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年金制度の基本とゆとりある老後生活の準備方法(後編)

前編では、1階から3階におよぶ公的年金制度の理解と、年金の繰り上げ・繰り下げ受給についてお伝えしました。そのうえで、実際に意識調査のデータを見ながら老後の生活について考察していきましょう。まず支出の全体像を掴むことが大切ですが、老後生活とはどれくらいの費用がかかるものなのでしょうか。いわゆる普通の生活と、ゆとりある生活の両面の統計があります。

1. 夫婦2人で送る日常生活費は月額平均22.1万円

生命保険文化センターが行った意識調査によると、老後2人で生活を送るうえで最低限必要と考える日常生活費は月額平均22.1万円です。ただこれは「最低限」の数字です。
この調査では、自分の老後の生活費を公的年金で「まかなえるとは思わない」と答えた人は78.7%に上ります。

出典:生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」 (生命保険文化センターのページへリンクします)

2. 充実した老後の暮らしにはさらなる備えが必要

公的年金だけではまかなえないと思っている人が多い中、一方では、同じく生命保険文化センターの調査によると、ゆとりある老後生活を送るための費用は、最低限必要な費用以外に、月あたり14万円必要という結果になっています。これを最低限の日常生活費に上乗せすると月36万円となります。

この調査において、ゆとりある老後生活を送るための上乗せ額を具体的にどのようなことに使っていきたいかアンケートをとった結果次のようになりました。

グラフ.png

旅行やレジャー 60.7%
趣味や教養 51.1%
日常生活費の充実 49.6%
身内とのつきあい 48.8%
耐久消費財の買い替え 30.0%
子どもや孫への資金援助 22.4%
隣人や友人とのつきあい 15.5%
とりあえず貯蓄 3.7%
その他 0.4%
わからない 0.4%

出典:生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」 (生命保険文化センターのページへリンクします)

3. 公的年金の受給見込額の把握と不足分への対策は?

老後資金の確保手段としてもっとも頼りになるのが公的年金制度です。前回の記事でもご紹介しましたが、日本年金機構によると令和3年4月時点の標準的な年金支給額は夫婦2人・老齢基礎年金+厚生年金の合計で約22万円です。

受け取ることのできる年金額を確認するには、ねんきん定期便を活用しましょう。毎年誕生日前後に送られてくる定期便は最近1年の加入実績、35歳や45歳といった節目の年にはこれまでのすべての加入実績に応じた年金額が記載されています。

ねんきん定期便を見ると、現在時点の納付状況でどのくらい年金受給が見込めるかを把握することができます。これを先ほど紹介したゆとりある老後生活を送るための目安額などと比較し、自分の希望する生活ができそうかを想定する機会としましょう。不足している場合は、不足額に応じたさまざまな準備をすることが必要です。

「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和3年度送付分) (日本年金機構のページへリンクします)

将来受け取れるであろう老齢基礎年金額・老齢厚生年金額を把握したら、そのうえで、思い描く老後の生活水準を満たすために不足がある場合、どのような対策があるのでしょうか。

まず1つ目に、安定的な収入がある間に、こつこつ貯金をしておくことが大切です。また、貯金をして余裕ができた分の一部を、資産運用に回すのもひとつの方法です。
資産運用にもさまざまな方法がありますが、外貨や投資信託は少額からこつこつ積み立てる購入方法もありますので、毎月貯金している金額の内いくらかを資産運用に回す場合はおすすめの買い方です。

2つ目に、付加年金や確定拠出年金など追加で加入できる公的年金があります。現段階からでも加入ができるものを探し、加入を検討してみましょう。
また、退職金や、一時払いのある生命保険、個人年金保険で得た資金を利用することもできます。自分にとって何が向いているのか視野を広げて検討することが大切です。

(まとめ)余裕のある老後生活の実現にいまできること

2回にわたり年金生活に纏わる老後について掲載しましたがいかがでしたでしょうか。
まずは自分がどのような老後生活をしたいのかイメージをしてみると、そのための必要な費用を試算しやすくなると思います。

老後になったらこの部分は少し余裕を持たせたいね、ならば費用面でこれだけの準備が必要かなと家族で話し合って、目標を明確化することも大切です。

現状の年金制度から余裕のある老後生活のために、確定年金の活用や、いつか始めようと考えていた資産運用を始める動機付けになれば理想的です。年を重ねてもここはお金を使いたい、というイメージが大きな動機付けになります。ただ、リスクをともなう方法ばかりではなく、貯金により一層励むことも大切です。

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