2023年10月6日(金)、日本時間21時30分に米国で9月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「雇用の逼迫緩和は続くか」
ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 森本 淳太郎
前回8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は18.7万人増と市場予想(17.0万人増)を若干上回る結果となりました。一方、失業率が3.8%と市場予想(3.5%)を大きく上回ったことに加えて、労働参加率は62.8%と2020年2月以来の高水準となったこともあり、米国の雇用の逼迫緩和の兆しではないかとの見方が広がりました。これにより、コロナ禍によって一旦労働市場から退出していた労働者が戻りつつあり、人手不足による賃金上昇や、それによるインフレが一服するのではないかとの期待も高まっています。
ただ、米国では8月雇用統計の対象期間、ハリウッドなどで大規模なストライキが行われており、指標に影響を与えた可能性も指摘されています。今回9月の雇用統計でも労働需給の緩和が確認できれば、米国の利上げもいよいよ打ち切りとの見方が強まると考えられます。
なお、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)における経済見通しでは、成長率見通しが上方修正され、失業率は見通し期間を通じて全て下方修正されるなど、底堅い経済によって雇用も堅調さを保つとの予測が示されました。パウエル議長は記者会見で今後の金融政策は「データ次第」であることを強調していますが、裏を返せば、マーケットはひとつひとつの指標に振られやすいとも言えます。市場ではタカ派的な見方が強まっている分、弱い結果となった場合の反応は大きなものになりそうです。
プロフィール
森本 淳太郎
プロフィール
森本 淳太郎
みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月より現職。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年10月 | +16.0万人 | ||
2023年9月 | +16.5万人 | +18.7万人 | |
2023年8月 | +19.9万人 | +18.7万人 | +15.7万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年10月 | 3.7% | ||
2023年9月 | 3.6% | 3.8% | |
2023年8月 | 3.6% | 3.5% | 3.5% |
出所:時事通信社(2023年9月29日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
雇用統計タイムセール
ソニー銀行では、雇用統計発表日にあわせて外貨預金の購入コスト(対円)を一律0円、FXの米ドル/円スプレッドを原則1銭固定とする特別イベントを毎月開催しています。ぜひこの機会を活用ください。
米ドル定期キャンペーン実施中!
期間限定で米ドル定期預金6ヶ月ものを年9.00%(税引き後7.171%)で提供中!(円から預け入れ限定)
さらに、外貨取り引きがはじめてのかたには、条件達成で現金5,000円をプレゼント!
基礎から直近の動向まで、為替に関してはこの一冊!テレビ東京『Newsモーニングサテライト』などでおなじみ尾河眞樹の「定番教科書」がページ数大幅増で最新の内容にアップデート。
激動の為替相場が私たちの暮らしにさまざまな影響を及ぼす今、必読の一冊です。
過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年9月1日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年8月4日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年7月7日発表分)