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米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年8月5日発表分)

2022年8月5日(金)、日本時間21時30分に米国で7月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

今月の注目ポイント
「引き続き労働市場の逼迫を示す内容となるかがカギ」

ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹

7月28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.75%の利上げが決定されました。ただ、パウエル議長の会見が、市場に「ハト派」と受け取られたうえ、翌28日に発表された4-6月期の米実質GDP成長率(速報値)が、前期比年率0.9%減となったことで、米景気後退懸念が一段と強まり、米10年債利回りが2.6%台まで急低下する中で、ドル円は一転して下落基調となっています。

FOMC後の記者会見で、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「いずれ利上げペースの減速が適切になる可能性が高い」と発言しました。債券市場はこの発言に反応し、足下では早々と来年3月以降の「利下げ」を織り込んでいます。しかし、同時にパウエル議長は、「断固としてインフレを低下させる」「物価安定を取り戻すうえで失敗という選択肢はない」などと述べており、インフレの抑制を最優先課題としていることも強調しました。加えて、「少なくとも現時点ではSEP(FOMCメンバーの見通し)は、前回(6月)と同様の見通しが有効だ」と述べた点も重要です。この発言を踏まえれば、あくまで今後のデータ次第ではあるものの、6月のドットチャートで示された3.75%まで利上げする可能性はまだ残っているとみるべきでしょう。

日米実質金利差で見ると、ドル円相場は130円丁度をやや割り込む可能性はありそうです。しかし、次回9月のFOMCまでにインフレがなかなか抑制されない場合、再び米長期金利が急騰したり、ドル円が反発する公算は大きいとみています。こうした中、7月の米雇用統計には一層注目が集まりそうです。特に失業率が前回の3.6%から上昇するか、あるいは平均時給が前回の前年比5.1%増から鈍化するかどうかといった点がポイントです。これらの水準があまり変わらず、インフレ抑制の兆しが見られなければドル高の反応となりそうです。

プロフィール
尾河 眞樹

プロフィール
尾河 眞樹

 

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化 (万人)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年8月 +24.9(万人)
2022年7月 +26.4(万人) +37.2(万人)
2022年6月 +32.6(万人) +39.0(万人) +38.4(万人)

失業率(%)
発表年月 予想値 実績値 修正値
2022年8月 3.6%
2022年7月 3.6% 3.6%
2022年6月 3.5% 3.6% 3.6%

出所:時事通信社(2022年8月1日(月) 時点)

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年07月08日発表分) 
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年06月03日発表分) 
米雇用統計・今月の注目ポイント(2022年05月06日発表分)

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