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米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年12月2日発表分)

2022年12月2日(金)、日本時間22時30分に米国で11月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

今月の注目ポイント
「12月FOMC前の重要イベント!」

ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹

ドル円のボラティリティが大きくなっています。11月10日に公表された10月の米消費者物価指数(CPI)の前年比伸び率が9月から大幅に減速したうえ、市場予想も大きく下回ったことで、ドルが急落。ドル円は1日に約6円もの大幅下落となりました。しかし、インフレ率が減速したとはいえ水準としては依然として高く、まだ米連邦準備理事会(FRB)が許容できる水準とは言えません。今回のドル円の暴落は、市場参加者の過剰反応だったように思います。サービス価格の粘着性を見る限り、米国のインフレ率は暫く高止まりし、明確に低下するのは、2023年の後半だと見ています。

問題なのは、このように市場が先走ってFRBの利上げペース減速を織り込むと、時期尚早な長期金利の低下と株高を誘発し、これがインフレの収束を遅らせてしまう可能性がある点です。それを極力避けるため、FRBは当面タカ派的なスタンスを示すと思われます。年内最大のイベントは12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)ですが、ここで示されるメンバーの政策金利見通し(ドットチャート)やパウエル議長の記者会見が注目です。

そのFOMC前に発表される重要な経済指標のひとつが、11月の雇用統計です。今回は、10月に3.7%までじわり上昇した失業率がもう一段上昇するのかどうか、同じく前回、10月の5.3%から4.7%へ急低下した平均時給(前年比)がさらに低下するのか、また、前回加速していた「前月比」も低下するかといった点にも注目したいと思います。

また、雇用統計前の11月30日ですが、JOLTS求人件数にも注目です。求人件数を失業者数で除した求人倍率は、パウエルFRB議長も注目しており、これが9月の1.8倍から低下するかどうかにも注目が集まります。12月13日には11月のCPIも公表されますが、これらの指標がインフレの高止まりを示すようであれば、ドルが反発する公算です。

プロフィール
尾河 眞樹

プロフィール
尾河 眞樹

 

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化 (万人)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年12月 +21.3(万人)
2022年11月 +19.1(万人) +26.1(万人)
2022年10月 +26.4(万人) +26.3(万人) +31.5(万人)

失業率(%)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年12月 3.7%
2022年11月 3.6% 3.7%
2022年10月 3.7% 3.5% 3.5%

出所:時事通信社(2022年11月25日(金)時点)

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

雇用統計タイムセール
ソニー銀行では、雇用統計発表日にあわせて外貨預金の購入コスト(対円)を一律0円、FXの米ドル/円スプレッドを原則1銭固定とする特別イベントを毎月開催しています。ぜひこの機会を活用ください。

過去の記事はこちら

米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年11月4日発表分) 
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年10月7日発表分) 
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年9月2日発表分)

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