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米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年9月6日発表分)

2024年9月6日(金)、日本時間21時30分に米国で8月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

今月の注目ポイント
9月FOMCでの利下げ幅をうかがう

ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 石川 久美子

8月中のドル円相場は、日本の利上げや米国発のリスクオフなどを背景に、月初に一時141円70銭付近まで一時急落しました。この急落に一役買ったのが前回の米雇用統計です。8月2日に発表された7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を下回る11万4,000人増にとどまったほか、平均時給が市場予想以上の減速を見せました。
これに先立ち、7月31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ上振れへの警戒をやわらげ、労働市場の減速に対する警戒を示していたことから、市場では7月雇用統計の結果を重く受け止め、ドル円の下落が深いものになったと考えられます。
その後、8月21日に発表された米雇用統計の年次基準改定において、2024年3月までの1年の雇用者数が81.8万人下方修正されたこともあり、足下では米労働市場の減速がさらに注目を集める事態となっています。

ただ、ドル円市場を見るうえで足下の焦点となるのは、9月17~18日のFOMCにおける利下げ幅になります。8月23日のジャクソンホール・シンポジウムにおいて、パウエルFRB議長は「政策を調整するときが来た」と発言し、9月の利下げ開始を示唆しました。
しかし、その前の時点から、金利先物市場では9月の25bpの利下げを完全に織り込んでおり、一部50bpの利下げを見込んでいる状態です。
今回の雇用統計の結果が市場予想よりも強めの結果となれば、9月の利下げ幅は25bpが適切と判断され、ドルが買い戻される可能性がある一方、予想よりも大幅に弱ければ、50bp利下げへの期待が高まり、ドルがさらに売られると見られます。いずれにせよ、荒い値動きになりそうです。

プロフィール
石川 久美子(いしかわ くみこ)

プロフィール
石川 久美子(いしかわ くみこ)

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。外国為替市場に関するレポート執筆のほか、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」など多数のテレビやラジオ番組に出演し、金融市場の解説を行う。また、Xでの情報発信なども行っている。資源国・新興国通貨に強い。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化
発表年月 予想値 実績値 修正値
2024年9月 +15.5万人
2024年8月 +17.5万人 +11.4万人
2024年7月 +19.0万人 +20.6万人 +17.9万人

失業率
発表年月 予想値 実績値 修正値
2024年9月 4.2%
2024年8月 4.1% 4.3%
2024年7月 4.0% 4.1% 4.1%

出所:時事通信社(2024年8月30日(金)時点)

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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過去の記事はこちら

米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年8月2日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2024年7月5日発表分)
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