2023年7月7日(金)、日本時間21時30分に米国で6月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「雇用逼迫はどれだけ緩和するか?」
ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 森本 淳太郎
6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利据え置きが決定されました。据え置きは今回の利上げサイクルが開始されてから初めてのことで、利上げも徐々に終盤に向かいつつある様子が明らかとなりました。
一方、政策金利見通し(ドットチャート)では、年内残り2回の利上げが示唆されました。金利を据え置きながら追加利上げを示唆するというのはややちぐはぐにも見えますが、これは連邦準備理事会(FRB)自身も今後の見通しについて確信を持てていないためかもしれません。米国の経済指標は強弱入り混じっており、インフレもピークアウトはしつつも依然高水準です。こうした中、景気への悪影響を最小限にするために一旦政策金利は据え置きつつ、インフレ期待再燃を防ぐため、ドットチャートではタカ派的な見方が示された可能性があります。
強弱入り混じるという観点では、雇用統計も同様です。前回5月分の雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想を上回った一方、失業率や平均時給は予想より弱い結果となりました。雇用の逼迫度合いは賃金を通じてインフレを左右する大きな要因となるため重要ですが、これまでのところ雇用統計が明確に逼迫緩和を示唆していない点も、FRBの判断を難しくしていると考えられます。
市場では年内残り1回の利上げが織り込まれていますが、今回の雇用統計が強い結果となれば、ドットチャートの通り2回の利上げが行われるのではないかとの思惑が強まり、じわじわとドル高が進むことが予想されます。一方、弱い結果となった場合の失望売りには要注意です。投機筋の円売りポジションも相当程度溜まっており、発表直後のドル売りは比較的大きな値幅になる可能性もあります。
プロフィール
森本 淳太郎
プロフィール
森本 淳太郎
みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月より現職。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年7月 | +20.0万人 | ||
2023年6月 | +19.0万人 | +33.9万人 | |
2023年5月 | +17.9万人 | +25.3万人 | +29.4万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2023年7月 | 3.6% | ||
2023年6月 | 3.5% | 3.7% | |
2023年5月 | 3.6% | 3.4% | 3.4% |
出所:時事通信社(2023年6月30日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
雇用統計タイムセール
ソニー銀行では、雇用統計発表日にあわせて外貨預金の購入コスト(対円)を一律0円、FXの米ドル/円スプレッドを原則1銭固定とする特別イベントを毎月開催しています。ぜひこの機会を活用ください。
外貨キャンペーンも同時開催中!
期間限定でおトクな外貨キャンペーンを実施中です。雇用統計タイムセール中ならキャンペーンに伴う外貨購入も、為替コスト0円の対象です。
基礎から直近の動向まで、為替に関してはこの一冊!テレビ東京『Newsモーニングサテライト』などでおなじみ尾河眞樹の「定番教科書」がページ数大幅増で最新の内容にアップデート。
激動の為替相場が私たちの暮らしにさまざまな影響を及ぼす今、必読の一冊です。
過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年6月2日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年5月5日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2023年4月7日発表分)