2023年5月5日(金)、日本時間21時30分に米国で4月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「FOMCの直後となるだけに要注意」
ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹
4月の米雇用統計は5月2、3日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)の2日後となる、5月5日に発表されます。FOMCで決定される米金融政策に対する市場の反応が一巡したすぐ後のタイミングでの発表となるだけに、雇用統計による市場への影響はFOMCの結果次第となりそうです。FOMCで打ち出された方向性に対して、もし予想外の統計結果となった場合には、かえって市場が大きく反応する可能性もあるため、十分注意したいところです。
前回3月のFOMCでは、欧米の金融不安の影響もあり、「利上げはあと1回で終了」「信用収縮は利上げと同等の(引締め)効果がある」といった、ハト派的なメッセージが示されました。しかし、その後発表された米経済指標は比較的堅調で、4月初旬に公表された3月の米雇用統計では、失業率が3.5%に低下。3月の米消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除いたコア指数が前年比5.6%と、2月の同5.5%からむしろ加速。インフレ目標の2.0%を依然として大きく上回るなど、米国のインフレの高止まりが続いていることが確認されました。
こうしたなか、5月のFOMCでは、0.25%の利上げを決定することが予想されますが、これと共に、パウエル議長は会見で、足下市場で高まっている、「早期利下げ」への期待を後退させるような発言をする可能性がありそうです。例えば、「インフレは容認し難いほど高い」「現状は年内の利下げは考慮していない」といった、タカ派的なメッセージが打ち出されれば、米金利上昇とドル高の反応となることが予想されます。
しかし仮に、その後発表される4月の米雇用統計が非常に弱い結果となるなど、インフレの低下を示す内容となった場合には、その反動で比較的大幅にドル安円高が進む可能性があるため、注意したいところです。
(本記事の内容は2023年4月23日(日)時点のものです。)
プロフィール
尾河 眞樹
プロフィール
尾河 眞樹
ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年5月 | +17.7万人 | ||
2023年4月 | +23.9万人 | +23.6万人 | |
2023年3月 | +22.3万人 | +31.1万人 | +32.6万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年5月 | 3.6% | ||
2023年4月 | 3.6% | 3.5% | |
2023年3月 | 3.4% | 3.6% | 3.6% |
出所:時事通信社(2023年4月28日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年4月7日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年3月10日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年2月3日発表分)