家計のバランスシートを作ってみよう!
家計を管理するうえで、家計簿を利用する人はたくさんいると思います。家計簿は、毎月の収支をチェックする際に役立ちますが、家計簿だけでは資産の全体像を把握することはできません。資産全体の状況を把握するのであれば、家計のバランスシートを作ることをおすすめします。
バランスシートとは
バランスシートとは、頭文字をとってBSや、日本語で貸借対照表と呼ばれます。企業の資産や負債、純資産の状況を示すもので、決算書(財務諸表)の一部となり、基準日時点での財務状況を表すことを目的として作られています。一般的に企業で使われるバランスシートですが、財務状況把握という点では、家計の管理にも当てはめることができます。
バランスシートの資産、負債、純資産の意味について
バランスシートは「資産」「負債」「純資産」という3つで構成されています。
それぞれの定義を確認してみましょう。
資産・・・ 現金及びお金に換えることができるプラスの財産のことです。
負債・・・ ローンなど返済しないとけないマイナスの財産のことです。
残りの純資産は?バランスシートの3つの要素は、次の式で表すことができます。
資産 - 負債 = 純資産
この定義だけではわかりにくいので、具体例をあげてみます。
家計のバランスシート
30代男性/既婚/子供2人の世帯を例にバランスシートの内容を見てみましょう。
このバランスシートの場合、資産は預金や株式、不動産などです。対する負債は、不動産を購入した住宅ローンやクレジットカードの未払金額などがあります。
式に当てはめてみると、資産(2,930万円)-負債(1,860万円)=1,070万円。この1,070万円が純資産、つまりこの家計における余力としての資産となります。
この純資産の金額が多いほど家計は潤っているということになります。
バランスシートの作り方と注意点
バランスシートの例を確認いただき、なんとなくイメージがついてきましたか?次はバランスシートの作り方をご紹介します。
(1)資産の部の作り方
資産の部は抜け漏れが起こりやすいので、まずは漏れなく書き出してください。預金などは、銀行の通帳にある最新の残高を記載しましょう。また、資産はできるだけ現金化しやすい順に並べておくとよいでしょう。
流動資産・・・1年以内に現金化することができるもの
固定資産・・・流動資産以外(長期間保持する予定の家、車など)
不動産や、車などは購入時の価格ではなく、評価額(わかる範囲での金額)を記載しましょう。
(2)負債の部の作り方
負債の部を作成するには、まずは最新の借入残高などをよく確認しておきましょう。見落としがちなクレジットカードなどの後払いも負債なので、見落とさないようにしましょう。また、奨学金や親族など金融機関以外からの借入がある場合も負債として記載しましょう。
流動負債・・・1年以内に返済が必要なもの
固定負債・・・流動負債以外(住宅ローン、車のローンなど)
(3)純資産の部の作り方
純資産の部には、資産の部の金額から負債の部の金額を引いて算出します。
資産が多い家計でも、同時に負債の額が高いと健全な家計とはいえません。純資産の推移を家計改善の目安としていきましょう。
バランスシート見直しのチェックポイント
バランスシートは定期的に見直しが必要です。作ったことに満足するのではなく、家計の見直しにしっかり活用していきましょう。ではその時のチェックポイントを2つご紹介します。
①純資産がマイナスになっていないかをチェックする
定期的に純資産がプラスになっているかどうかを確認しましょう。マイナスの場合は、ひとまず貯金を増やすための家計改善(固定出費の見直し)などを検討する必要があります。住宅ローンなどの負債が多い場合は、繰り上げ返済などを活用し早めに返済する方法などを家族でよく話しあってみましょう。
ただし、現金は緊急時用にいくらか保持しておくことをおすすめします。
②資産と負債のバランスをチェックする
資産と負債のバランスを見極めることが、家計が健全かどうかを確認するための目安となります。
そのためには、バランスシートの中にある自己資本(純資産と同じ金額)の割合がどれくらいかを確認することをおすすめします。確認方法は次の式に当てはめると簡単です。
自己資本比率=純資産÷(総)資産
会社経営においても、この自己資本比率の割合が高ければ高いほど、健全な財務状況といわれます。
家計においても純資産を増やしていくために、支出が少なく済んだ月には、資産運用などを心掛け、将来への備えを検討してみましょう。