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米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年9月2日発表分)

2022年9月2日(金)、日本時間21時30分に米国で8月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

今月の注目ポイント
「雇用の逼迫と賃金上昇に鈍化は見られるか」

ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 石川 久美子

7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%もの大幅利上げが決定された一方、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が記者会見で「いずれ利上げペースの減速が適切になる可能性が高い」と発言したことが「ハト派的である」と受け止められて以降、外国為替市場では「米国の利上げペースが今後鈍化するのではないか」との見方が拡大しました。
8月5日に発表された7月の米雇用統計が労働市場の逼迫感と賃金上昇の伸びを確認する結果になると、市場では一旦、過度に米国の利上げペース減速を織り込もうとする動きが後退。しかし、10日に発表された7月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことで、再び利上げペース鈍化観測が浮上しました。足下では、各種経済指標や要人発言の内容から、「9月の利上げ幅」および米国の利上げのピークが「どの時期に、どれほどの水準となるのか」を模索し、一喜一憂する展開となっています。

こうした状況下で迎える今回の8月米雇用統計は、9月FOMC前に確認できる最後の雇用統計となり、非常に重要です。雇用の逼迫が強く意識される結果となれば、特に賃金の上昇圧力がインフレに与える影響に注目が集まり、9月FOMCでの0.75%幅の利上げと先々の金利上振れを見込んだドル買いが入る可能性があります。一方で、雇用の逼迫感の緩和や、賃金の上昇圧力が和らげば、利上げ幅が0.50%程度にとどまるとの見方が強まり、ドルには売り圧力が掛かる公算です。いずれの結果にせよ、初動の動きは大きくなる可能性があります。
もっとも、9月20~21日のFOMCまでに8月CPIの発表も予定されています。雇用統計後の動きが翌週以降に続くトレンドになる可能性は低いものと考えられます。

プロフィール
石川 久美子

プロフィール
石川 久美子

 

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年9月 +30.1万人
2022年8月 +25.0万人 +52.8万人
2022年7月 +26.4万人 +37.2万人 +39.8万人

失業率(%)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年9月 3.5%
2022年8月 3.6% 3.5%
2022年7月 3.6% 3.6% 3.6%

出所:時事通信社(2022年8月26日(金)時点)

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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過去の記事はこちら

米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年8月5日発表分) 
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年7月8日発表分) 
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年6月3日発表分)

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