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為替のプロに聞く。為替相場の今とこれから

「2020年 オリコン顧客満足度(R)調査 外貨預金」において、ソニー銀行は総合1位を獲得しました。 皆さまにますますソニー銀行の外貨に触れてもらいたいと思っていますが、足元の環境をみると新型コロナに対する不安から積極的になれないかたも多いのではないでしょうか。そこで、TVなどでおなじみのソニーフィナンシャルホールディングス チーフアナリスト 尾河眞樹に「為替相場の今とこれから」についてインタビューしました。

Q1. 世界的にコロナ感染第2波への懸念が高まっているようにみえますが、第1波のころと比べ、為替相場は落ち着いているようにみえます。第1波との違いはどこにあるのでしょうか。

A1. 最も大きな違いは、世界の中央銀行や政府による大規模な政策が奏功していることです。第1波のときは、3月下旬にかけてコロナショックで市場がパニックに陥るなか、世界の基軸通貨であるドルへの需要が高まり、ドルが独歩高になりました。このときドル円も101円台から111円台まで約10円上昇したのです。その後3月に米連邦準備理事会(FRB)が大規模な金融緩和と資金供給を行い、日欧の中央銀行も緩和を拡大。各国政府の景気対策も相まって、市場は落ち着きを取り戻しました。第2波は確かに金融市場にとって不安要因ではあるものの、特に主要通貨であるドルと円は、中央銀行の大規模な資金供給(国債買入れ)によって、いずれも長期金利が低位安定していることもあり、大きなトレンドは出にくい環境になっていると思います。

Q2. 日米株式市場を見渡すと4月以降は反発に転じている反面、本来株高と正の相関関係にあるドル円は限定的な動きにみえます。この崩れの要因はどこにあると考えていますか

A2. これも、中央銀行の政策によるところが大きいです。日米の金利差がほとんどなくなり、ドルと円の力関係は拮抗しています。同様に金利が低く、流動性が高く、信任も厚いドルと円は、安全資産としての役割を担っており、新興国通貨に対して、いずれも同様に動く傾向がみられます。株高でリスク資産が買われるときには、ドルも円も売られ、これに対して新興国通貨や高金利通貨が買われるといった構図です。株高→ドル安・円安・高金利通貨高、株安→ドル高・円高・高金利通貨安、といった力関係は今後も続きそうです。もちろんこのドルと円の均衡も微妙にずれることがあるとは思いますが、当面は105~110円のレンジから、そう大きくは外れない範囲で安定するとみています。

Q3. では円と外貨の金利差も縮小している状況で、外貨を購入するメリットはありますか。

A3. もちろんメリットはあります。それは、リスク分散です。今年3月の極端なドル高をみてもわかる通り、これから何が起こるかわからない不安定な世の中にあって、通貨分散によるリスク分散は必要といえるでしょう。世界の基軸通貨であるドルをご資産の一部として保有していただくのは、長期的にみても重要と考えます。また、豪ドルなどは、値動きが米ドルとは異なっていますから、例えばリーマンショックの混乱時には、FRBの緩和によってドル全面安となるなか、豪ドルを保有していたほうが為替差損を縮小できたという例もありました。値動きの異なる資産を保有するのが分散投資の極意であり、通貨に関しても同じことがいえると思います。そのうえで、円よりも少しでも金利が高い外貨であれば、それなりに保有メリットは大きいのではないでしょうか。ただし、各国のインフレ率は注意してみておきたいところです。モノの値段が上がる分だけ、その国の通貨の利用価値(購買力)は下がります。高金利の背景には多くの場合、高インフレが潜んでいますので、金利だけに目がくらんで飛びつくと長期的には資産価値を大きく失うリスクがあります。

Q4.最後に、これからの為替相場または金融市場全般に影響を与える可能性のある国内外の注目イベントについてお願いします。

A4. イベント、といえるかどうかは微妙ですが、まずはこのコロナ問題が落ち着かないといけません。特に世界経済のけん引役ともいえる米国経済にとっても、第2波、第3波で再び経済活動をストップすることになれば、再び株安になるなど、リスクオフに陥る可能性はあるでしょう。したがって、金融市場の参加者が現在固唾をのんで見守っているのが、米国の第2波が本格化し、NY州などにも波及するかどうかと、ワクチン、新薬の開発に関する報道です。
米大統領選も注目です。株式市場などには、あくまで政策面でみればですが、トランプ大統領が勝つと株式市場にはポジティブです。なりふり構わない経済対策、バラマキへの期待が背景です。一方、バイデン氏が勝利すれば、法人税率引き上げや、規制緩和が巻き戻される可能性があり、一概にはいえませんが、ネガティブな側面もあるでしょう。また、米国の大統領が誰になるかで米中関係も変わって来る可能性があります。金融市場全般への影響という意味ではこのふたつといえるでしょう。

ポイントおさらい
✔各国の大規模政策が奏功しており、コロナ感染第1波のような混乱は起こりづらい
✔当面のドル円の予想レンジは105~110円台で安定か
✔何が起こるかわからない不安定なときこそ、リスク分散を
✔米国の第2波と大統領選の行方に要注目

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