2024年1月5日(金)、日本時間22時30分に米国で2023年12月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「利下げ予測をサポートする結果となるか?」
ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 森本 淳太郎
昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利見通し(ドットチャート)において、2024年の利下げ回数の見通しが2回から3回に増加したことがサプライズとなりました。
また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が記者会見の中で、利下げの開始時期について議論を行ったことを認めるなど、総じてハト派的な会合だったと言えます。12月の会合では、FRBがインフレ抑制に自信を深めている様子が明らかとなりました。
実際、米国のインフレ率は利上げの効果が実体経済に波及する中で、順調に低下してきています。FRBは、家賃を除くサービスインフレ(いわゆる「スーパーコア」)の高止まりを懸念していましたが、足下ではこちらもピークアウトの兆しが見えてきています。
背景にあるのは、米国の労働需給の軟化です。利上げにより景気が減速する中、労働需給は緩みつつあり、賃金上昇率は今後も低下していくことが予想されます。今回の雇用統計でも、雇用の増勢鈍化や失業率の上昇などで労働需給のひっ迫が緩和していることが確認できれば、FRBの利下げ見通しをサポートすることとなるでしょう。
ただ、FRBのハト派化を受け、市場では利下げ期待が前のめり気味に進んでしまっている点には注意が必要です。FF金利先物市場では、2024年内に6回もの利下げが既に織り込まれており、雇用統計が強い結果となれば、利下げ期待の剥落からドル買いが進む見込みです。日銀のマイナス金利解除への期待も根強い中で、従来のようなドル高・円安が進行する可能性は低いですが、雇用統計が市場予想より強い結果となった場合のドル円の反応には気を付けたいところです。
プロフィール
森本 淳太郎
プロフィール
森本 淳太郎
みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月より現職。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年1月 | +15.6万人 | ||
2023年12月 | +18.3万人 | +19.9万人 | |
2023年11月 | +19.0万人 | +15.0万人 | +15.0万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年1月 | 3.8% | ||
2023年12月 | 3.9% | 3.7% | |
2023年11月 | 3.8% | 3.9% | 3.9% |
出所:時事通信社(2023年12月29日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年12月8日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年11月3日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年10月6日発表分)