2024年7月5日(金)、日本時間21時30分に米国で6月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「6月FOMC後の雇用統計だけに、注目度は高い」
ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹
6月11、12日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、メンバーの政策金利見通し、いわゆる「ドットチャート」に注目が集まりました。年内利下げ予想の平均値が、前回の3回から1回に減少しましたが、市場では概ね2回が予想されていただけに、サプライズとなったのです。しかし、詳しくドットの分布を見れば、据え置きが4名、1回利下げが7名、2回利下げが8名となっており、パウエル議長も当日会見で述べていた通り、予想は極めて僅差だったことがわかります。
したがって、今後の金融政策は正に「経済データ次第」であり、ドットの分布もまだまだ変わり得るということを示しています。
そのような観点から見れば、今後特に、賃金インフレにも影響する雇用統計には、益々注目が集まるでしょう。前回5月の米雇用統計が市場予想より強い結果となったため、6月の雇用統計も引き続き強い結果となるようであれば、利下げ観測がさらに後退し、ドル高が進みそうです。
特に、足元は市場における今年の年末時点の政策金利予想の変化に対して、ドル円が連動する傾向がみられます。米国の利下げが後ろ倒しになればなるほど、日米の短期金利差が拡大したままの状態が当面続くとみて、投機筋が円キャリー取引(円と外貨の短期金利差で収益を得ることを目的とした、円売りポジションの構築)を活発化させる傾向があるからです。
雇用統計以外の労働統計、例えば4月のJOLTS求人件数や、5月のISM(Institute for Supply Management:供給管理協会)の雇用指数などでは、労働需給の緩みが観測されつつあるものの、何といっても雇用統計は速報性が高いため注目度は高く、6月の非農業部門雇用者数が再び前月比で20万人を超えるかどうか、失業率が4.0%を超えるか、平均時給の伸びが5月の前年比4.1%を超えるかといった点が焦点となりそうです。
プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)
プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)
ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。
テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『為替ってこんなに面白い!(2024年幻冬舎新書)』、『〈最新版〉本当にわかる為替相場(2023年日本実業出版社)』などがある。ソニー銀行株式会社取締役、ウェルスナビ株式会社取締役。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年7月 | +18.7万人 | ||
2024年6月 | +19.0万人 | +27.2万人 | |
2024年5月 | +24.0万人 | +17.5万人 | +16.5万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年7月 | 4.0% | ||
2024年6月 | 3.9% | 4.0% | |
2024年5月 | 3.8% | 3.9% | 3.9% |
出所:時事通信社(2024年6月28日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年6月7日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年5月3日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年4月5日発表分)