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どっちがよい?賃貸と持ち家のメリットとデメリット(FP相談室)

賃貸がよいか、持ち家がよいかという話は、筆者が知っているだけでもすでに30年近く話題にされています。マイホームは金額が大きな買い物ですので賃貸と比較されがちです。
しかし、お金、ライフスタイル、価値観など、何を基準にするかでメリット、デメリットは簡単に逆転します。

賃貸と持ち家のそもそも論

かなり粗い考え方かもしれませんが、筆者は大前提として、今住んでいる賃貸物件とまったく同等の物件に住み続けるつもりなら、購入した方がよいと考えます。
賃貸の場合、オーナーがその物件で商売をしているので家賃には利益が乗っていて当然です。つまり購入の場合は単純計算で原価分の支払いで済むと考えるからです。

しかしマイホームは賃貸のときよりも広め、大きめのものを購入することも多いのではないでしょうか?
国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅へ住み替える場合には、広いところへ住み替えているというデータが出ています(賃貸住宅からの住み替えは約半数から6割)。

つまり同条件の賃貸と持ち家を前提とした単純比較は現実的ではないと考えます。

賃貸と持ち家のメリット・デメリット検証

どんな費用がかかる?
住むために必要なコスト(支出)として、賃貸、持ち家でそれぞれどのようなものがあるのかその中身を整理してみました。

(表)賃貸と持ち家にかかるお金の内容

賃貸 持ち家
住居本体 仲介手数料 頭金
敷金 住宅ローン返済
礼金 修繕費・メンテナンス費用
家賃 修繕積立金(マンションの場合)
更新料 管理費(マンションの場合)
固定資産税・都市計画税

その他
必要経費

駐車場 駐車場(マンションの場合で有料の場合)
火災保険 火災保険

あくまで統計の数字ですが、国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」によると、例えば分譲住宅の場合、三大都市圏の平均購入総額4,186万円の内借入金は2,941万円です(自己資金1,245万円)。

【フラット 35】(借入期間35年、融資率9割以下、金利:2021年10月1.3%)で借りたとして試算すると、利息を含めた購入総額は4,908万円、返済総額は3,663万円になります。これに修繕費や固定資産税など、マンションの場合は管理費・修繕積立金などが加算されます。

一方、民間賃貸住宅の平均月額家賃は76,059円/月、平均月額共益費は4,575円/月で、合計80,634円/月。更新料を2年に1回、月額家賃分と仮定して、30歳から50年間賃借した場合、約5,020万円になります。

条件によって数字は簡単に上下しますから、実際には、個別のケースに当てはめて考えることが大切です。
持ち家で注意するポイントは修繕費やメンテナンス費用です。
外壁や水回りの修繕については数百万円のまとまったお金が必要になるため、将来の必要資金として準備をしておく必要があります。

賃貸で注意するポイントは、家賃相場の変動でしょう。

使い勝手は?
賃貸の場合は引越しがしやすいといったフレキシブルさが特徴です。いろいろなところに住んでみたい、あるいは転勤が多いなどの理由で住まいを固定できないというかたには賃貸の方が向いているかもしれません。

住宅ローンを組んで持ち家を手に入れた場合、その場所に住んでいなければならいという各種制限があったり、どこかへ移り住みたいときには売却や賃貸することなどを考えたりする必要があります。

一方、持ち家には資産価値があります。一戸建てかマンションか、都市部か郊外かによって当然資産価値は変わってきますが、価値があれば賃貸に出したり不要になったときには売却したりもできます。

また、セカンドライフの資金繰りとして、自宅を担保に借り入れができるリバースモーゲージや自宅を売却して資金調達するのと同時に売却先から賃借してそのまま住み続けることができるリースバックのしくみを活用することもできます。

(表)リバースモーゲージとリースバックの概要

リバースモーゲージ リースバック
内容 自宅を担保に借り入れができる。月々の返済は利息のみで、借り入れした人が死亡後、相続人が現金あるいは自宅を売却して元本を返済。 自宅を売却して資金調達するのと同時に売却先から賃借してそのまま住み続けることができるサービス。
メリット 利息のみの支払いなので返済負担が少ない。 基本、持ち家がある人であれば誰でも利用できる。売却資金はその後の賃料やローンの返済に充てることができる。マイホームにかかる維持管理費も不要になる。
デメリット リバースモーゲージの対象になる不動産の条件や年収、年齢などの融資条件が厳しい。不動産の価値が下がるとその分の返済を求められることもある。 売却なので所有権が移転して「自宅」ではなくなる。また、普通に売却するより売却価格は低くなる。

賃貸と持ち家のメリット・デメリットまとめ

賃貸と持ち家のお金の面から考えるメリット・デメリットは、人によってケースバイケースです。そのためメリット・デメリットを明確にすることは難しいでしょう。
よって、ご自身の今後の収入・支出の項目、金額や発生時期を賃貸の場合と持ち家の場合で比較してみることをおすすめします。

いずれの選択をしても将来資金が不足しなければ、お金の面からの不安はなくなるはずです。

お金の面以外で考えると、賃貸の場合、フレキシブルに住む場所を変えることができ、持ち家の場合はその地に定住し、地域でのつながりが充実するというメリットがあります。
しかし賃貸の場合、中には高齢になってからの賃貸契約は難しいのでは?と不安に思うかたもいるでしょう。
持ち家の場合には高齢になって周りの環境がすっかり変わってしまい住みにくくなってしまうということもあるかもしれません。

このように、あらゆる尺度が存在する賃貸と持ち家の議論はつきることがありません。自分や自分の家族に当てはめたとき、「何を大切にするのか」を基準に判断することが大切だと思います。

石川 英彦(いしかわ ひでひこ)

石川 英彦(いしかわ ひでひこ)

金融デザイン株式会社 代表取締役
ファイナンシャル・プランニング技能士2級
愛知県生まれ。1996年「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、株式会社マネーライフナビを設立。FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツ制作を手がける。
2017年9月に社名を金融デザイン株式会社に変更。インフォグラフィックスやウェブのデザインまで領域を広げる。現在、私にできるお金のため方・ふやし方がわかるオンラインゼミ「お金の知恵アカデミー」を主催。著書に「自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本」(自由国民社)。

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