2023年4月7日(金)、日本時間21時30分に米国で3月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「労働需給の緩和が示されるかに注目」
ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 石川 久美子
3月21日から22日に行われた米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利が25bpの利上げを決定するも、声明では今後の利上げについて「いくらか追加の政策決定が適切かもしれない」と、前回からトーンダウン。この背景にあるのは、3月中旬に広がった米欧の金融機関の経営不安です。一連の事象が銀行システム不安に発展、信用状況が引き締まったことが「利上げの代わりになり得る」とし、引き上げが予想されていたターミナルレート(利上げの終着点)を据え置き、利上げはあと1回(25bp)であることを示唆しました。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「(金利で対応することについて)判断は時期尚早」で、単純にインフレ・雇用関連のデータだけを見れば、ターミナルレート引き上げが妥当だったとインフレへの強い警戒感を示しました。FRBは今後、米銀の動向と物価に関わる経済指標を両にらみで金融政策のかじ取りを行う公算ですが、パウエルFRB議長が「今年の利下げを予想しない」としたにも拘わらず、市場は年内の利下げ開始を織り込んでいます。
そうした中で発表される米3月雇用統計は非常に重要です。足下の米国のインフレの牽引役はサービス価格で、その中でも賃金が牽引役となっています。つまり、労働需給が緩み、賃金の伸びの鈍化が見られればインフレ鈍化につながる公算です。3月10日に発表された2月雇用統計では、失業率が悪化し、平均時給の伸び市場予想ほどの加速とならなかったことを受けてドル安となりました。足下では市場は先々の米経済を悲観的に見ており、もし2月と同様に失業率の上昇や平均時給の伸びが市場予想を下回れば、市場のハト派的な見通しが補強されることとなり、ドル売りが強まると考えられます。
プロフィール
石川 久美子
プロフィール
石川 久美子
商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年4月 | +23.5万人 | ||
2023年3月 | +22.3万人 | +31.1万人 | |
2023年2月 | +19.0万人 | +51.7万人 | +50.4万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年4月 | 3.6% | ||
2023年3月 | 3.4% | 3.6% | |
2023年2月 | 3.6% | 3.4% | 3.4% |
出所:時事通信社(2023年3月31日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年3月10日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年2月3日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年1月6日発表分)