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米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年8月4日発表分)

2023年8月4日(金)、日本時間21時30分に米国で7月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

今月の注目ポイント
米金融政策のカギとなる7月の米雇用統計

ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹

7月の米雇用統計は、特に市場参加者の関心が高いと思われるので、発表後の市場のボラティリティーは比較的大きくなりそうです。理由は、7月12日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)が、前年比3.0%、食品とエネルギーを除くコアCPIが同4.8%と、前月から大幅に減速していたためです。もっとも、コアCPIを財とサービス価格に分解すると、サービス価格は前年比6.2%と高止まりしていました。米国では労働需給の逼迫が続いており、これによる賃金インフレが、サービス価格を押し上げていることが改めて確認されたのです。
したがって、米国の労働需給が緩むかどうかが、市場参加者にとっての最大の関心事であり、今回の雇用統計では、前月比で雇用の伸びが減速するかどうか、失業率が3.6%から上昇するかどうか、平均時給の伸びは、6月の前年比4.4%を上回るかどうといったポイントに注目が集まるでしょう。

加えて、8月1日に公表される6月のJOLTSの求人件数も焦点となりそうです。求人件数を失業者数で除した求人倍率は、今年1月の1.9倍から、5月には1.6倍まで低下しました。ただ、水準としてはまだ高いため、これがさらに低下するかもひとつの見どころと言えるでしょう。6月の失業者数は596万人ですので、求人倍率が1.5倍を下回るには6月の求人件数が、920万件を下回る必要があります。これらの指標から、米労働需給の緩和が確認できれば、利上げは打ち止めとの見方が広がるなか、ドル安が進行する可能性が高いです。

プロフィール
尾河 眞樹

プロフィール
尾河 眞樹

 

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化
発表年月 予想値 実績値 修正値
2023年8月 +19.1万人
2023年7月 +22.9万人 +20.9万人
2023年6月 +19.0万人 +33.9万人 +30.6万人

失業率
発表年月 予想値 実績値 修正値
2023年8月 3.6%
2023年7月 3.6% 3.6%
2023年6月 3.5% 3.7% 3.7%

出所:時事通信社(2023年7月28日(金)時点)

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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過去の記事はこちら

米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年7月7日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年6月2日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年5月5日発表分)

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