全3回でお届けするカードローンの基礎知識、前回はカードローンとは何かをみてきました。第2回の今回は上手なカードローンの使い方をご紹介します。
カードローンを利用するにはどうすればいいの?
銀行や信販(クレジット)会社、消費者金融会社が提供しているカードローン。
申し込みは窓口や郵送でもできますが、最近はパソコンや携帯から24時間できるウェブ申し込みをご利用のかたが主流のようです。
申し込みをすると仮審査が行われ、仮審査に通ると本人確認書類(運転免許証など)や、限度額に応じて収入証明書(源泉徴収票、給与明細書など)を提出。これら書類を使った本審査に通ればカードが発行され、ローンを利用できるようになるのが一般的な流れです。
借りたいときはカードを使って提携ATMから出金したり、ウェブからの手続きで借り入れた資金を自身の銀行口座で受け取ったりできます。
返すときはどうすればいいの?
カードローンの返済方法は主に3つです。
・ATMで返済をする(ローン口座に入金する)
・振込をする(ローン口座に振込む)
・口座振替
基本的には毎月1回、あらかじめ定められている返済日に返済します(銀行のカードローンの場合は毎月口座から引き落とされます)。これに加えていつでも好きなタイミングで金額を決めて臨時返済をすることもできるため、余裕があるときは臨時返済をうまく活用して早めに完済、できるだけ金利負担を軽減することがおすすめです。
毎月の返済、臨時返済ともATMで返済をする際には手数料はかかりませんが、他行からの振り込みで返済する場合は振り込みに利用する金融機関所定の振込手数料がかかります。
カードローンの返済方式
カードローンの返済方式は一般的に借入残高に応じて毎月の必要返済額が決まる「残高スライド制定額返済」で、金利は一定期間ごとに見直しをしていく変動金利です。
毎月一定額ずつ返済する方式ため返済計画が立てやすいのが特徴ですが、借入残高が増えるとその金額に応じて自動的に毎月の返済額も増えるため注意が必要です。
たとえば2万円借りた際の毎月返済額は2千円だけれども、借入残高が増えて10万円を超えると返済額も毎月4千円に増えるといったしくみです。金利は借入残高に応じて段階的に決まり、残高が増えるほど金利は下がるのが一般的です。残高ごとの月々の返済額や金利は事前にしっかり確認しておきましょう。
カードローンの金利はどれくらい?
カードローンを申し込む際に表示されている金利をみても、実際に毎月どのくらいの利息がつくのかすぐに理解するのは難しいかもしれません。カードローンの金利の仕組みを理解して、いくら利息を返済しなければならないのか把握しておくことが大切です。
では金利が5%と18%の場合で1ヶ月の利息を計算してみましょう。
借入額10万円の場合
10万円×5%÷365日×30日=411円
10万円×18%÷365日×30日=1,479円
実際に計算してみると、払う利息の違いがわかると思います。
金額が倍になる年数が計算できる「72の法則」というのをご存知でしょうか。たとえば金利18%なら72÷18%=4年という計算になり、4年間で借りた額の倍のお金を返済することを意味します。金利5%なら72÷5%=14.4年です。金利が低い方が当然支払う利息が少なくて済みますし、総返済額も少なくなります。
このように金利は漠然と数字で見るのではなく、具体的にいくら返済をしなければいけないのかを把握することが大切です。各社ホームページの多くは「返済シミュレーション」という機能がついていますので、いくら借りたらいくら返済しなければいけないのか、何年間返済しなければいけないのかなど、実際にシミュレーションをしてみるとよいでしょう。
計画を立て賢く借りる
お金を借りる際は返済のことも十分に計画しておくことが大切です。毎月いくら返済しなければいけないのか、いつまでに返済するのか(利息が発生するので10万円を借りたら毎月1万円ずつ返済しても10ヶ月では完済できません)、ボーナスで返済できるのか、家族のライフイベント(出産・教育・車や電化製品の購入・帰省費用など)による出費はないかなど、目先のことだけではなく近い将来の返済見込みや大きな支出も考えておくのがよいでしょう。必要だからといって多めに借りるのではなく、必要最低限もしくは可能な限り少なめに借りるといった心構えが重要です。
カ ードローンを返済するためほかのカードローンやキャッシングから借りる、といったことを繰り返して返済が増えないように、カードローンは返済を意識して計画的な利用を心がけましょう。
返済に困ったときは
計画を立てて返済をしていたにもかかわらず、病気や怪我など不測の事態に見舞われ、返済に困ったときはどうしたらよいのでしょうか。
返済が滞ったままにしておくと、信用情報機関に登録される可能性があります。登録をされてしまうと、次のようなことが起きて、生活に支障をきたすことにもなりかねません。
・住宅ローンなどのローンが借りられない
・クレジットカードが利用できない、新たなカードを作れない
・携帯電話の分割払いでの機種変更ができない
・士業(弁護士や税理士など)の職業につけない
返済が難しいときにはひとりで悩まず、借り入れ先や次のような相談窓口で相談してみるのがよいでしょう。
・財務局多重債務相談窓口
・国民生活センター
・全国銀行協会
・日本クレジットカウンセリング協会
・法テラス
まとめ
・カードローンの返済方法は、ATM(ローン口座に入金する)、振込をする(ローン口座に振込む)、口座振替の主に3つ
・カードローンの返済方式は、一般的に「残高スライド制定額返済」で、借入残高が増えるとその金額に応じて自動的に毎月の返済額が増える
・返済シミュレーションなども活用し、計画的に利用することが大切
次回、最終回となる第3回は銀行のカードローンならではのメリットをみていきます。
伊藤 魅和(いとう みわ)
伊藤 魅和(いとう みわ)
ファイナンシャル・プランナー CFP🄬認定者
FP office ITO代表。大学卒業後、証券会社等金融機関勤務での経験を活かし、ファイナンシャル・プランナーとして独立。Web原稿等の執筆や家計相談に加え、主にセミナー講師として「わかりやすく」をモットーに、ライフ&マネープラン、確定拠出年金、資産運用講座など、中学生から高齢者まで幅広く行っている。共著に「FP必携!注目ニュース&キーワード事典2016-2017」(近代セールス社)がある。