こんにちは、ソニー銀行の溝辺です。
今回は、ピクテ投信投資顧問株式会社の鈴木毅さんへの「ファンドマネージャーインタビュー後編」をお届けいたします。
溝辺:
これまで、趣味やご経歴、1日の仕事のルーティーンなどをうかがいましたが、いよいよ運用方針やファンドに対する想いなどを語っていただきます。
運用しているファンドや運用方針についてお聞かせください。
鈴木さん:
「業界トップシェア」を持つ日本企業に投資するiTrust日本株式を運用しています。
このファンドの投資哲学は「高い競争優位性を持つ企業に長期投資することで、市場の平均より大きなリターンを得る」というものです。短期的な株価変動よりも長期的な企業業績の見通しを重視することが、中長期でのパフォーマンス向上に寄与すると考えています。
先ほどもお話させていただいた企業調査を通じた徹底したボトムアップ調査を行い、開発力・マーケティング力などでその企業が業界トップシェアとなっている背景や、成長の持続性を吟味しているファンドです。
上昇する銘柄を見つける方法を教えてください。
鈴木さん:
どのように企業が変化するのか、どのような方向に向かっているのか、自分で判断できるようにすることです。
判断の際には、何が他社と違っていて、どのような競争優位性があるのかに注目しています。
その強みが成長の原動力となり、長期的な上昇が見込めると考えます。
またその一方で、その企業をマーケットがどのように評価していくのかも見ています。
溝辺:
2018年後半の日本株式市場の急落局面において、iTrust日本株式のパフォーマンスは市場平均に対して下落幅が小さく抑えられました。下落局面での強さの理由を教えていただけますか?
鈴木さん:
高い競争優位性を持っている企業、ある程度の規模を持っている企業に対して、中長期のスタンスで投資していくためリスクが分散できます。また、ボラティリティーの高い銘柄も避けています。
個別銘柄要因とリスク分散要因に加え、ポートフォリオ全体のボラティリティーを下げることにより、結果として下落幅が抑えられました。
溝辺:
中長期での運用を重視する姿勢から、銘柄の入れ替え頻度は低くなるのでしょうか?
鈴木さん:
ターンオーバー率は低くなっています。短期的な利益をねらいパフォーマンスを上げる戦略もあると思いますが、業績が中長期的に上がっていくと見込むならば、上がるところまで持ち切ろうというのがコンセプトです。
いわゆる「日本の失われた20年」でインデックスだけを見ていると下がり続け底を打つまでずいぶん時間がかかりましたが、その間も株価が堅調に推移した会社はいくらでもありました。日本電産もそうですし、信越化学工業、そしてトヨタ自動車もそうです。こういう会社はマーケット全体が下落してもシェアを伸ばし業績を上げていく。これができるのは高い競争優位性を持っている業界トップ企業だからです。
今後注目する投資テーマは何ですか?
鈴木さん:
テクノロジーの革新がもたらす社会の変化が大きなテーマであると考えています。例えば、5Gによってもたらされる情報技術の更なる進歩もそれです。
他にも自動運転や電動化による自動車市場の変化、環境へ貢献する技術革新、医療技術の進化など、社会に大きな変革・革新をもたらすテクノロジーは多くあります。
ファンドへの想いをお聞かせください。
鈴木さん:
中長期的に持続的な成長を実現しうる企業を選別してポートフォリオを構築すれば、企業の成長を株価パフォーマンスという形で享受できるという強い思いがあります。
87年から株式市場に携わり、日経平均が4万円から大きく下落する、日本の失われた20年も経験してきました。
その中で学んできたことは、やはり株式市場、株価は企業の業績に連動するということです。
その意味で、企業業績が成長する限り、中長期的な株価には楽観的な見通しを持っています。
溝辺:
日本企業の展望についてはどのように考えておられますか?
鈴木さん:
90年代の頃の下落局面のような感覚は全くないですし、個別企業を見ていくとアベノミクス以降に明らかに大きく変化しています。失われた20年の間に多くの課題を出し切り、苦境を乗り越えてきたうえで、成長していくために何をすべきかを徹底して追求している企業が増えています。サイクル的に一旦落ちることはあるかもしれませんが、成長機会はまだまだ訪れるため、中長期的に業績を伸ばす企業は少なくないと考えています。
職業病だと思うことがあれば教えてください。
鈴木さん:
いろんな企業をみるたびに、儲かるのか?もっと良いやり方はないのか?などつい考えてしまいます。
上場している企業でも、していない企業でも考えてしまいますね。
投資家の皆さまへメッセージをお願いします。
鈴木さん:
昨今の不透明な市場環境から、日本の株式市場は外部環境に大きく振り回される傾向があります。私たちは、そういった短期的な株価の変動に惑わされず、じっくりと投資することで「iTrust日本株式」の長期でのパフォーマンス向上に努めています。
投資家の皆さまにも、ぜひ長期的に当ファンドをご活用いただけると嬉しいです。
【終わりに】
ファンドマネージャーとしても、温かくステキなお父さんとしても、常にアクティブにご活躍される鈴木さんの輝きに魅せられたインタビューでした。 投資哲学として、短期的な株価の変動に惑わされず、高い競争優位性を持つ企業に長期投資していくという姿勢を貫く、強い意志を終始感じることができました。 銘柄の入れ替えが少ない「顔の見えやすいファンドとして、中長期で企業を応援していきたい」という鈴木さんの熱い想いに共感するかたも多いのではないでしょうか。
ソニー銀行 溝辺
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