2024年4月5日(金)、日本時間21時30分に米国で3月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「どうなる?パウエルFRB議長も注目する労働市場」
ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹
3月19、20日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドットチャート)に大きな注目が集まりました。25年の利下げ予想は4回から3回に減少。ただ、今年1月、2月の米インフレ指標が強かったことから、市場では24年の利下げ予想も、2回に減少するのではないかとの見方があったため、これが据え置かれたことでむしろ、「ハト派的」と解釈され、ややドル安が進みました。パウエル議長は会見で「インフレ率は時に『でこぼこな道(Bumpy road)』をたどりながらも徐々に2%に向かって低下していくものだ。今は『でこぼこ』を伴っている状況で、この2ヶ月のデータに過剰反応するつもりはない」と述べ、インフレ率の抑制に向けた進捗は順調であるとの見解を示しました。
特に、記者からの「5月までにインフレの鈍化に確信が持てるようなデータが出ると思うか」との問いに対し、「もしデータに大幅な弱さが見られたら、特に労働市場だが、利下げのプロセスを開始する理由にもなり得る」と発言。その意味でも、3月の米雇用統計には注目が集まりそうです。特に、平均時給は2月に前年比4.3%増にいったん加速しましたが、これが再び減速するかどうかがポイントとなるでしょう。
加えてパウエル議長が注目するJOLTS求人件数は、ピークだった22年3月の122万件から、24年1月には88万件まで減少し、緩やかながら労働需給の緩和を示唆しています。
弊社では、6月から今年3回の利下げを予想しており、足下市場でも年内3回弱の利下げが織り込まれていますが、仮に雇用統計が予想を上回り、求人件数も増加するなど、労働市場の強さが示されれば、利下げ観測がさらに後退し、ドル高が進む可能性もありますから注意したいところです。
プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)
プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)
ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年4月 | +21.6万人 | ||
2024年3月 | +20.0万人 | +27.5万人 | |
2024年2月 | +18.0万人 | +35.3万人 | +22.9万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2024年4月 | 3.9% | ||
2024年3月 | 3.7% | 3.9% | |
2024年2月 | 3.8% | 3.7% | 3.7% |
出所:時事通信社(2024年3月29日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年3月8日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年2月2日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年1月5日発表分)