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住宅ローンはいくらまで借りられる?いくらまで借りても平気?返済負担率、借り入れ可能額を計算(FP相談室)

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こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の高田です。

住宅購入では、まず「いくらくらいの家が買えるのだろうか?」が気になりますね。住宅購入の予算を決めるには、住宅ローンをいくら借りるかがポイントになります。借り入れできる住宅ローンの金額の目安と、返せる住宅ローンの金額の目安についてご紹介します。

1. みんなが借りているのは、年収の何倍くらい?

最初に、平均的な数字を見てみましょう。
皆さま年収に対して、何倍くらいの住宅ローンを借りているのでしょうか?

年収と住宅予算、借り入れ額
分譲一戸建て 分譲集合住宅 土地購入と住宅建築
平均年収 641万円 752万円 731万円(*)
購入資金 3,644万円 4,180万円 4,294万円
年収倍率 5.7倍 5.6倍 5.9倍
借入金 2,843万円 2,864万円 3,467万円
年収倍率 4.4倍 3.8倍 4.7倍
自己資金比率 22.00% 31.50% 19.20%

2019年度住宅市場動向調査より 令和元年度の数字を抜粋
※一次取得者の場合 ※土地購入と住宅建築の平均年収は住宅建築のみの人も含む

借り入れ金の年収倍率を見ると、およそ4倍から5倍程度です。なお、頭金(自己資金比率)については、分譲集合住宅は購入額の3割を超えているものの、平均は2割程度です。

このデータは初めて住宅購入をする一次取得者の平均で、平均年齢は30代です。年齢が上がれば返済にかける年数は短くなるため、同じような金額を借りると、返済の負担が大きくなる可能性もあります。平均値はあくまでも参考程度とし、自分のケースで考えるようにするのがよいでしょう。

2. 借り入れ可能額はこう計算する

(1)年収から計算する借り入れ可能額
まずは、どのくらい金融機関が貸してくれるのかを計算してみましょう。
ここで使う「年収」は額面と言われる税金等などが差し引かれる前の金額です。

計算例の前提
  • 年齢 35歳
  • 年収 700万円
  • 返済年数 35年
  • 他の借り入れ 無い
  • 返済負担率3 5%以内
  • 審査上の金利 4%

返済負担率とは
年間の返済額が年収の何%に当たるか、というのが返済負担率です。金融機関では借り入れの審査を行うにあたり、返済負担率の上限を定めています。具体的に何%までかは、明示されていないことが多いようです。
フラット35の場合は年収400万円未満であれば30%以下、年収400万円以上であれば35%以下と定められており、この基準を参考にすることはできます。
また、返済負担率における年間の返済額は、これから借りようとしている住宅ローン以外に自動車ローン、教育ローンなどがある場合には、その返済額も含めて計算します。

審査上の金利とは
返済負担率を計算するには、あら新たに借り入れする住宅ローンの返済額を計算しなくてはなりません。そのために必要なのが「借り入れ金額」「返済年数」「金利」です。借り入れ金額と返済年数は、実際に申し込んだ数字になりますが、金利は実際の金利ではなく、審査をするうえでの金利を用いていることが多いようです。この金利が何%なのかは、明らかにはされていませんが、一般的には3〜4%程度と言われていますので、4%で計算しておくとよいでしょう。なおフラット35の場合には、その時点での実際の金利を用いて計算します。

計算例の場合の借り入れ可能額は次のように計算します。

借り入れ可能額の計算

1.年間返済額の上限を計算
年収×返済負担率(A)-その他ローンの年間返済額

2.毎月返済額に換算
A÷12(B)

3.借り入れ可能額を算出
1万円あたりの借り入れ可能額×(B)÷10,000

計算例
1. 7,000,000円×35%=2,450,000円

2. 2,450,000円÷12=204,166円

3. 返済期間35年の場合の1万円あたりの借り入れ可能額・・・225.8万円
225.8×(204,166÷10,000)=4610.06 → 約4,610万円

返済額1万円あたりの借り入れ可能額(単位:万円)
15年 20年 25年 30年 35年
135.1 165.0 189.4 209.4 225.8

金利4%の場合

最近では、各金融機関が住宅ローンのシミュレーターをWEBに掲載しているので、返済期間と金利を入力したうえで、借り入れ額を変えていき、上限の毎月返済額に近い数字を出すこともできます。

(2)年収別の借り入れ可能額早見表
年収別の借り入れ可能額の早見表です。
シミュレーターに入力する際にも目安として利用してください。

年収別の借り入れ可能額の目安
返済負担率35%、審査金利4.0%で試算

(単位:万円)
返済期間
15年 20年 25年 30年 35年
年収 400万円 1,570 1,920 2,210 2,440 2,630
500万円 1,970 2,400 2,760 3,050 3,290
600万円 2,360 2,880 3,310 3,660 3,950
700万円 2,760 3,360 3,860 4,270 4,610
800万円 3,150 3,850 4,420 4,880 5,260
900万円 3,540 4,330 4,970 5,490 5,920
1,000万円 3,940 4,810 5,520 6,100 6,580
1,200万円 4,730 5,770 6,630 7,330 7,900
1,500万円 5,910 7,210 8,280 9,160 9,880

年収と返済期間が交わった場所の金額が借り入れ可能額の目安です。たとえば年収600万円で返済期間30年なら3,660万円が目安の金額です。同じ年収でも返済期間を長くすれば、借り入れ可能額は多くなります。

3. 無理のない返済額から算出する借り入れ額

年収や返済期間から借り入れが可能な金額であっても、それが必ずしも返せる金額とは限りません。同じ年収、年齢でも、家族構成、ライフプランや価値観が違えば、住宅にかけられる金額も異なるはずです。

(1)住宅関連に回せる金額を算出
住宅を所有すると、住宅ローンの返済だけでなく、維持費などがかかるようになります。まずどのくらい住宅関連に回せるかを出してみましょう。

住宅関連に回せる金額(1年あたり)=年間の手取り収入―住宅費以外の生活費―将来に向けた貯蓄

年間の収入の手取り額
前年の源泉徴収票や住民税決定通知書、給与明細などを参考に、ボーナスも含めて年間の手取り額を出します。手取り額とは、額面の年収から、所得税、住民税、社会保険料を差し引いたものです。

住宅費以外の生活費
家計簿を付けている場合には、住宅の賃料以外の支出を合計してください。家族旅行などのイベント費や趣味や自己啓発などに使っている支出、ローンや奨学金などの返済、生命保険料なども入れてください。
家計簿を付けていない場合には、手取り額から住居費とこの1年でたまった金額を差し引くと、おおよその支出額を把握することができます。
なお、住宅を購入して家が広くなるようなら、水道光熱費が多くなる可能性があります。今までより通学・通勤などに交通費がかかるなど、生活の変化でふえる生活費はないか確認しておきましょう。

将来に向けた貯蓄
今後の教育費やリタイア後の生活のため、その他ライフイベントのための貯蓄は、住宅購入後も必要なものです。今まで貯蓄・運用してきたもので継続するもの、今後貯蓄・運用するものは年間でいくらくらいか算出しましょう。

1年あたりに住宅に回せる金額が出てきたところで、一度その金額と向かい合ってみてください。住宅購入に向けて節約したり、イベントも先送りしていたりすると、今までの生活費は少なかったかもしれません。住宅購入を機に、もっと他にお金を使いたいということもあるでしょう。逆に、今まで何となく使ってしまったものを切り詰めて、できるだけ住宅を充実させたいと考えるかたもいるでしょう。

ご自身やご家族の価値観を反映させた住宅関連費を検討してみてください。

(2)住宅購入後にかかる維持費など
住宅を所有すると賃貸のときにはなかったもので、あらたに必要になる費用があります。固定資産税・都市計画税、マンションの場合には管理費・修繕積立金、戸建てでも今後の修繕費のための積み立てが必要です。
金額は場所や物件によって異なりますが、通常、合計で年間数十万円になることが多いようです。すでに候補があれば、不動産会社などにいくらくらいになるか聞いておきましょう。


(3)毎月の返済額から借り入れ可能額を計算
(1)と(2)で計算したものから、毎月住宅ローンの返済に回せる金額を算出します。

毎月返済額の目安={住宅関連に回せる金額(1年あたり)−住宅購入後にかかる維持費など}÷12

計算例
1.住宅関連に回せる金額(1年あたり)
手取り額 560万円-住宅費以外の生活費300万円-将来に向けた貯蓄60万円=200万円
2.毎月返済額の目安
(200万円-住宅購入後にかかる維持費60万円)÷12=11.67万円


毎月返済額の目安が出たら、返済期間を決めましょう。その返済額を何年間続けることができますか?

一般的に住宅ローンの返済期間は最長で35年です。しかし、現在40歳のかたが35年返済を予定すれば75歳まで返済が続きます。できれば、自分が働いて収入を得られる期間にしておくのが安全策です。

毎月返済額と返済期間が決まったら、金融機関などのシミュレーターを利用して借り入れ可能額を算出してみましょう。金利によっても金額が異なります。まだどの金利タイプにするかなどが決まっていなければ、長期固定金利の金利で計算するとよいでしょう。

(単位:万円)
借り入れ年数
毎月返済額 金利 15 20 25 30 35
8 0.5% 1,380 1,820 2,250 2,670 3,080
1.0% 1,330 1,730 2,120 2,480 2,830
1.5% 1,280 1,650 2,000 2,310 2,610
2.0% 1,240 1,580 1,880 2,160 2,410
9 0.5% 1,560 2,050 2,530 3,000 3,460
1.0% 1,500 1,950 2,380 2,790 3,180
1.5% 1,440 1,860 2,250 2,600 2,930
2.0% 1,390 1,770 2,120 2,430 2,710
10 0.5% 1,730 2,280 2,810 3,340 3,850
1.0% 1,670 2,170 2,650 3,100 3,540
1.5% 1,610 2,070 2,500 2,890 3,260
2.0% 1,550 1,970 2,350 2,700 3,010
12 0.5% 2,080 2,740 3,380 4,010 4,620
1.0% 2,000 2,600 3,180 3,730 4,250
1.5% 1,930 2,480 3,000 3,470 3,910
2.0% 1,860 2,370 2,830 3,240 3,620
15 0.5% 2,600 3,420 4,220 5,010 5,770
1.0% 2,500 3,260 3,980 4,660 5,310
1.5% 2,410 3,100 3,750 4,340 4,890
2.0% 2,330 2,960 3,530 4,050 4,520
20 0.5% 3,460 4,560 5,630 6,680 7,700
1.0% 3,340 4,340 5,300 6,210 7,080
1.5% 3,220 4,140 5,000 5,790 6,530
2.0% 3,100 3,950 4,710 5,410 6,030
25 0.5% 4,330 5,700 7,040 8,350 9,630
1.0% 4,170 5,430 6,630 7,770 8,850
1.5% 4,020 5,180 6,250 7,240 8,160
2.0% 3,880 4,940 5,890 6,760 7,540
30 0.5% 5,200 6,850 8,450 10,020 11,550
1.0% 5,010 6,520 7,960 9,320 10,620
1.5% 4,830 6,210 7,500 8,690 9,790
2.0% 4,660 5,930 7,070 8,110 9,050
35 0.5% 6,060 7,990 9,860 11,690 13,480
1.0% 5,840 7,610 9,280 10,880 12,390
1.5% 5,630 7,250 8,750 10,140 11,430
2.0% 5,430 6,910 8,250 9,460 10,560

※ボーナス返済なし、元利均など返済の場合

表の見方
毎月返済できる金額が10万円、返済できる期間が30年とすると、金利1.5%なら2,890万円の借り入れが可能であるとわかります。

4. 借り入れ額を決めるときの心構え

無理のない返済から考える借り入れ可能額を、毎月の返済額から算出してみました。ただし、これは、完済までこの金額を支払い続けることができるという前提です。今後支出がふえたり、収入が減ったりする可能性はありませんか?
最後まで無理なく支払えるか、を最優先で考えてください。

また、毎月返済額をあと1万円ふやすことで、もう少しレベルアップした住宅が買えそうだ、ということもあるでしょう。こんな場合には、総返済額の違いを確認してください。
毎月1万円違えば、35年間では420万円です。これは、退職してリタイア後の生活に入る時点で、貯蓄額が420万円少なくなるということです。毎月1万円でも、総返済額で考えると大金ですし、その後の生活に与える影響は小さくありません。総返済額の確認をして、背伸びをしすぎていないか、を確かめることも大切です。

住宅購入後の生活自体を豊かにするためにも、無理がないことが一番です。借り入れ額を決めるときには多角的な視点から検討してください。

(FP相談室について)
お金に関するさまざまな相談を受けるファイナンシャルプランナーの視点で、お金に関するニュースや金融商品・サービスについて解説いただくコーナーです。

高田晶子(たかだ あきこ)

takada.PNG

金融デザイン株式会社取締役。一級ファイナンシャルプランニング技能士。
大学卒業後、信託銀行に就職。信託銀行退職後、イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年、ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に「住宅ローン 賢い人はこう借りる!(共著、PHP研究所)」「絶対に知っておきたい!地震火災保険と災害時のお金(自由国民社)」など。「持ち味マネーカード」を使い、その人にあったお金のためかた・ふやしかたを指南。現在、個人向けにお金の知恵を教えるアカデミーを企画中。

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