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50代でも間に合う? iDeCoを徹底解説。7つのデメリットの対処法とは?(FP相談室)

iDeCoは老後資産を自分で形成する手段のひとつです。
原則60歳以降に年金として受け取るので、50代からでは遅く、デメリットばかりで自分には関係がないと思っているかたがいるかもしれません。
徹底解説で、50代にとってのiDeCoの活用ポイントと、デメリットの対処法を明らかにします。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で運用をして老後資産を形成する年金制度です。

加入できる人と掛金の限度額

原則20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者が加入できます。
2022年5月の制度改正により、これまで60歳未満だった加入可能年齢が引き上げられ、60歳以降でも国民年金に任意で加入している人や会社員など(第2号被保険者)であれば加入できます。ただし、繰上受給などにより老齢基礎年金を受給している場合には加入できません。

掛金の拠出限度額は自営業、会社員などの加入資格ごとに決められており、限度額の範囲であれば、月々5,000円から1,000円単位で自由に設定ができます。掛金の金額は1年に1回限り、変更が可能です。

また、国民年金保険料を納めていれば、海外在住の人でも加入できるなど、幅広い人が利用できるように制度の内容が変わっています。

iDeCoの拠出限度額

加入資格 拠出限度額 備考
自営業者等
(第1号被保険者)
月額6.8万円 国民年金基金や国民年金付加保険料との合算枠
会社員・公務員
(第2号被保険者)
会社に企業年金がない 月額2.3万円
企業型DCのみに加入 月額2.0万円 事業主掛金額との合算で月額5.5万円まで、かつ2.0万円以下
DBと企業型DCに加入 月額1.2万円
(注1)
事業主掛金額との合算で月額2.75万円まで、かつ1.2万円以下
DBのみに加入
公務員
月額1.2万円
(注2)    
専業主婦(主夫)
(第3号被保険者)
月額2.3万円



企業型DCは企業型確定拠出年金のこと、企業型DBは企業型確定給付年金・厚生年金基金・石炭工業年金基金・私立学校教職員共済のこと

2022年10月以降は、企業型確定拠出年金に加入をしている人もiDeCoに加入できるようになりました。ただし企業型の確定拠出年金に個人で掛金の上乗せをする「マッチング拠出」を行っている場合は、iDeCoを利用できません。

(注1)令和6年12月から2万円に引き上げられる。ただし、企業型DCの事業主掛金額とDB掛金相当額を加えた合計額が月額5.5万円以下
(注2)令和6年12月から2万円に引き上げられる

転職先に企業型確定拠出年金がない場合

50代になると関連会社に転籍になったり、60歳以降に転職したりというかたもいらっしゃるでしょう。元の勤務先で企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していたかたが会社を移った場合、転職した先の会社にも企業型DCがあれば、転職先の制度に加入し、年金資産を移換できます。
しかし、60歳未満の場合、転職先に企業型DCの制度がない場合には、iDeCoに年金資産を移換する手続きが必要になります。

移換手続きは、6ヶ月以内(*)に行う必要があります。6ヶ月以内に行わない場合は、自動的に国民年金基金連合会に移換され、そのまま放置し4ヶ月を過ぎると管理手数料が差し引かれてしまいますので、手続きを怠らないようにしましょう。

(*)6ヶ月以内:加入資格を喪失した日(退職日の翌日)の属する月の翌月から6ヶ月以内

3つの税制優遇

iDeCoには、3つの税制優遇があります。

①掛金は全額所得控除の対象
掛金の全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。

(例)所得税率が10%、住民税率が10%の場合
掛金が月1万円の場合、掛金年間合計額は12万円。全額所得控除の対象になるので、所得税が12,000円、住民税が12,000円軽減される。

②運用益は非課税
通常、金融商品の運用益には20.315%が課税されますが、iDeCoの場合、運用益は非課税となります。

③受け取り時にも税制の優遇あり
運用した資産を受け取る時は、年金で受け取るか一時金で受け取るかを選択できます。年金で受け取る場合には「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」の対象となるため、受け取り時の税金の負担も軽減されます。

iDeCoの運用商品

iDeCoの運用は、運営管理機関である金融機関が選定する運用商品の中から選択し行います。商品は、投資信託のほかに定期預金・保険といった元本確保型の商品の中から選べます。
複数の商品を組み合わせる場合には、どの商品を何%購入するか配分比率を決めます。

提供されている商品は、運営管理機関によって異なります。

原則60歳以降に受け取り

運用をした資産は、原則60歳から75歳までの間の好きなタイミングで受給を開始できます。

ただし、50歳以上で加入し、60歳の時点で通算加入者等期間が10年に達していない場合には、次の表の通り、加入期間により受給開始可能な年齢は異なります。

受け取り開始可能年齢 通算加入者等期間
60歳 10年以上
61歳 8年以上10年未満
62歳 6年以上8年未満
63歳 4年以上6年未満
64歳 2年以上4年未満
65歳 1ヶ月以上2年未満

なお、60歳以上で初めてiDeCoに加入した場合は、通算加入者等期間を有していなくても、加入から5年を経過した日から受給できます。

受け取り方法には、次の3つの方法があります。
・一定の金額を年金として定期的に受け取る
・一括ですべて受け取る
・年金と一括を併用して受け取る

iDeCoのデメリットと対処法は?

このように税制上のメリットを受けながら老後の資産形成ができるiDeCoですが、どのようなデメリットと対処法があるのでしょうか。

①途中でお金が必要になった場合でも、受給開始可能年齢まで受け取れない。
iDeCoは、老後の資産形成を目的とした年金制度のため、原則として60歳まで、60歳時に加入期間が通算10年に達していない人は、加入期間に応じた受給開始可能年齢まで、引き出すことができません。そのため、いざという時にお金を使えないことに不安があるという人もいるでしょう。

そこで、途中でお金が必要になった場合でも困らないようにするために、まずは貯蓄の一部を「緊急予備資金」として取っておくようにしましょう。

「緊急予備資金」とは、もしもの時のために準備をしておくお金です。病気など万一のことがあった場合に生活を立て直すまでに必要なお金として、毎月の生活費の半年分から1年分くらいが目安です。

今ある貯蓄では不足するようでしたら、まずは緊急予備資金を優先して貯めてからiDeCoを開始しましょう。

それでも、中途解約ができないことに漠然と不安を感じるかもしれません。そのような場合には、これから10年程度の間に、どのようなライフイベントがあり、いくらくらい必要になりそうか、試算してみましょう。
というのも、50代以降になれば、教育費がかかっているご家庭や住宅ローンを返済中のかたも、そろそろ目処がついてくる頃で、突発的な多額の支出の可能性は少ないでしょう。20代や30代と比べると、将来の目安をつけやすく、iDeCoを始めやすい年代ともいえます。

② 元本割れする可能性があるのは怖い
iDeCoは、自分で運用を行うので、元本割れを心配に思う人もいるでしょう。確かに、値動きがある商品を選択した場合は、拠出した金額を下回ってしまう可能性はあります。

またiDeCoは、加入時、運用期間中、受け取り時などに手数料がかかります。
特に口座管理手数料は、運用期間中、毎月かかります。そのため、手数料以上の運用益が出ないと結果的に損をする場合もあります。

手数料の負担感は、掛金の金額や運用方針にもよるので、所得控除のメリットを含め、手数料を上回る結果が残せるかどうかを検討してください。

ただし、50代以降の場合には、老後までの運用期間は10年前後になるでしょう。そのため、大きなリスクは取らず、リスクが低めの商品を選択して運用するというのもひとつの手です。

iDeCoで資産を大きく増やすことはできなくても、所得控除のメリット活かした節税は、老後に使えるお金を増やすことにつながります。

③ 掛金に上限があって希望の金額を運用できるわけではない
加入資格ごとに掛金の上限が決められているため、希望の金額を運用することができないこともデメリットとして挙げられます。
特に公務員のかたや勤務先に確定給付企業年金制度がある場合は、月1.2万円が上限のため、50代以降に老後資金を準備するうえでは、少ないと感じる人もいるかもしれません。

しかし、iDeCoは、あくまでも老後資金を準備するためのひとつの手段です。掛金が少ないと思う人は、たとえば、NISA(少額投資非課税制度)との併用を検討してはいかがでしょうか。

まずは税制上のメリットが多いiDeCoで積み立てを行い、さらに運用したい場合はNISAを利用し、安全性の高い貯蓄も組み合わせながら、老後の資産形成のラストスパートをしていきましょう。

④手続きが煩雑そうで面倒
iDeCoに加入をする際の手続きは、次のような流れになります。

1.    加入資格があるのか、加入資格区分と掛金の限度額を確認する

2.    加入をする金融機関を選択する

3.    金融機関から加入申込書を入手する

4.    加入申込書に記入し、必要な書類を添付して提出する

特に会社員、公務員など、厚生年金の被保険者の場合は、加入申込書提出時に勤務先の事業主に証明書をもらう必要があります。この手続きを会社に依頼することが面倒という声は多いのですが、この手続きは一回だけです。総務などの部署のかたであれば、すぐに作成できる書類ですので、遠慮することなく依頼しましょう。

⑤金融機関選びが面倒
iDeCoの取り扱いをしている金融機関は約160にもおよびます(2022年10月時点)。
その中から1社を選ぶのは大変だと感じるかもしれません。特に一度加入をすると金融機関を変更するには、手続きが煩雑で変更手数料もかかる場合があるため、最初の選択は重要です。

金融機関を選択するうえで、次のようなポイントに注目しましょう。
・運用したい商品があるか
・インターネット、対面、コールセンターなど手続きの方法が自分に合っているか
・口座管理手数料などの手数料がいくらか

手数料の安さを優先する、対面で手続きできる金融機関がよい、運用したい商品で選びたいなど、なにを重視するのかによって選ぶ金融機関は変わってきます。
まずは、重視するポイントから金融機関を絞って選んでみましょう。金融機関の各種手数料などを比較できるウェブサイトもありますので、重視するポイントで比較してみるとよいでしょう。

⑥掛金が払えなくなったら
iDeCoは、次のような一定の条件に当てはまらない限り、中途解約はできません。
・一定以上の障害状態になり障害給付金を受け取る場合
・加入者が死亡をして、死亡一時金を受け取る場合
・国民年金保険料を支払うことができないなどの一定の条件に当てはまり、脱退一時金を受け取る場合

このように中途解約の条件は厳しいため、将来的に掛金の支払いが難しくなった時が心配だという人もいるでしょう。

iDeCoの掛金は、1年に1回変更できます。月々、最低5,000円以上1,000円単位で変更ができます。
支払いが厳しくなった時は、まず、掛金の金額の変更を検討します。
それでも支払いが難しくなった場合は、掛金の拠出を停止して「運用指図者」として運用のみを行えます。ただし、運用のみを行う場合でも口座管理手数料はかかりますので、掛金の拠出ができるようになったら、できるだけ早く再開しましょう。

➆商品選択が難しい
iDeCoではどのように運用商品を選べばよいでしょうか?
iDeCoで選べる運用商品のひとつ、投資信託を例に選び方を考えてみます。

投資信託は運用の専門家が株式や債券などの商品に分散投資をする運用商品です。
日本株式、海外株式、日本債券、海外債券、不動産(REIT)、金などが投資対象のものと、それらの商品の組み合わせであるバランス型があります。

また、投資スタイルにより次のふたつに分けられます。
・日経平均株価など市場の動きを示す指標(インデックス)と同じ動きをする運用方針であるパッシブ型(インデックス型)
・指標を上回る運用成績を目指し、専門家が独自の視点で投資対象を選択するアクティブ型

まず、どのような投資対象で運用を行っていきたいのか、投資スタイルはどちらが好みかによって商品を絞っていきます。
たとえば、値下がりのリスクの心配が大きいのなら、日本債券などできるだけ値動きが少ない商品を中心に選択をする、収益を重視するのなら世界株式を中心に選ぶなど、自分の考えや好みを踏まえた商品選びをしていきます。

特に特定の分類の商品に投資したいという考えがないのであれば、分散投資ができるバランス型を選択するのもよいでしょう。

資産形成はiDeCoだけでなく、ご自身の資産全体で考えることも大切です。
たとえば、iDeCoの加入は最長65歳までです。運用期間が短いと思うならiDeCoではリスクを取らずに元本確保型の商品を選び、NISAなど運用期間を長くとれるものでは投資信託などで積極的に運用を行うというようにバランスを考えましょう。

またiDeCoの運用商品は、途中で変更をすることも可能です。
今後、新たに購入する商品を変更する「配分変更」と、これまで運用してきた商品を売却・解約して他の商品の買い付けをする「スイッチング」というふたつの変更方法があります。

ですから、商品選びが難しいと後回しにするのではなく、まずはスタートして運用をしながら商品変更をしていくのもよいでしょう。

iDeCoは、老後資金の準備を行ううえでは最も優遇されている制度です。デメリットを踏まえたうえでも活用した方がよいと判断した場合は、この機会に加入を検討してみてはいかがでしょうか。

高田晶子(たかだ あきこ)

高田晶子(たかだ あきこ)

金融デザイン株式会社取締役。一級ファイナンシャルプランニング技能士。
大学卒業後、信託銀行に就職。信託銀行退職後、イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年、ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に「住宅ローン 賢い人はこう借りる!(共著、PHP研究所)」「絶対に知っておきたい!地震火災保険と災害時のお金(自由国民社)」など。「私にできるお金のため方・ふやし方」を学ぶオンラインゼミ「お金の知恵アカデミー」を主催。

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