを指します。

自身のキャリアプランを実現するために、学校教育を終えて就職したのちに、必要なときに学び直して仕事に役立つスキルを磨く、最新情報を得て仕事に活かす資格を取ることなどが重要な場合があります。
スキルアップにつなげるのみでなく、職種を変更するキャリアチェンジや転職の際の武器をつくる、開業や起業の準備をすることにもつながります。

自分らしい働き方を実現するためには必要なものと言えそうです。

なお、リカレント教育と似た言葉に生涯学習があります。
リカレント教育で学ぶのは仕事に活かせる内容に限られますが、生涯学習では、仕事に活かせる知識以外にも、趣味や生きがいに関わる学びも含まれます。

つまり、リカレント教育は生涯学習の一部と考えることができます。

リカレント教育の種類と費用

「今の仕事に活かせるスキルを上げたい」「資格を取りたい」「最新の情報を体系的に学びたい」など、学び直しをしたいと思い立ったとき、どのような手段があるでしょうか。
具体的には、各種専門学校で該当する講座を受講する方法や、短大や四年制大学、または大学院などに入学して学ぶ方法などがあります。

大学・短大や大学院も、社会人に門戸を開け、社会人特別選抜があったり、夜間部や昼夜開講で選択できたりするなど、入りやすく通いやすくなっています。

また、自治体によって内容は異なりますが、職業訓練校・大学(職業能力開発総合大学校)などで技術を身に付けることができる場合もあります。

リカレント教育の種類
・各種専門学校で学ぶ(通学、通信教育、オンライン)
・短大、四年制大学、大学院で学ぶ(社会人特別選抜、夜間部・昼夜開講制、科目等履修生、聴講生・研究生、通信教育)
・職業訓練校・大学(職業能力開発総合大学校)などで技術を身に付ける(自治体で異なる)

費用としては、講座単位で受講して数千円程度のものから、難易度が低めの資格で数万円程度かかるもの、難易度が中・高度で受講時間も長くなるものだと受講料はさらに上がります。
短大や大学、大学院で学ぶとなると、特に私立大学の場合、年間100万円を超えるものもあります。

活用できる会社員などの学びへの支援

社会人のリカレント教育に活用できる支援制度として代表的なものは、雇用保険の「教育訓練給付金」があります。また、ひとり親を対象とする「高等職業訓練促進給付金」や、職場によっては独自に行われている支援もあるようです。

教育訓練給付制度

対象講座を修了すると、受講費用の一部(20%~70%)が教育訓練給付金として支給される雇用保険の制度です。講座は厚生労働大臣の指定を受けたものに限られ、約14,000講座もあります。

具体的には、教育訓練給付制度のサイトの「教育訓練講座検索システム」で検索できます。
 正社員だけでなく、派遣社員やパート、アルバイトでも、雇用保険に加入して一定条件に該当すれば利用できます。

対象者は、在職中か、離職して1年以内(妊娠、出産、育児、疾病、負傷などで適用対象期間の延長を行った場合は最大20年以内)で、初回の受講であれば、雇用保険の加入期間が1年以上(後述する「専門実践教育訓練」は2年以上)、2回目以降なら前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上で対象になります。

教育訓練は、雇用の安定・就職の促進に役立つ「一般教育訓練」、速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ「特定一般教育訓練」、中長期的なキャリア形成に役立つ講座が対象の「専門実践教育訓練」の3種類があります。

一般教育訓練と特定一般教育訓練については、給付金は受講修了後に支給されます。
専門実践教育訓練については、受講費用の50%(年上限40万円)が受講期間中6ヶ月ごとに支給され、さらに、受講修了後1年以内に雇用された場合は、20%(年上限16万円)の追加支給もあります。

支給申請手続きは、教育訓練の受講修了から1ヶ月以内に行います。申請は、受講修了後に、原則本人がハローワークの窓口に出向いて、必要書類を提出します。

申請をする前に、受講開始(予定)日現在の受給資格の有無や、受講する講座が教育訓練給付制度の対象かどうかなどについて、ハローワークに照会することもできます。

教育訓練給付の概要
種類 給付率 対象講座の例
一般教育訓練 受講費用の20%
[上限10万円]
資格の取得を目標とする講座:英語検定、簿記検定、ITパスポートなど
大学院などの課程:修士・博士の学位などの取得を目標とする課程
特定一般教育訓練 受講費用の40%
[上限20万円]
業務独占資格などの取得を目標とする講座:介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、税理士など
デジタル関係の講座:ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座 など
専門実践教育訓練 最大で受講費用の70%
[年間上限56万円・
最長4年]

業務独占資格などの取得を目標とする講座:介護福祉士、社会福祉士、看護師、美容師、保育士、調理師など
デジタル関係の講座:ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座、第四次産業革命スキル習得講座(経済産業大臣認定)
大学院・大学などの課程:専門職大学院の課程(MBA、法科大学院、教職大学院など)、職業実践力育成プログラム(文部科学大臣認定)など
専門学校の課程:職業実践専門課程(文部科学大臣認定)、キャリア形成促進プログラム(文部科学大臣認定)

(厚生労働省「教育訓練給付制度」より)

高等職業訓練促進給付金(対象:ひとり親)

児童扶養手当を受給しているか、それと同等の所得水準(子がひとりの場合、年収365万円未満)のひとり親のかたが対象の制度です。
看護師や保育士などの国家資格を取ったり、デジタル分野などの民間資格の取得のために、養成機関で6ヶ月以上修学する場合に、生活費の負担軽減のために給付金が支給されます。

給付金は、住民税非課税世帯で月10万円(住民税課税世帯は月7万5百円)。訓練期間の最後の1年間は、支給額に4万円が増額されます。
また、訓練修了後も5万円が支給されます(住民税課税世帯は2万5千円)。給付金の申し込みや相談は、住んでいる都道府県や市区町村へ。

職場での支援

職場でも、職務に関連する訓練を行っている場合もあります。
職場での教育訓練実施や、あらたに教育訓練休暇制度を導入し、休暇の利用があった場合には、国は企業に対して訓練経費や制度導入経費などの助成を行っています。

社員にとっては、リカレント教育を受けやすい環境が整備されつつあります。
また、企業によっては、資格を取ることで特別手当が出たり、昇給の対象にしている場合もあります。

まとめ

国や自治体、あるいは職場独自の支援・補助制度を、自分のキャリアアップを実現するための「学び直し」に上手に活用しましょう。

ただし、代表的な教育訓練給付制度では、期間内に修了し、さらに申請期間も決まっているので、うっかり忘れることがないよう手続きも慎重に行いたいもの。

また、いったんは自分で受講料などを支払うため、立て替える資金を準備しておく必要があることもお忘れなく!

豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

FPラウンジ代表。マネー誌などのライターを経て、94年より独立系FP。個人の相談業務や講演、マネーコラム執筆ほかを行っている。「人生の3・5大支出(教育・住宅・老後+介護)に備えてハッピーで持続可能な家計の実現」をサポート。「子どもマネー総合研究会」「親の介護・相続と自分の老後に備える.com」を主宰するほか、大学・短大で非常勤講師も務める。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。趣味は講談、投資。 

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