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米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年6月2日発表分)

2023年6月2日(金)、日本時間21時30分に米国で5月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

今月の注目ポイント
指標結果で米政策金利の行方を見定める

ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 石川 久美子

足下、6月13~14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)における追加利上げの有無、そして年内の利下げ開始の有無が取り沙汰されています。5月2~3日のFOMCにおいては、25bpの利上げを決定した一方、声明文から「いくらかの追加引き締めが適切となる可能性を見込む」との文言を削除し、「追加策がどの程度必要か決定する際には、これまでの金融引き締めの累積効果や、経済や物価に時間差で与える影響を考慮する」と記載しました。
これにより、市場では利上げ停止観測が拡大し、ドル安が進行しました。ただし、その後に出た前回雇用統計の内容が非常に強い結果だったことでドルは切り返し、ドル円は年初来高値を更新する展開になっています。

しかし、本稿執筆時点では、FF金利先物市場では6月利上げの織り込みは3割強。そして、これまでFOMCが「年内の利下げは考えていない」とのスタンスを示し続けているにも関わらず、年内の2、3回の利下げを織り込み続けており、依然として市場はハト派に傾きすぎているように見受けられます。
米国で発表される経済指標で強めの結果が続けば、6月の追加利上げ、もしくは年内の利下げ観測を後退させる形で、一段とドル高が進む公算です。

中でも、5月雇用統計は最も重要な指標のひとつです。足下の米国では特にサービスインフレの高止まりが警戒されており、これを減速させるには労働需給の緩みが必要になります。前月に続き、今回の雇用統計も市場予想以上の強さとなれば、現況の過度にハト派に傾きすぎている市場では、思惑修正によるドル買いが加速すると考えられます。

プロフィール
石川 久美子

プロフィール
石川 久美子

 

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化
発表年月 予想値 実績値 修正値
2023年6月 +18.2万人
2023年5月 +17.9万人 +25.3万人
2023年4月 +23.9万人 +23.6万人 +16.5万人

失業率(%)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2023年6月 3.5%
2023年5月 3.6% 3.4%
2023年4月 3.6% 3.5% 3.5%

出所:時事通信社(2023年5月26日(金)時点)

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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過去の記事はこちら

米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年5月5日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年4月7日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年3月10日発表分)

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