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ファンドマネージャーインタビュー「eMAXISシリーズ」【後編】

こんにちは。ソニー銀行の工藤です。
今回は、三菱UFJ国際投信株式会社の村松祐介さんへの「ファンドマネージャーインタビュー後編」をお届けいたします。

前編はこちら

工藤:
ファンドマネージャーとして働くことで得られる喜びや成長について教えていただけますか。

村松さん:
そうですね。いろいろありますが、ひとつは金融市場のダイナミクスとともに絶えず成長していけることですね。運用資産が拡大する中で私の運用するファンドでは数10億の売買を行うことは日常的です。できれば取り引きは効率的に行いたいものですが、相応の規模になってくることでボリューム・ディスカウントによるメリットよりも、我々の取り引きが意図せぬインパクトを生んだり、売買コストが大きくなることでパフォーマンスを悪化させるリスクが高まることがあります。

そういったリスクを所与のものとして、どうやってインパクトを抑制していくのか。変化が激しい金融の世界で定石や分析が通用しないことはザラにあります。場合によっては厳しい時間的制約の中で次善策を検討したり、トレーダーと緊密に連携を行う必要もあります。そして結果として、各ファンドのパフォーマンスとして見える形で返ってくる。世界的にインデックス運用の存在感が増しつつある中、これまで以上に金融市場のダイナミクスを感じながら、さまざまな能力を日々研鑽することができるのはインデックス・ファンドのマネージャーとしての醍醐味といえるでしょうね。

目指すは「コスト負けしない」インデックス運用

工藤:
運用にあたって心掛けていることがあれば教えていただけますか。

村松さん:
「ベンチマークへ連動させること」です。当たり前だろ!と思われるかもしれませんが、ファンドでは管理費用である信託報酬であったり、有価証券を売買しているときの手数料であったり、いろいろなコストがかかっている分、一般的なインデックス・ファンドの運用実績はベンチマークに負ける=連動性は低下します。

私が目指しているのはそうではなくて、「コスト負けしない」インデックス運用です。つまり、ベンチマークに連動させつつ、かかるコストを補うため、着実にベンチマークに勝つことを目指す、ということです。

具体的な方法は企業秘密ですが、例えば株式のレンディングで収益を得たり、裁定取引のような機会を利用しています。 

工藤:
ファンドに対する想いをお聞かせください。

村松さん:
実は、初めて「eMAXIS」シリーズを知ったのは前職時代なんです。自分が本当にほしいと思う低コストなインデックス・ファンドを探していた頃でした。その後、同シリーズの成長に積極的に関わりたいという気持ちで転職し、社内公募を経て同シリーズを運用することとなりました。

あれから10年以上経ち、同シリーズは、足元で純資産合計5,000億円を超えるまでに成長しました。ここまでに至ることができたのは、私だけでなく、設定当初からの「純粋に自分がほしいと思う投資信託を作りたい」という想い、それを引き継いで商品ラインナップの拡充や商品性の改善を続けた社内のメンバー、さらには同シリーズの理念に共感していただけた、社内外の多くの皆さんの想いがあったからだと感じます。

いつか私もファンドの運用担当を離れる時が来ますが、私の代で「コスト負けしない、真に低コストなインデックス・ファンドを運用するには」、そのためのひとつの答えを導くつもりです。この想いも含めて「eMAXIS」シリーズは関わった人たちの想いがつなぎ続けられるファンドにしたいですね。

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「ESG」を資産運用のスタンダードに

工藤:
今後、チャレンジしてみたいことはありますか。

村松さん:
そうですね、「ESG」を資産運用のスタンダードにするということ、社会をあるべき姿にするため、「世界のお金の流れを変える」ことです(ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもの)。

ご存知のとおり、お金の流れの川上については「貯蓄から資産運用へ」として多くのかたが取り組んでいますよね。一方で我々はお金が行き着く先、川下側で投資先の企業を選定するわけですが、残念ながら、社会や環境等に配慮した運用はまだ主流とはいえません。
上流と下流双方でお金の流れが変われば、きっと社会はもっといい姿になる。そのためにファンドマネージャーとしては、ESGインデックスの開発だけでなく、各インデックスのコンサルテーションに参加して、ESGの考え方を既存のインデックスに反映したり、投資先をESGでスクリーニングをかけて選定してもなおインデックスに連動するような投資手法の開発等を通じることで、「当社のインデックス運用はすべてESG」といえる運用と目指したいと考えています。

工藤:
最後に、これから投資信託を始めようというかたにメッセージがあればお願いいたします。

村松さん:
「eMAXIS」シリーズの「MAXIS」は「MAX(最大)」「AXIS(軸)」を掛け合わせた造語です。皆さんの夢・将来を「最大化」するための「主軸」として、「eMAXIS」シリーズがお役に立てるとうれしいです。どうぞ宜しくお願いいたします。

【終わりに】

運用コストを抑え、長期型の投資信託として根強い人気の「eMAXIS」シリーズ。弊社でも常にランキングの上位にくる人気商品です。インデックス・ファンドと聞くと「ベンチマークとする株価指数に採用されている銘柄群と全く同様の銘柄構成を採用する」イメージが強いですが、その裏では熱い信念を持つかたがたの、日々のち密な計算の中で運用されているということがわかりました。

そして、近い将来、村松さんの「世界のお金の流れを変える」夢の実現に、我々も販売会社としての立場から携わっていきたいと感じるインタビューとなりました。

ソニー銀行 工藤

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