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ファンドマネージャーに訊く!「ひふみワールド+」【前編】

【はじめに】
こんにちは。ソニー銀行の工藤です。
「世界にあふれるビックリ!をみつけにいこう」でおなじみの「ひふみワールド+」。ソニー銀行では2020年3月の取り扱い以降、積み立てプランを中心に順調に取扱数を増やしています。さて、今回は、その「ひふみワールド+」をお持ちのかたにアンケートを行い、その結果をもとに、ファンドマネージャーの湯浅さんにインタビューを行いました。湯浅さんへのインタビューは2020年2月のインタビューに続き、2回目となりますが、今回もさまざまな疑問に丁寧に答えていただきました。湯浅さんの誠実な人柄が垣間見える楽しいインタビューとなっています。

レオス・キャピタルワークス株式会社 湯浅さんにインタビュー

湯浅光裕氏

湯浅 光裕氏
レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役副社長 運用本部長
運用ファンド「ひふみワールド+」

工藤:
まず「ひふみワールド+」をお持ちのかたですが、傾向としては、「ひふみプラス」の購入経験者の割合が高く、それを理由に「ひふみワールド+」を購入したというかたが多いようです。こういった根強いファンが多いのもレオス・キャピタルワークスさんの特徴と思いますが、いかがでしょうか。

湯浅さん:
ありがとうございます(笑)。多くのかたにご購入いただいていて、とても嬉しいです。改めて、ひふみを買ってくださった皆さん、そして保有してくださっている皆さん、本当にありがとうございます。

工藤:
「ひふみプラス」はソニー銀行でも非常に人気のあるファンドのひとつです。ぜひ、そういった輪が大きくなっていくと嬉しいなと思っています。それから、購入意欲が高まるタイミングとしては、「相場が下落したとき」の割合が約40%を占める一方で、「相場が上昇したとき」は少ないようです。よく日本人は「逆張りを好む」と言われますが、相場の上昇トレンドに乗るような手法は、やはり難しいのでしょうか。

購入意欲が高まるタイミング
相場が下落したとき 41%
資産運用に関するニュースを見たとき 22%
キャンペーンを実施しているとき	17%
商品広告を見たとき 10%
相場が上昇したとき 6%
その他(自由記述) 4%

湯浅さん:
たしかに上昇トレンドを読むって難しいですし、読めないんですよね。
そもそもトレンドとは、結果、長く続いたからトレンドと言えるのであって、そのときはわからないんですよ。例えば、今の株式市場がこれからやや下落したとき、「これから上昇トレンドは来ますか?」と聞かれても誰も答えられません。

おそらくこのアンケートに答えてくださっているかたは、質問に対して気持ちに正直に答えてくださっているのではないかな、と思います。安いときに買いたいと思うのは当たり前です。けれども、実際に相場が上がっているときも時間分散をして買っている人はいらっしゃると思うんですよ。

例えば、相場が下落したときには多めに買って、そして上昇したときも、「毎月つみたてをしているけれども、まあ追加で買おうかな」という風に。「どういうときに買うか・買いたいか」と問われたときは、みんな、理想=「下落したとき」って答えるのではないでしょうか。

ただ、現実はずっと相場が下落するまで待つって難しい。トレンドは結果論でしかないですし。そして下落したとき"だけ"買うというのも、タイミングを見極めるのはとても難しいですよね。最近の米国株を例として出すと、過去、数ヶ月は上がっていますから。「相場が上がっているから買えない」と思って実際買えていない人は、この数ヶ月はずっと買えてないことになる。2020年2月~3月のコロナショック後の株価がここまで上がってくるのも、予想できた人はなかなかいないのではないでしょうか。

ただ、運用する私たちの仕事はどんなときでもマーケットに向き合い続けることだと思っています。今だとコロナの状況をはじめ、各国の対応、世の中の動きをきちんと見なければいけない。本当に月並みというか、当たり前のことを繰り返し申し上げますが(笑)「上昇トレンドはわからないので、常に時間分散をして買う」というのが鉄則だと思っていたほうがいいと思います。われわれプロの投資家も時間を分散しています。

工藤:
時間分散をしていることが結果的にトレンドに乗ることにもつながるということですね。一方で、売却意欲が高まるタイミングについては、購入サイドと異なり、相場影響の割合は低いようです。つまり、長期保有されるかたが多いということが言えると思うですが、このあたりもひふみシリーズの特徴ではないでしょうか。

売却意欲が高まるタイミング
お金の使い道ができたとき 53%
その商品の含み損が解消されたとき 20%
関連する悪いニュースを見たとき	11%
その商品の含み損が出そうなとき	8%
その他(自由記述) 8%

湯浅さん:
とてもありがたいことです。私たち(ひふみシリーズ)としても、みなさまに長期保有していただきたいと思っているのです。だからソニー銀行さんとも「ぜひ一緒に投資の良さを広めていきましょう」、ということで販売いただくことになりました。ソニー銀行さんがお客さまにいろいろ伝えてくださっているおかげで、お客さまもじっくりお持ちくださるかたが多いのではないでしょうか。


工藤:
続きまして、お客さまからいただいた質問をいくつかピックアップして、ご紹介します。まずは一番多かった質問です。

Q1:海外株式についての具体的な調査方法を教えてほしい。(60代男性・30代男性)

湯浅さん:
運用に携わる人たちが所属するのが「運用部」なのですが、この部署にはファンドマネージャーという最終的な投資判断を下す人と、企業を調査するアナリストがいます。「ひふみワールド+」は僕がファンドマネージャーですね。もちろん僕もいろんな会社に取材・調査をしていますが、最終的な投資判断をするにあたり、企業を調査するアナリストたちの存在というのは本当に大切なんですよ。

「ひふみワールド+」は、国も、セクター(業種)、企業規模も制限なく、海外のさまざまな成長企業に投資する投資信託です。なので、僕らはアナリストに対して業種などの制限を持たせることはなく、調査してもらっています。アナリスト各自の興味、知識、関心、感性から調査がスタートするんです。

例えば、「欧州を見てほしい」ととあるアナリストに依頼したとする。欧州って、いろんな業種がありますよね。その中から自由に調べてもらう。そしてアナリストが企業と面談して、対話します。対話というのは本当にいろいろなことを聞きますね。企業の経営のことから、その人の夢だったり、子供のころのことだったり......アナリストによって質問は違いますが、ここは個性が出ますね。本質を問う質問だったり、経営の細やかなところだったり、いろんなことを対話するんです。そして、見つけてきた企業(銘柄)を僕らファンドマネージャーと運用部に報告してくれるんです。

その中で、僕らがポートフォリオに入れたいと思っていた業種であったり、思い描く未来や、作っていきたいポートフォリオのパーツになるものであるなら、組み入れます。もちろん、組み入れるときにはしっかり吟味しますよ。何社か候補があるから株価が相対的に割安か割高かを判断するための指標を見たり、経営力、成長力を考えたり、それらを総合的に考えて、ポートフォリオに入れていく。これが具体的な調査方法ですね。

世の中には本当にいろんな業種や企業があるから、アクティブファンドとして運用できるのは強みなんですよ。「人」は強みです。いろんなアナリストが集まり、それぞれの興味関心のもとさまざまな企業を調査する。その中で、その成長する企業を、どのくらい、どうやってポートフォリオに入れるのか?それらを考えるのが僕の仕事です。僕の仕事については、このあと詳しくお伝えしますね。

湯浅光裕氏

工藤:
ちなみに、現在のコロナ環境下で、湯浅さんが自ら海外へ渡航するケースは難しくなるような気がするのですが、何か対策はされていますか?

湯浅さん:
そうですね...この質問の奥には「現地に行ったら、行かないよりもいい情報が100%得られる」という考えのもとで聞かれていると思うのですが、それは違います。現地に行けば、たしかに情報はあります。けれど、行かない場合は、行かない場合の情報がある。一番重要なのは、「現地に行くか、行かないか」、ではなく、「僕ら(運用部)が、調査のクオリティを上げる」ということなんです。

個々が調査するときの質問の聞き方、内容、プレゼンテーションを常に磨きあげて、調査する相手も楽しんで答えられるようにする。それが一番大事です。つまり、僕らのプレゼンス(存在)をどういう風に相手に伝えて、どう質問して、そこからどのようなアウトプット(情報)を得られるのか。それらを考えて、実践して、学び、修正を繰り返して...ということが、調査のクオリティを上げることにつながると思っています。

今、世界中で、人はあまり能動的に動けないですよね。リアルに対面して調査ができなくなっているのは僕たちだけじゃない。みんな同じ土俵に立っています。僕らは行く・行かない関係なく、多面的に物事を見て、調査していきたいと思っています。物理的に会わないと本質がわからない、なんて問題でしょうし(笑)。

レオスの運用部のメンバーというのは、好奇心旺盛なんです。その興味を源泉として、質問や、プレゼンスのクオリティの上昇に貢献できると思っています。

工藤:
なるほど。大切なことは調査のクオリティであり、そこには絶対の自信があるということでしょうか。
素晴らしいですね。インタビュー後編では、引き続きお客さまからいたただいた質問にお答えいただきます!

後編へ続く

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