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為替のプロに外貨預金の初歩を聞いてみました

はじめに

こんにちは。編集部です。
最近、資産運用を始めるかたが増えているようです。資産運用にもさまざまな方法がありますが、外貨預金に興味があるかたもいると思います。

今回は資産運用をこれから始めようとしているかたや、外貨預金に興味はあるけどまだ踏み出せていないかたに向けて、メリットや気をつけるべきことなど、入門者のかたが気になるであろうことを、ソニーフィナンシャルグループのシニアアナリスト、石川久美子さんに一問一答形式で教えてもらいました。

編集部:
外貨預金を始めるとどのようなメリットがありますか?円のみではだめなのでしょうか?

石川さん:
イギリスの格言に「ひとつのカゴにすべての卵を盛るな」という言葉があります。ひとつのカゴにすべての卵を入れてしまうと、カゴを落とすとすべて割れてしまいます。

すべての資産を円で持っているということは、日本というカゴにすべて入れているのと同じことです。
例えば可能性は低いですが、日本が財政破綻するとすべての資産を失うことになるかもしれません。

そのリスクを回避するために資産を分散させることが有効です。

また、デフレが長かった日本でも、最近はインフレ圧力が掛かっています。今後インフレ圧力が高まっていけば円の価値が下がるため、円預金のみで持っている場合、資産が目減りすることになります。

それを避けるために、日本のインフレ率よりも利回りが高い資産を持つ必要があります。多くの外貨は日本円よりも金利が高く、選択肢のひとつと言えそうです。

編集部:
外貨預金を始めたいけどなんかこわい。気をつけた方がよいことは何かありますか?

石川さん:
どんなリスクがあるのかを把握することが重要です。リスクにもたくさんの種類がありますが、価格変動リスクが最も大きなものです。

また、買う前にも買った後にもコンスタントに価格を確認することが必要です。変動する価格を見ながら買うタイミングの分散を考えるのもよいと思います。

編集部:
いざ外貨預金を始めようしても通貨選びで迷ってしまいます。どのように選んだらよいですか?

石川さん:
入門者のかたには情報量と取引量が最も多い米ドルが始めやすいかと思います。

米ドルは世界の安全資産とも言われています。世界各国が何かあったときのために外貨を持っておく、いわゆる「外貨準備」の大部分は米ドルで持たれています。
日本に何かあっても、米ドルを持っていればすべての資産を失う可能性が低下します。

また、取り引きをひとたび始めると、継続して情報を集める必要があります。そうした意味では、留学したことがある国など、自分が興味を持てそうな国の通貨もよいかと思います。

編集部:
購入と売却のタイミングがわかりません。どのように見極めればよいですか?

石川さん:
タイミングはプロでも難しいですし、短期で運用するのか長期で運用するのかによっても異なります。まずは長期間のチャートを見て、なぜ今の水準になっているのか、その国の経済環境を確認しながら推察することから始めてみてください。

とは言っても、超長期で少しずつ積み立てる場合などは短期的な値動きには振り回されず、始めたいと思ったときが始めどきだと思います。その場合、売却については自分の目標とする利益が出そうだと思ったときに売却すればよいと思います。

編集部:
購入後に気をつけることや見ておいた方がよい情報はありますか?

石川さん:
短期で運用するかたは毎日市況をチェックしましょう。

ゆっくりと取り引きを行う場合は、ウィークリーレポートを読む習慣をつけることから始めてみるのはいかがでしょうか。
さまざまな会社がウィークリーレポートを出していますので、まずは自分が読みやすいと思うレポートを選べばいいと思います。これで、前の週の振り返りと次の週のポイントを確認しましょう。

マンスリーレポートもありますが1ヶ月に1回では生活に根付きにくいでしょう。まずはウィークリーレポートを月曜の朝に読む、などウィークリー単位のベースのルーティーンを身につけてみるのはいかがでしょうか。

ちなみに、必ずこの情報を見ておけばよい、という情報はありません。
そのときの経済の状況によってマーケットが注目するトピックや指標は変わります。

レポートを読むメリットは、マーケットが今何に注目していて、今後何があったら相場がどのように動くのか、推測する力が養われることです。

例えば、ドルが大きく動くイベントとしてはアメリカの雇用統計が有名ですが、コロナが流行してからは経済指標よりもコロナに関するニュースの方が相場を動かす威力は強くなりました。また、米雇用統計より前は米貿易収支が注目されていた時期もありました。
また、要人の発言によって大きく価格変動が起こる場合もあります。

さらに、資産運用として外貨を持つのであれば、それぞれの通貨の動きの傾向も知るべきでしょう。

例えば、イギリスポンドは値動きが荒く、突然、大きく価格が動くことがあります。

資源産出国であるカナダとオーストラリアはそれぞれエネルギーと鉄鉱石などの国際商品が主な輸出品で、商品価格や、主要な輸出先の国の景気などによって通貨の価格が変動します。

その国の通貨を持っているとその国のことをよく知ろうと思うことができ、毎日のニュースにもっと強く興味を持てると思います。そういう意味で外貨は世界の扉と考えています。

お話をうかがったかた

石川 久美子(いしかわ くみこ)
ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部 シニアアナリスト

お話をうかがったかた

石川 久美子(いしかわ くみこ)
ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部 シニアアナリスト

商品先物相場の新聞記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。外国為替市場に関するレポート執筆の他、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」など多数のテレビ番組に出演し、金融市場の解説を行う。資源国・新興国通貨に強い。

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