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ファンドマネージャーインタビュー「ひふみワールド+」【前編】

【はじめに】

こんにちは、ソニー銀行の溝辺です。

今や、銀行や証券会社の店頭に行くこともなく、自宅のPCやスマホで簡単・便利に投資信託を購入し資産運用ができる時代。だからこそ、自分に合った投資信託を選ぶための情報収集が非常に大切となってきます。

投信のメリットとして、明確な投資方針と専門知識に基づいて運用するスペシャリストのノウハウを活用しつつ、低いコストで少額から国内外世界中の株式や債券に投資することができる点があげられます。

だけど、投資信託は種類や数が多すぎてどのファンドが自分に合っているのかわからない。パフォーマンスや純資産額などの数字には目を通したが他にどのような情報を参考にすればよいのだろうか?と疑問を持っているかたは多いのではないでしょうか。

だからこそ、投資信託の裏側に存在する「人」に着目!
ファンドマネージャーの「運用方針」とともに、「ファンドへの想い」や「人柄」をお伝えすることで、「自分に合っているかも」「なんか共感できる」「応援してみたくなった」と少しでも感じていただくことができる投資信託と出会っていただきたい。
そんな想いでお届けさせていただきます。


【レオス・キャピタルワークス株式会社 湯浅さんにインタビュー】

今回は、レオス・キャピタルワークス株式会社の湯浅光裕さんにお話をうかがいました。

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湯浅 光裕氏
レオス・キャピタルワークス株式会社
取締役 運用本部長
運用ファンド「ひふみワールド+」

溝辺:
これまでのご経歴を教えていただけますでしょうか。

湯浅さん:
1990年から外資系運用会社2社で運用にたずさわり、2003年に藤野さん、五十嵐さんと当社を創業、現在にいたります。

自分がやりたいと思うことができる環境をつくりだすための努力を惜しまない

溝辺:
趣味はなんですか?

湯浅さん:
自分を楽しませることですね。

溝辺:
ずばり一言。とてもご自身に正直な回答ですね。そのために実践していることを教えてください。

湯浅さん:
日々の中で、常に実践しているのですが、自分が楽しいと思えることを行い、ストレスを感じることはできるだけ避けるようにしています。
やりたいと思うことをできるライフスタイルや仕事、職場環境をつくったり、自分で見つけていくことが大切だと思っています。とはいえ、多くの人にそれは簡単なことじゃないと言われますが、適した環境を見つけるために自ら行動し、自由をつくりだす努力が必要であると思います。
毎日、仕事にやりがいがあり、楽しみながら稼げる環境って充実してますよね。

溝辺:
確かにそのような環境をつくりだすことができれば、欧米諸国比較での劣後が指摘される、日本人の労働生産性の改善にも繋がるのではないでしょうか。

湯浅さん:
その通りだと思います。労働生産性も向上し、健やかな生活にも繋がります。
趣味について、「ゴルフ」や「スキューバダイビング」などのアクティビティーをお答えになるかたも多いと思いますが、何故それらを行うのかということを自問すると、自分を楽しませるため、リラックスさせるためという回答が出てくるのではないでしょうか。であれば、ずっとそれをやっていられる環境をつくりだせばいいんじゃないか、と昔から思っていました。
私も、ゴルフはやるんですが、「4人揃わないとできない」「早朝に出発しないとたどり着けない」など、いろいろ制約があります。それらを超えてでも好きであれば問題ないと思いますが、ストレスを感じたので、少し遠ざかりました。
だけど、またやりたくなれば再開すればいい。そのとき、そのタイミングでやりたいこと、楽しめることをやればいい。そのような生活を続けられれば、非常に楽しく健やかに生きられる、という考えに基づくものです。

溝辺:
まさに理想のライフスタイルですね。
趣味の質問への回答の中で「働き方」についての話題が出てきました。「趣味のように楽しく仕事に取り組むべき」という思いがあるということでしょうか。

湯浅さん:
そうです。私は、弊社社長の藤野たちと共に起業することで、それを実現しました。すべての責任は自分にあり、自分の判断で仕事を行う。これが自由だと考えています。人間にとって自由は最も大切です。自由を得るためには、「自分の判断で行動し責任をとる」ということと「稼ぐ」ということ双方をやり続けなければならない。それが楽しければ、延々と継続できる。これは、自営業でもサラリーマンでも一緒であると考えています。
楽しいと思えるように周囲の環境にフィットしていく。どうしてもフィットできなければ、現状が楽しいと思えるように自分の脳を矯正していく。
人生における、楽しい時間はできるだけ長い方が良い。仕事は、人生の時間の大きなウェイトを占めているので、楽しみたい。
たまたまこの仕事を始めて、とても楽しめた。一生やっていきたいと感じたので、悪い環境の瞬間も経験しましたが、ここまで続けることができました。
どうしても苦しい環境の中で仕事をしなければならないのであれば、歯を食いしばってこなしていくのではなく、「この仕事は楽しい」と脳を矯正する。加えて、少しずつでも環境を改善する努力を続けていくこと、これが大切であると考えています。

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共に向かうべき方向についてきちんと話し合うことが重要

溝辺:
休日はどのように過ごしていますか?

湯浅さん:
天気の良い日は、妻と外出することが多いです。最近は、お台場と原宿によく行きます。
妻が、天気の良い日に開放的な景色を見ながら屋外で食事をとることが好きで。レインボーブリッジや海を見ながら食事ができる、テラス席のあるお台場のレストランによく行きます。
原宿では、キャットストリート(旧渋谷川遊歩道)によく訪れ、調査を兼ねていろんなレストランやカフェ、洋服屋に立ち寄ります。店に入れば、できるだけ店員さんと会話するようにしています。

溝辺:
店員さんには、どのような切り口でお話をされるのですか?

湯浅さん:
例えばコーヒーショップでコーヒーをもらう際に「ありがとう」という人がとても少ないと感じています。企業調査における取材とも通じる部分があるのですが、取材にはいくつか目的があって、そのひとつに相手に楽しんでもらいたいという思いがあります。店員さんも一緒なんです。気分が良いと人はたくさん話してくれますので。
「今日は寒いですね。」や「今日は何かおすすめのものはありますか?」と話しかけます。2度目の来店時には皆さん覚えていてくれています。
楽しくなっていただけるうえに、私も楽しく話が聞けますし、何よりも笑顔が増えるっていいじゃないですか。

溝辺:
休日は奥さまと外出されることが多いとのことですが、ご夫婦円満の秘訣について、教えてください。

湯浅さん:
私は、妻が大好きなんです。ただ、あまり大きな声では言えませんが・・・、これにも脳の矯正が必要なんです。
結婚には、理想もそのまた逆の現実もありますが、長い人生において幸せになるという目的を持って結婚しているわけですから、どれだけその後の人生を楽しいものにしていくかは自分の考え方次第だと思っています。
今、我々はどういう状況で何をすべきかということと、お互いどのような努力が必要であるか、については結婚する前から話しています。
結婚10年後に、実はこう思っていたと伝えられても困ると思いますので、共に向かうべき方向についてきちんと話し合っています。結婚がゴールではないので。
これは会社におけるミッションと一緒で、どこに向かって走っていくのかを共有せずに進めてしまう、ばらばらになってしまう可能性が高いと思います。

溝辺:
しかし、「想い」の共有って簡単じゃないですよね?

湯浅さん:
結婚後10年間は毎日、落ち着いた環境できちんと時間をとって妻と会話をしていました。
会社のメンバー間でのコミュニケーションが簡単でないのは当たり前で、夫婦で毎日話し合ってやっとうまくいくくらいですから、会社で少し話すだけではスムーズに進まないことが多い。
「伝える」ということは簡単ではないと思います。しかし、会話の時間と深さで、想いを確実に共有するとまではいかなくても、この人が言っていることはこういうことなんだと理解・共有するところまでもっていくことが大切だと思います。

「俯瞰」することの大切さ

溝辺:
今までで最も感動したことはなんですか?

湯浅さん:
特にありません、と言うか感情の起伏を抑えているところがあるので、忘れているのかもしれません。逆に言うと、いつでも感動します。特に、人の成長を見るときに感動していると思います。

溝辺:
感情の起伏を抑えるよう努めていらっしゃる理由について教えていただけますでしょうか。

湯浅さん:
これも自分を楽しませるための工夫なんです。落ち込んだり、高まった際の反動を避けるためにどうすればよいかを考え、脳を矯正しました。
運用の仕事を始めた当初は、株価が想定外の動きをすることが多々あり、その度に感情が起伏し、寝られなくなることがありました。これは、脳のボラティリティーを下げないとやっていけないと感じたことが最初の理由です。

溝辺:
ご自身を俯瞰して、現状を的確に把握されているからこそ可能なコントロールだと感じました。

湯浅さん:
運用の仕事に限らず、何事も「俯瞰」が大切だと思います。
弊社には「レオスバリュー」というものがあり、その中に「一日一笑」という言葉があります。「私たちは、柔らかなコミュニケーションをすることを大切にします」という誓いであり、笑顔を増やしたいという思いが含まれています。リーマンショックなど大変なマーケット環境に際し、ただ落ち込んでいても何も生まれない。そういうときにこそ、面白い話ができる人、クスっと笑える雰囲気をつくれる人、その価値は非常に高いと思います。「もうダメだ」と落ち込んでいる方が楽なときに、逆に前向きな事象を捉えたり、チャンスを見つけ出す視点を持つには、俯瞰力が大切だと思います。
そのようなメンタリティーを持って欲しいという思いが「一日一笑」には込められています。
自分自身を俯瞰して、「湯浅という人間のここがダサい」と思うことができれば、そこを変えて成長していけます。


インタビュー後半では「運用方針」や「ファンドに対する想い」などを語っていただきます!


後編へ続く

インタビュー実施日:2020年2月28日(金)

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