2023年1月6日(金)、日本時間22時30分に米国で12月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「公表後の米長期金利の動きに注意」
ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹
11月の米消費者物価指数(CPI)をみると、食品とエネルギーを除いたコア指数が前年比6.0%と、市場予想(同6.1%)と前月(6.3%)を下回っています。ただ、財は前年比3.7%と、10月の5.1%から大きく減速した一方で、サービス価格は前年比6.8%と、むしろ10月の同6.7%から伸びが加速していました。
ガソリン価格の低下などを背景にインフレは鈍化してきた一方で、賃金の高い伸びは続いており、今後はこの「賃金インフレ」がどうなるかが最大の焦点になりそうです。その点からすると、今回の雇用統計では、平均時給が11月の前年比5.1%から鈍化するかどうかに注目が集まると思われます。また、失業率が3.7%から上昇するか、労働参加率が62.1%からさらに増加するかも重要です。これらの指標が、まだ労働市場の逼迫を示す内容となり、賃金インフレの鈍化が進まない様子が示されれば、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続が意識され、ドルは一時的に上昇するとみています。
ただ、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、タカ派なスタンスが示されたにも関わらず、市場が景気後退リスクを織り込む形となり、かえって米長期金利が低下するという現象がおきました。今回も一時的にドル高が進んでも、米長期金利が揃って上昇しない場合には、ドルの上昇余地は限られそうです。
年末から日銀の金融政策が注目を集めており、年明けは総裁人事をめぐる関連報道にも、市場参加者は高い関心を示しそうです。こうしたなか、年明けはどちらかと言えば円高圧力が強まる公算が大きいとみています。
プロフィール
尾河 眞樹
プロフィール
尾河 眞樹
ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年1月 | +21.0(万人) | ||
2022年12月 | +20.2(万人) | +26.3(万人) | |
2022年11月 | +19.1(万人) | +26.1(万人) | +28.4(万人) |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年1月 | 3.7% | ||
2022年12月 | 3.7% | 3.7% | |
2022年11月 | 3.6% | 3.7% | 3.7% |
出所:時事通信社(2022年12月29日(木)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年12月2日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年11月4日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年10月7日発表分)