2024年5月3日(金)、日本時間21時30分に米国で4月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「米経済の強さはどこまで?」
ソニーフィナンシャルグループ アナリスト 森本 淳太郎
最近の為替市場では、強い米国の経済指標と、それを受けた米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待後退により、ドル買いが優勢となっています。3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が30.3万人増と大幅に増加したほか、消費者物価指数(CPI)は米国のインフレ再燃の可能性を示唆し、小売売上高も個人消費の底堅さを示す結果となりました。
こうした中、年初には年内6回もの利下げを織り込んでいたFF金利先物市場では、直近では2回以下の利下げ期待が後退しており、米金利の上昇やドル高圧力となっています。FRB高官からも、利下げを急ぐ必要はないとの発言が相次いでおり、これまで利下げに前向きな姿勢を取っていたパウエル議長も利上げが効果を発揮するまでに更なる時間を与える必要があるとの認識を示しました。
政策金利見通し(ドットチャート)が発表される、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)までに、インフレ抑制を示唆するデータがどの程度集まるか、注目が集まります。
今回4月の雇用統計も、非農業部門雇用者数は20万人を超える増加が予想されており、失業率も前月からほぼ横ばいとなる見通しです。強い結果となれば、ドル買いが一段と強まる可能性があり、注意が必要です。もっとも、米国の利下げ期待は既に相当程度後退しており、市場予想とよほど乖離しない限りは、今回の雇用統計の結果のみで相場のトレンドが大きく変化する可能性は低いでしょう。
プロフィール
森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)
プロフィール
森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)
みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月より現職。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年5月 | +24.6万人 | ||
2024年4月 | +20.1万人 | +30.3万人 | |
2024年3月 | +20.0万人 | +27.5万人 | +27.0万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年5月 | 3.8% | ||
2024年4月 | 3.9% | 3.8% | |
2024年3月 | 3.7% | 3.9% | 3.9% |
出所:時事通信社(2024年4月26日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年4月5日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年3月8日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年2月2日発表分)