2024年3月8日(金)、日本時間22時30分に米国で2月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「2連続のサプライズとなるか」
ソニーフィナンシャルグループ アナリスト 森本 淳太郎
為替市場では、年初来ドル高・円安基調が続いていますが、背景には予想外に強い米国の経済指標があります。前回発表された1月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+35.3万人と市場予想の+18.5万人の倍近い増加となったほか、上昇が予定されていた失業率も3.7%と横ばいとなるなど、強い結果となりました。
加えてサプライズとなったのが、2月の米消費者物価指数(CPI)です。2月CPIは、総合指数が前年比+3.1%と市場予想の+2.9%を上回り、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数に関しても、鈍化の予想に反して前年比+3.9%と前月から横ばいとなりました。米国のインフレ抑制があと一歩のところで足踏みしていることが明らかとなり、利下げが遠のくのではないかとの思惑から、為替市場ではドル買いが優勢となりました。
今回の2月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+20万人を割り込み、失業率に関しても再度上昇するなど、前月よりは弱い結果となることが予想されています。また、ドル円が150円を超えた段階では当局による円安のけん制も強まっており、高値警戒感もあります。こうした中で、雇用統計の結果が前月とは打って変わって雇用逼迫の緩和を示唆する結果となれば、ドル売り・円買いが急速に強まる可能性があり、注意が必要です。とはいえ、最近続いている堅調な米経済指標が支えとなり、ドル円の下落幅もそれほど大きなものにはならないと考えられます。
プロフィール
森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)
プロフィール
森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)
みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月より現職。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年3月 | +19.2万人 | ||
2024年2月 | +18.0万人 | +35.3万人 | |
2024年1月 | +16.8万人 | +21.6万人 | +33.3万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年3月 | 3.7% | ||
2024年2月 | 3.8% | 3.7% | |
2024年1月 | 3.8% | 3.7% | 3.7% |
出所:時事通信社(2024年3月1日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年2月2日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年1月5日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年12月8日発表分)