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【旅で子どもを育む】自己肯定力を高め、継続的な学びへ

こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。絆を深め、生きる力を育む「旅育」を、拙著「旅育BOOK」を通じ提唱しています。日常とは異なる旅先は、子どもの五感を刺激し、将来につながるコトや人との出会いに恵まれる貴重な機会。実体験から得た学びを旅先だけではなく、ぜひ日常へとつなげましょう。今回は「子どもの自己肯定力を高める」をテーマに、旅で積極的に学ぶヒントをご紹介します。

<バックナンバー>

  1. 第一回:変化の激しい時代にこそ、家族旅行が重要な3つの理由
  2. 第二回:【旅で子どもを育む】旅育は出発前から。旅行計画や旅支度は親子一緒で、やる気もUP!

旅は、子どもの自己肯定力を高めるチャンス

旅でのたった一度の経験が、子どもの才能を開花させ、日常や人生を変えることも珍しくありません。中でも「自分ならできる。大丈夫」という「自己肯定力」は、変化の激しい時代に、自分らしく幸せに生きるための大きな助けとなります。そして旅は自己肯定力を高める絶好の機会。日常は忙しく、じっくり子どもに向き合うのが難しい親御さんも、仕事や家事から解放される旅では、時間と心の余裕ができるはず。ぜひ、旅先ではお子さんの疑問や興味に寄り添い、素敵な思い出と未来を生き抜く力を育みましょう。

実践1:声がけで目標を意識。「できた!」という成功を積ませよう

子どもは褒めて育てるのがいいと頭ではわかっていても、日常生活では、「できない」「やらない」ことに目がいき、つい小言が多くなりがち。その点、旅は時間や場所が区切られ、新しい刺激にあふれています。小さな目標を立てやすく、親御さんも褒め上手になれるのです。

旅で何気なくしていることも、子どもが意識することで目標となります。「(宿の人に)元気に挨拶しよう」、「(お城など観光中に)家紋があるから、探してみよう」「あの山の上まで登るよ。ちょっと大変だけれど頑張ろう!」など、子どもへの声がけを工夫してみましょう。そして目標へ取り組む姿勢を認め、達成できたら褒めることで成功体験となります。
一つ一つは小さな成功でも、回を重ねることで「できると楽しい」「褒められて嬉しい」という達成感や充実感が子どもの中に蓄積され、自信や新たなチャレンジへ挑む積極性へとつながります。

旅先では「なぜ?」という疑問を口にすることがありますが、これは「学びの楽しさ」を体感するチャンス。丁寧に向き合い一緒に答えを探せば、日常では見いだせなかった興味や関心へ広がることも。タイミングを逃さず、大切に育てましょう。

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実践2:大型連休では、家族みんなで「初めて」に挑戦する

家族旅行では「どこへ行くかよりも何をするか」が大事です。そのため家族旅行では「旅のテーマ」を決めることをお勧めしています。大型連休などでは遠出をする方も多いことでしょう。せっかくなら、親御さんも体験したことのない「旅先ならではの初めて体験」をテーマにしてみては?

我が家ではハワイに訪れた際、「ダイヤモンドヘッドに登る」を旅のテーマにしました。他にも「乗馬やラフティングなどに挑戦する」「地域の伝統工芸で作品を作る」など、子どもと何をしたいか相談しながら決めるといいですね。「みんなが初めて」という中では、親子の垣根を越えて連帯感が生まれ、できた時の達成感や感動も格別です。うまくいかなかった悔しさも「親子で新しいことにチャレンジした」というプラスの経験として記憶に刻まれ、将来に渡り子どもを勇気づける経験となります。

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実践3:親子それぞれで過ごせば、子どもが大きく成長する

海外のリゾートホテルでは、子ども視点で旅先を楽しむキッズクラブがあるところが多く、国内でもホテルや地域が主催する「子どもだけで参加できるアクティビティ」が増えてきました。環境が整った時は、ぜひ親子別々に過ごす時間も大切にしたいもの。親と離れ、初めて会う友達と過ごすことを不安に思うかもしれません。でも子どもは親が思う以上にたくましく柔軟性を発揮することも多いもの。緊張を克服し、「パパやママと離れてひとりで過ごした」ということ自体が大きな自信になり、同世代の子どもとの交流を通じて多様性を体感できるのも魅力です。

こういった時間を利用して、親御さんも、元気に日常へ戻れるように心身のリフレッシュをしましょう。パパやママが元気でいることが何よりも、子どもにとって嬉しいことです。親子で離れて過ごしたあとは会話がとても弾みます。どんなことをして、どう感じたのか......情報交換が始まり、「自分だけしか知らない世界」を一生懸命に語る子どもの姿に、大きな成長を感じるに違いありません。

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自己肯定力は、子どもが自ら行動し「できた」という成功体験をする、親御さんをはじめ周りの方が笑顔で認めてくれることで育まれるもの。ぜひ旅を上手に活用しましょう。旅先での学びを日常へつなげるには「旅の思い出を形にする」ということも重要です。旅先で制作したもの、子どもが自分で選んだお土産などを飾ったり、楽しかった旅の思い出をスクラップする。写真も撮りっぱなしではなく、ベストショットを印刷して飾りましょう。目にするたびに「大変だったけれど頑張った」「家族でチャレンジした楽しい時間」を繰り返し思い出し、成功体験や愛されている自分という存在を再認識。心が安定し、自己肯定力が高まります。
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村田和子 プロフィール
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて、人・地域・社会を元気にする」をモットーに、新聞・雑誌・ラジオなどで旅の魅力を発信し、講演も行う。NHKラジオ「Nらじ」に月一レギュラーで出演。2001年に長男を出産し9歳までに親子で47都道府県を踏破。2013年旅を通じて子どもの生きる力を育む「親子の旅育メソッド」を提唱。著書に「旅育BOOK~子どもの心と脳がぐんぐん育つ」(日本実業出版社・2018)。総合旅行業務取扱管理者、クルーズコンサルタント、1級販売士
■公式サイト http://www.travel-k.com/

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